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2015/04/13

あやめ十八番『長井古種 日月』アフタートーク(11日13時)

あやめ十八番『長井古種 日月』4月11日13時公演終了後のアフタートークに、主宰の堀越涼さんのお話を伺うトークゲストとして登壇させていただきました(司会に副代表の大森茉利子さん)。
元々は裏方ですのでステージに上がることはめったにないのですが、ステージに上がってまず感じたのがお客様の空気がとてもウェルカムであたたかいものであったこと。あやめ十八番という演劇団体とお客様がとてもよい共有をなさっているのが伝わってきました。なので、私も部外者ではありますがリラックスして、お話を伺うことができました。

いろいろ貴重なお話が聞けたと思うので、記録としてざっくりまとめておきますね(ざっくりと言いながら、十分長い)。そして当然、終演後のアフタートークなので見てる方を前提に話してます。未見の方はご注意くださいませ。

***
『長井古種 日月』を客席から見た印象から、いくつかキーワードを挙げて聞いていくことにしました。
まずは「丸いもの」。

客席から見ると美術の舞台後方の巨大な月やオープンリール、ミラーボール、けん玉など丸いものがたくさん目に入るが、この発想は?

「あやめ十八番は公演タイトルはあやめの品種から取っている。名前を決めるときは作品内容とかは決まってない。次回の『伊勢系薄化粧』もどうなるかわからない。多分『薄化粧』っぽい作品になるんでしょう(笑)。『日月』は次回SFにしたいとは思っていたので、一番SFぽい名前の『日月』にした。芝居はチラシのデザインから作られていく。音楽監督の吉田能がチラシのデザインをしていて、“ビビッドにしてくれ”と言ったら一番最後に持ってのが今のチラシ。“あっ、この方向で行こう”と思った。吉田のデザインのイメージから舞台美術のところに行き、最後に演出家の堀越が出てくる。そして、オープンリールが肝になった。(お客様に)オープンリール、知ってる人~?(※知らない方の方が多かったことに、個人的にビックリ)音楽の吉田悠と吉田匡が(オープンリール式の録音機器を改造して楽器にしている)Open Reel Ensembleというバンドを組んでいるんです。そのライブがたまたま稽古場の近くのショッピングモールでやってると知って、冷やかしに行ったんです。一番前で見た(笑)。そしたらそれが素晴らしくて、“『日月』の最後の1ピースはこれだ”となったんです」

円形のものは閉ざされている状態の象徴のようにも受け取れるが、そういう意味もある?

「潜在的なイメージではそういうのがあったかもしれない」(←あまり意識はされてなかったようです)

堀越さんの作品は閉ざされた空間のものが多いが。

「閉ざされた空間が好きなんですよ(笑)。他の作演の人はどうやって神様を描かないで作品が作れるんだろうと思うんですが(笑)、僕の作品には神様やそれを信じている人たちのコミュニティが出てくる。作品を作るとき、ただステップするだけでなくジャンプアップする瞬間を作るのに、それらが必要になってくる。
僕の実家が神宮の参道でお団子屋をやっていて、神様が非常に近いところにある。氏子と呼ばれていて、神様が救ってくれると言われているんですね。閉ざされた空間に18歳までいて、その後12年は東京にいる。実家を取り巻くコミュニティを客観視できるようになったものを描いていると思う」

今回の作品だと、「美しい民」と呼ばれる、神様に選ばれた民であることの息苦しさも描いているが……。

「宗教というものを僕は描くんですが、なぜだろうと自分でも一回考えてみた。僕には思想とか、世の中の出来事に対してこうあるべきだという信条がないんです。そんな中で唯一宗教が僕にとって興味があること。ただ、神道ですから八百万の神のような考え方でいたい、偏りたくないと思う。だから、今回アーミッシュを描いているが、アーミッシュを否定する作品でもないし、クリスチャンを否定する作品でもない。宗教に興味があって、取り扱っているけれど、そこには思想を入れない。なるべくドラマのために作ろうとは思う」

