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2013/06/12

力強いメッセージを感じるオリジナルミュージカルの佳作~『冒険者たち』

ミュージカル『冒険者たち』、昨日観劇しました。
原作は児童文学の『冒険者たち ガンバと15人の仲間』。『ガンバの冒険』としてアニメ化されているのが有名で、いろいろな団体による舞台化がされているようですが、私は舞台版を見るのは初めて。

開幕前は、児童文学だしね、という気持ちもなくはなかったのですが、予想はいい意味で裏切られました。

都会のネズミのガンバが海に憧れて、船乗りネズミたちのところに行き、突然現れたイタチたちにより絶滅の危機にひんした島ネズミを救いに行く……と書くと、割と単純なストーリーに思えますが、パンフレットに書いてあるとおり、舞台が進行していくうちに、ある意味今の日本のフクシマの状況のメタファー(寓話化したもの)のようにも感じられるのです。50年前の作品なのに、と思うとちょっと怖いくらい。(原作者の斎藤惇夫さんが「60年代安保闘争に敗北し、最早出口なしとうつうつ鬱々としていた精神が…(中略)出口を模索しながら書いたのがこの物語」とあるように、もともと、ただのネズミたちの無謀な冒険物語として書かれたものでは決してないのですね)

そして、、子供向けの舞台にありがちな表現でなく、心情部分をきっちりと描いている。たとえば、ガンバが島ネズミを助けに行こうというのに、皆が「無謀な戦いで死ぬことはない……」と去っていこうとするあたりの気持ちを、ちゃんと大人たちの行動線として描いているので、物語の進行がちゃんと実感に落ちてくる。

……見ているうちにすっかり引き込まれて、ガンバに頑張れ! と思うし、仲間の死には涙してしまう。
清々しくも心を打つ、佳作でした。

シルク・ドゥ・ソレイユのようなエアリエルを使った表現。ジャック・スパロウみたいな船乗りネズミ(坂元健児さんが!(笑))、「ジギー・スターダスト」のころのデヴィッド・ボウイにそっくりのこしらえのイタチ(今拓哉さんが!!(笑))と、ちょっと楽しい仕掛けもありました。

まっすぐで陽性の持ち味がよくガンバ役にぴったりハマった上山竜司さんが大きさも見せて好演。色気のある舞台姿が魅力ある辻本祐樹さん。若手キャストの中で、坂元さんの実力と今さんの迫力ある怪演(?)が舞台をより奥行き深いものにしていたとしていたと思います。

そうだ、「海を見ることは夢を見ることと同じ」という言葉がすごく素敵に響きました。

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