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2013/06/13

多層構造で描く太宰治の「女生徒」~おおのの『みすゞちゃん』

昨日は下北沢・楽園で行われている「おおのの」の『みすゞちゃん』へ。
太宰治の『女生徒』を原案としている舞台だそうで、そういえば「おおのの」で以前見たな~と思って遡ってみたところ、2009年の『太宰治のオンナの小説』という朗読劇でした→当時書いたブログはコチラ。ちなみに、作・演出の大野裕明さんが一番好きな太宰治作品が「女生徒」とのこと。

夏目漱石・太宰治など、文豪たちの生き様を描く文豪シリーズが多かった「おおのの」ですが、今回は趣を変えて可愛らしく女性像を描くというもの。楽園に組まれたセットも太陽、月、星をモチーフにした、少女の夢をそのまま装置にようなものでした。

原作の『女生徒』は青空文庫で読めますが、昭和初期の夢見がち(妄想しがち)な女生徒の一日を描いた作品。そして、今回の舞台はさらに一ひねりして、昭和初期の女生徒の一日と、現代のOL(藤沢志帆さん)の一日を重ね合わせ、さらにそのOLの過去の姿である少女(木原実優さん)が出てくるという多層構造の舞台です。

女性の中の心の揺らめきや少女の部分が日常生活や追憶の中でだんだん浮かび上がってくる様子を映し出していきます。
女性の妄想がどんどん発展していくという様はなかなか面白い(山下禎啓さんのロン毛からどれだけ妄想が発展するんだという(笑) さすがにネタバレなので書きませんが、山下さん妄想フィーチャリングな舞台ともなっています)。

女性の中の内なる少女性……というのは、まあ、女性の自分からするとちょっとこそばゆい感じにもなっちゃうんですけど(笑)。やっぱりそれは、男性の方が考えるものとは違うと思うので。

ただ、木原実優さんの少女の、本当にニコっとしただけで空間が明るくなるような瑞々しい煌めきを、素直に舞台に映し出した大野さんの手腕を評価したいと思います。

聞いたところによると、実優さんは演劇の舞台としてはこれが初舞台とのこと。バレエ・ダンスで舞台に立っているとはいえ、演劇空間の中できちんと立ち、存在感を放っていたところにも目を見張りました。コンテンポラリー系の雰囲気のある可愛らしい振付も実優さんが担当。舞台でのしなやかで伸びやかな動き(ダンス)も魅力的。

藤沢志帆さんのみすゞちゃんは、実優さんの少女とうまくリンクさせつつ、少女性を取り戻していく様子を丁寧に表現。美斉津恵友さんの使い方はちょっと贅沢(言い方を変えるともったいない)だったかな。幻想で出てきたクウェートにいる伸ちゃんの役を演じてる姿は素敵でしたけど。山下さんが演じる、肩叩きされるお母さんの優しさに心温まりました。

上演時間85分。公演は16日まで(下北沢 小劇場楽園)。

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