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2015/12/17

花組芝居『毛皮のマリー』梅組初日雑感

『毛皮のマリー』初日公演を観劇。ダブルキャストのうちの梅組。

寺山修司さん生誕80年を記念する公演が出揃う中で、実験浄瑠璃劇と銘打つ花組版は一番異色な公演かも。全編、完全に歌舞伎の下座の様式で義太夫が入る。浄瑠璃劇ってどうなんだろうか、と見る前は思ったのだけれど、実際見てみると寺山さんの見世物小屋的な世界観をより広げて見せるという意味でぴったりなのだなと思う。

「見世物」といえば、工夫を凝らした美術も表現も秀逸。はさみもかみそりなども異常に大きくなっているというのも、この作品が描いている「ひずみ」にはぴったりなものなのだろう。欣也の蝶々の標本を裃つけた役者が表したり。
一番印象に残ったのは、欣也の部屋。あれはたぶん、渋谷にあった天井桟敷館のイメージなのだろうと思うが(さすがの私も実物は見てなくて、写真でしか知らないけど)、あれをオープンリールのテープレコーダーにする発想に驚いた。

そんな「歪んだ」世界で繰り広げられるのが、「表面は嘘、だけれども中身はホント」という人たちの軋轢。顔だけ白塗り(首とか背中とかは塗ってない)というのに初め驚き、後には表面の嘘の仮面のようにも見えて面白く。もともと男性だけで演じるように書かれている戯曲ということだが、現実にはない架空の存在である「女形」を擁する男性だけの劇団・花組芝居が演じることで、「嘘と真実」というテーマがより明確に浮かび上がってくる。

異常なほど肥大化した愛情を見せる男娼マリーを梅組では谷山知宏さんが演じて、美輪明宏さんとはまた違うアプローチと表現で面白かった(終幕は切ない)。美少年欣也は丸川敬之さん。意外(?)と真っ当に美少年に見えて、そこもなんだか物語の架空性を際立たせる。美少女紋白は堀越涼さんで、男女を行き来するアンドロギュヌス的な作りなのが面白い。(紋白が地平線を書くくだりの台詞が美しいんですね。何度か見てる作品だけど初めて気づきました)原川浩明さんの下男は麿赤兒風。

演劇的な「嘘」の世界にどっぷり浸って、目も心も刺激を受けた2時間15分。「現実」から一番遠いところにあるからこそ、「真実」が見えてくるような、そんな作品でした。昨日初日なので、今日のところはざっくりとした感じで。菊組を見たらまた書きます。

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