「人間は大きく変わらない」という台詞が何度か出てくるが、今回のユニットとしては新機軸となる作品を拝見して、堀越さんにとって「大きく変わらない」もの、根本にあるものは「和」なのではないかと思った、とお聞きすると。

「日本人であるということは非常に意識しないとならないし、僕が花組芝居という歌舞伎のオマージュをやっている劇団にいるので、歌舞伎にしたいわけですね。わからないと思いますけど、鸛先生が“枷をはめられて生きてきた人間が、自由になってのうのうと、生きていかれるはずがない”という台詞はきれいな七五調の文体で書かれている。“歌舞伎をイメージしてやって”と言ってるんです。月夜の台詞の“誰の身体も浮いていた、地に足付かぬ闘争の日々”というのも、(堀越さん立ち上がって)“誰の身体も浮いていた(トン、と足をついて)地に足つかぬ……”とやると気持ちいい。気持ちいい部分を残しておきたいんです。気持ちいい部分とリアルにやる部分は意識して作っている。僕なりに歌舞伎でした(笑)」

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もう一つのキーワードは「対」。対になっているイメージのものが多い。朝日と月夜という双子もそうだし、冒頭の月夜と隼も対になっている。一番大きいのは、日月村というコミュニティと最小単位である家族のコミュニティという大小のコミュニティの対比かと。

「なんていい見方なんでしょう(笑)(←なんだか嬉しそうだった(笑))。基本的には作劇するときは言葉遊びから始まるので、『日月』という太陽と月が対になっているワードから連想していった。双子というのもシンプルな連想ですけど」

ここから家族をなぜ描くか、というの話になり……。
「家族が出てくるのは、やっぱりパーソナルなものが描きたいから。パーソナルなドラマを描くために大きな村があり、その外に宇宙人がいて、ということでドラマを動かしているけど、基本的には人間の心情を描きたいなと思うんです。家族ってうまくいかないものじゃないですか?……うちの家族はうまくいってますよ、非常に仲よく、ドワーフのように暮らしているんです(笑)。どこの家族も必ず何かしらの問題がある。でも、家族というコミュニティ全員で頑張ろう!という話がいいし、最終的にパーソナルな問題に収縮していくものがやりたいんです。“本当の幸せって何だろう”っていうのがあやめ十八番のテーマなので」

あやめ十八番は家族が出てくる作品が多いですよね? という問いに。
「第二回『淡仙女』、第三回『江戸系 諏訪御寮』と今回。僕、食卓を囲むっていうのが好きなんです。お客様に“食卓を囲むシーンがいいですね”と言われて、“あっ、食卓を囲むっていいな”と思ったんです。すごく素直だから(笑)。だから、今回も横並びですけど、一緒に食事するシーンを入れました」

というあたりで、タイムアップ。
「これ以上やると怒られますね。僕怒られるのが一番嫌いなんで」と、最後はグッズの紹介などして終了しました。

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実は三番目のお題「兎」というのも考えていまして。初の外部演出だった『うさぎとシーラカンス』と連続して兎が出てくること、また月と兎の関係、さらに、ぴょんぴょん飛び跳ねるイメージを持つ兎が小さいコミュニティから宇宙までも貫いていくイメージについて話したかった。
あっ、「丸いもの」のところで、「地球の自転と逆回りで一日で一周するお母さん」という美しいイメージがどこから来たのかも聞きたかったのですが……。
も一つ言うと、「丸」対」「兎」で物語全体のダイナミズムとしてリズム感が生まれ、それが生演奏による音楽の表現とマッチしていた、という話もしたかったんですが、時間切れでした(いえ、予定の15分の2倍くらい話したんですけど、話したいことが多すぎた……)→このあたり、至らなくて申し訳ない。

ともあれ、非常に興味深いお話が伺えました。ご来場の皆様、あやめ十八番とご出演の皆様、ありがとうございました。

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