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2014/12/27

新たな感動~『ビリー・エリオット ミュージカルライブ』

『ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー』やっと見てきました。ロンドンとニューヨークで観劇した作品で、今回の10周年記念公演のライブ版はぜひ見たかったのです。
ロンドンで見たときは3回は泣いたなあ、とか、そのころ『BILLY ELLIOT』はチケットが取れなくて、3階のはるか上の方の席で見たけど、それでもすごく感激したなあとか(映像で客席が映って、ああ、あのあたり、と思ったり)いろいろ思い出しつつも、今回の映像版では新たな感動が沸いて、ロンドンで見たときの倍くらい泣きました(笑)。

2005年の観劇当時に某所で書いたものを発見できたので転載すると↓

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『リトル・ダンサー(BILLY ELLIOT THE MUSICAL)』
 ロンドンで今一番HOTなミュージカルがこれ。映画『リトル・ダンサー』を元とした舞台で、音楽はエルトン・ジョンが担当している。84年サッチャー首相の時代、イギリス北東部の町で起こった炭鉱廃止反対のストを背景に、鉱夫の息子のビリーがバレエダンサーを目指す姿を描く。「踊っているとき、僕は自由だ」というビリーの台詞があるが、「人々の自由を求める思いを踊りに託す」というテーマ性が実に明快だ。何よりビリーを演じる少年(筆者が見たのは新キャストのレオン・クック)が素晴らしい! バレエのみならずタップ、歌など生命力みなぎる舞台に釘付けになる。鉱夫の生活感ある日常が歌と踊りで違和感なく表現できるのは、イギリス人ならではだろう。生きるパワーが貰えるような舞台だ。

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というものでした。

基本的な感想は(同じ作品なので)今もこれと同じなのですが、私の英語力では聞き取れてなかった部分も訳文を通して新たに理解が深まったところもありました。
たとえば、ビリーのお父さんがビリーがバレエをすることに反対したのはただ「女々しい」ことをするなというだけでなく、労働者階級の彼が中流階級のバレエ教師に対する反発心もあったのだ、とか。ビリーの兄に「お父さんはお母さんが亡くなって3年腑抜けだった」という台詞があって、ああ、そんな気持ちも描かれていたのに、とか。

こうしてお父さんの気持ちや立場がより理解できると、サッチャー政権下の閉塞した状況にあっても息子が自由に羽ばたくことを願ってバレエを応援するようになった心情の流れがより理解できて、感動が深まりました。


初演から10年たった今でも、本当に斬新で力強い舞台だなと思います。およそ(いわゆる華やかな)ミュージカルらしくない炭鉱夫たちのとてもリアルな姿を描いているのに、エンターテイメントとして成立している。上にも書いたとおり「人々の自由を求める思いを踊りに託す」というテーマが明確なんですよね。
(だからこそ、カーテンコールで炭鉱夫の皆さんもチュチュをつけて楽しそうに踊っているところが感動的なんだと思う。たとえ炭鉱が閉鎖になり暗い現実が待っていても、心は自由なままなんだとわかる、というか)


今回特に心打たれたのが、ビリー役のエリオット・ハンナ君。わずか11歳でありながら、客席のすべての人(さらにはスクリーンの向こう側にいる大勢の人)をエリオット君の気のパワーで満たしていた。その姿に演劇の根本の力を見た思いです。この日はスペシャルバージョンで初代ビリー役で現在はマシュー・ボーンの『白鳥の湖』の王子役をやっているリアム・ムーアが出てきて、ビリーの成長後のビリーとしてデュエットダンスを踊るところは本当に感動的でした。

しかし、同時に思うのは、エリオット君と同時期にビリー役をやっていて映像版には採用されなかった残りの3人のこと。きっと自分も10周年記念キャストとしてビリー役をやりたかったろうし、映像にも残され立っただろうなと思うと……、うーん、切ない、けどこれから頑張れ! と余計なことまで考えてしまったり(笑)。でも、歴代のビリー役の人が一堂に会して見事なダンスを繰り広げるのを見ると(私が見たレオン・クックも当然出てきた! 大人になってた!(笑))きっと子役時代に主役をやっていてもいろいろな人生が待ち受けているんだろうなと思うけれど、でもこうして皆で踊って輝いていることがとてもかけがえがないなあと思ったりしました。

今調べてたら、おばあちゃん役のアン・エメリーさんは初演の時からのキャストなんですね。ああいう、ご年配の脇役でしっかりキャラクターを出した演技をしながら、ちゃんとミュージカルの役として存在していられる方がいるところが、欧米のミュージカル界の層の厚さで、そこはなかなか日本のミュージカル界では太刀打ちできない部分なんですよね。(ミュージカルをやっている歴史の長さの違い、といえばそれまでなんですが)

当初、東京では今日27日までの上映とのことでしたが、来年1月9日からの再上映も決まったとのこと。なんとかもう一度は見に行きたいと思います。


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