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2013/09/16

鬼フェス2日目に参加しました~あやめ十八番・ロ字ック

ロ字ックが主催する夏の演劇フェスティバル「鬼(ハイパー)FES.2013」(通称鬼フェス)。今年は3日間で22団体参加。1団体30分間の演劇を見せつつ、飲み物や食べ物の売店あり、占いやマッサージ(!)もありと夏のフェスティバルらしい楽しい仕掛けで見せるもの。今年で3年目だそうですが、私は初参加。一日に5団体見られるということで、今まで見たことがない劇団の公演を気軽に見られるというのもいいですよね。当日伺ってみて、主催者側のフェスティバルとして楽しめるような心配り、また今日16日は関東は台風通過の日だったのですが、いち早く(前日の15日中に)16日のタイムテーブル変更を発表する決断の速さなど、きめ細やかな対応が目を惹きます。(会場はシアター風姿花伝)

立ち見とのことだったので自分の体力を考え、最後の2団体、あやめ十八番とロ字ックを拝見しました。

まず、ロ字ック『SUMMER4分』から。終幕のフェスティバルらしい盛り上げ方も鮮やかで、一つ一つのエピソードが数珠つなぎのようにつながっていくストーリー展開の巧みさ、途中の歌・ダンスシーンの楽しさが印象に残ります。ただ私個人の嗜好としては、女性たちの赤裸々というかあけすけな感じの描き方がちょっと苦手でした……ごめんなさい(好みだと思いますし、会場の反応はよかったですよ)。

さて、あやめ十八番は『長井古種 かすり乙女』。規定時間の5分前に道具を舞台にセットし始め、落語風に主宰・作・演出・出演の堀越涼さんがゆるゆると語り出すところからスタート。この導入から芝居が始まり、芝居が終わってやはり道具を片づけゆるゆると堀越さんが語って閉幕するという、始まりと終わり方がとても粋で素敵。

ストーリーとしては、20代後半になった(堀越さんの実年齢かな)主人公の男性(堀越さん)が中学時代に果たせなかった「アリス・イン・ワンダーランド」の主役を演じるという夢を叶えるために、チシャ猫(美斉津恵友さん)やウサギ(大森茉利子さん)の助けを借りて自分の過去の世界に入っていく。が、過去の世界の自分は少女(土佐まりなさん)の姿になっていて……というもの。「アリス症候群」という、アリスのように周りのものが大きく見えたり小さく見えたりする症候群(実際にある症候群なんですね、知らなかった)や中学生の男の子、女の子たちの生態を見せながら、過去の自分に向き合い決着をつける……というところでしょうか。30分間のストーリーテリング力はたいしたもので、立ち見で決して見やすい状況ではないお客様の前でも、きちんと「演劇」として成立させていたこと、そして、「やりたいようにおやりなさい」というラストのメッセージに「きれいごとだけど演劇なんてそれでいいんじゃない」というご自分の立ち位置をきちんと示す、清々しい作品でした。

ということで評価をしつつ、今まで「あやめ十八番」の公演を何本か見て来た者としてはもう少し……と思う部分もありまして。今まで見てきた作品からすると、「現実と非現実が大胆に浸食し合った果てに、予想もしないような劇空間を生む」ということがあやめ十八番の特徴であるとするならば、今回は「現実」(=上記のメッセージ部分)の部分の割合が大きくて、それが観客にちょっとナマに伝わりすぎてしまったかな~という気がします。それが言いたいことなのだから、構わないといえば構わないけれど。

冒頭の「中学二年の夏だった。~」という台詞はとてもインパクトがあって面白いのだけれど、後の芝居とのつながりがちょっとよくわからなかったかなあ。あと、公演のタイトル『長井古種かすり乙女』と芝居の内容との関連性も(ユニット名にちなみ「あやめ」の花の種類をタイトルにした、というのは聞きましたが、タイトルも芝居の一部と思うので)。

と、エラソーな意見を書いてしまいましたが、これも期待の高さゆえのことですのでご容赦下さい。でも、演劇としてのパワーはとても伝わってきたし、初めての座組とは思えない出演者たちのアンサンブルのよさも際立っていたと思います。来年も公演があるそうなので、また別の作品も見てみたいですね。

出演者の中では、パパ役大塚尚吾さんの(『淡仙女』のときも思いましたが)確かな味わいと生きた息吹を感じさせる演技、チシャ猫役美斉津恵友さんの異次元な存在感(でも、上手側に立たれると私の立ってた位置からは殆ど姿が見えなかった……)が印象に残ります。堀越さんは冒頭の語りから物語に入り、また最後の語りに戻る流れがスムーズ。最後まで話を押し切る力の強さがさすがです。

鬼フェスは本日16日まで開催。台風のため2時間押しとなり本日21時終演予定なので、今から行けば間に合います!(笑)

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