« ニューヨークで一番感動したのはPIPPIN祖母の代役Tovah Feldshuhさん | トップページ | 水夏希さん構成・演出・出演SHOW『Beyond the Door』観劇しました »

2013/09/04

『ロミオ&ジュリエット』初日観劇しました

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』再演の初日公演を観劇しました(9月3日、シアターオーブ)。
ジェラール・プレスギュルヴィックによるフランスミュージカルで、このブログでは

フランス人キャストによる来韓公演版(2009年)
宝塚歌劇団星組の梅田芸術劇場メインホール柚希礼音さん主演公演(タイトルは「ロミオとジュリエット」)
そして、
男女出演版の『ロミオ&ジュリエット』の2011年初演バージョン

の記事をアップしています。(他にも宝塚歌劇団雪組、月組公演、2012年のフランス人キャストの来日公演を観劇。ちなみに2009年に見たものは2012年来日公演とは別演出。2009年に韓国までわざわざ見に行ったときはこんなに日本で見られる作品になるとは思いもしなかったなぁ…)

今回のシアターオーブでの公演は作品としては前回2011年版の再演なので、作品全体としての感想は上記のものをご参考下さい。

今回の再演版を拝見しての感想は、前回と比べて一人一人のキャラクターが非常にくっきりとわかりやすく(伝わりやすく)なっていたということ。たとえば、「ジュリエットが舞踏会で初めパリスと踊っていたのを逃げてきて、今度は大好きないとこのお兄ちゃん(ティボルト)と踊れてほっと安心する」というような、全員の心の動きが一つ一つよく見えるようになっている。あえて時代をスマホやフェイスブックがある現代に移しての上演なのだが、今回の再演では皆の心情にさらにリアルさが出てきたというところだろうか。
それは、初演の赤坂ACTシアターと比べて劇場のタッパ(高さ)も奥行きも格段に大きくなった舞台空間を生かしてよりダイナミックな演出、見せ方が可能になったというところから来ているのかもしれない。1幕ラストの結婚式の場面でも、バージンロードを歩くジュリエットの動線が斜めに長くなっているので、ジュリエットがまっすぐロミオに向かい合う心情が浮かび上がってきた。舞台左右に櫓を張りだして、そちらから出演者を出演させて立体的に表現する効果も。

今回の再演で格段に変わったのはもちろん、初演より続投のロミオ役の城田優さんだろう。稽古前の3人初対面という段階で城田さん、柿澤勇人さん、古川雄大さんの鼎談を取材させていただいたご縁もあって注目して拝見していたのだけれど、まず歌唱表現力が前にもまして豊かになった。これは『4STARS』でレア・サロンガ、ラミン・カリムルー、シエラ・ボーゲスというまさに世界のトップクラスと共演して一緒にショーを作った経験が非常に生きているのだと思うが、高音部の伸びと低音部の響きが増したことが、ロミオという心情がジェットコースターのように様々に揺れ動く人物を表現するのに素晴らしく効果的なのだ。(つまり、声の響きを変えることで、その人物の心境の変化が的確に伝わるということですね)だからたとえば、「僕は怖い」の歌も1幕目の漠然と心に漂う恐れから、2幕目の激しい悲しみと絶望へと色合いを変えて表現できるのだと思う。(→ごめんなさい、訂正! 2幕目に歌ってるのは「憎しみ」です)

同じく前回から続投のフランク莉奈さんも初々しい可愛らしさはそのままに成長の跡を見せて、城田さんとフランクさんが見せる心情の動きがまさにまぶしいほどだ。
こうしてロミオとジュリエットの二人に心を惹き込まれているうちに、二人の恋が織りなすドラマに身を委ね、最後のカタルシスまでを十分に堪能できたのだと思う。

そして、ベンヴォーリオの尾上松也さん。これが非常によかったのだ。役に生きているというのはこういうことか、と思うほどで、上に書いたようにこんなに様々なバージョンで何度も見ている作品なのに、松也さんのベンヴォーリオを見て新たに発見するところがたくさんあった。たとえば、2幕のキャピュレット家とモンタギュー家の争う場面で、ベンヴォーリオがロミオの熱情を目の前にして、今まで反対していたロミオと共に「誰もが自由に生きる権利がある」と歌う気持ちになるところに、ベンヴォーリオの心情の変化のドラマがまざまざと感じられたり。城田さんが皆さんをしっかりリードしているのはもちろん、松也さんの芯のしっかりした芝居が若手が多いこの座組の要にもなっているのだと思う。
ちなみに松也さんにも公演前に取材させていただいてこのミュージカルにかける並々ならぬ意気込みを伺った。「ダンスは経験がないので……」とおっしゃっていたのだが、「世界の王」でもしっかりリズムに乗って踊ってらして一安心(笑)。(もしかして、乳母役の未来優希さんのアドリブのとおり、ちょっと「昔のアイドル風」かも……重ねて失礼しました(笑))でも、「世界の王」が終わった後に嬉しそうに城田さんと肩を叩き合っていたのが微笑ましかった。実際に同じ高校に通っていたころから友達だという城田さんと松也さんの「マブダチ」感が、今回の公演ではとても生かされていたと思う。このあたりは、他のロミオ役の柿澤さん、古川さんと組んだときはどう見えるのかが楽しみなところ。

ティボルト役の加藤和樹さんは大舞台で映える迫力のある演技を見せながら、ジュリエットを思う繊細な心を表現。率直にいうとカッコよかったです。まさに異形のものを実感させる「死」の中島周さん。たとえ群衆に交じっていても特異な存在感が際立って、人間の日常に潜む「死」の姿を見事に具現化して見せた。涼風真世さん、石川禅さん、未来優希さんらベテラン勢も非常に確か。

今日は初日の特別カーテンコールもあり、演出の小池修一郎さん、TETSUHARUさんのご挨拶に最後は出演者の客席降りもあって(これは特別カーテンコール仕様かしら?)華やかな祝祭感に包まれた。何より出演者たちのパワーが感じられる新生R&J。明日から初登場となる柿澤さん、古川さんがどんなロミオを見せてくれるのか? そして新たにダブルキャストでティボルト役を演じる城田さんは?(今日見るまでその大変さを実はちゃんと実感していなかったのだけれど、改めて、こんなに声の出し方も感情もまったく違う役を二役同時に演じるのは本当に大変……と気がついた)と、今月は「ロミジュリ」通いが続きそうだ。

|

« ニューヨークで一番感動したのはPIPPIN祖母の代役Tovah Feldshuhさん | トップページ | 水夏希さん構成・演出・出演SHOW『Beyond the Door』観劇しました »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/34077/58124351

この記事へのトラックバック一覧です: 『ロミオ&ジュリエット』初日観劇しました:

« ニューヨークで一番感動したのはPIPPIN祖母の代役Tovah Feldshuhさん | トップページ | 水夏希さん構成・演出・出演SHOW『Beyond the Door』観劇しました »