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2013/06/21

23年ぶりに見たレア・サロンガ「ミス・サイゴン」のキム~「4STARS」

素晴らしかった! 本当に2時間が夢のようなひと時だった「4STARS ~One World of Broadway Musicals」。
制作発表記者会見でレア・サロンガさん、ラミン・カリムルーさん、そして城田優さんに取材させていただきましたが(Best Stageに掲載済み)、なんて貴重な経験をさせていただいたのだろう、と改めてかみしめています……。

公演は上記の三人プラスシエラ・ボーゲスさんで、ブロードウェイミュージカルの真髄に迫る曲を怒涛のように、惜しげもなく披露していきます。まず、この構成が見事。音楽監督、編曲は「ラスト5イヤーズ」のジェイソン・ロバート・ブラウンですが、大変なスピードと熱量で作り上げています。たとえば、「ミス・サイゴン」の「WHY GOD WHY」も超有名な曲だと思うのですが、ほぼサビだけ! という潔さ。ある意味、もったいないというか全曲聴きたい! と思うところももちろんありますが、そうしないと、これだけの曲数は2時間では歌いつくせないでしょうし。でも、じっくり聞かせる曲ももちろんありました。

とにかく、レア、ラミン、シエラのパフォーマンスが素晴らしいんですよね。音楽的にうまいということだけでなく表現力もある。レア、シエラて日本人の感覚でいえばかなり堂々とした雰囲気をおもちなのですが、ディズニーの歌を歌うと、急に宝塚の娘役もびっくりのキラキラしたかわいらしさを振りまける。歌(というか、表現される作品)によって、まったく違う雰囲気を体現できるのですよね。このことにまずびっくりしました。

そして、自分が実際にはしてない役の歌でも、見事にその作品の奥底まで表現できる。ラミンにしても「南太平洋」や「ラスト5イヤーズ」はやっていないと思うのですが、(「ミス・サイゴン」クリスはツアーで演じられてました! ごめんなさい)ああ、これが、ただの歌じゃなく、ミュージカルの歌を歌うということなんだ……。本当に目から鱗が落ちるとはこのことです。

怒涛の構成の中でも、メドレーとして大きいキーとなる部分が、「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」。ラミンとシエラといえば、オペラ座の怪人25周年記念コンサートのお二人。その歌声の迫力に圧倒されました。シエラのクリスティーヌのなんと可憐なこと! そしてクリスを誘い込むラミンファントムのセクシーなまでの歌声、そして最後の切ない響き……。これが1部の最後だったのですが、終わった後に隣の席に座っていた方に声をかけられてもすぐには答えられない(言葉が出てこない)くらい感動しました。

2部冒頭の「レ・ミゼラブル」。レアの「オン・マイ・オウン」のあふれる情感、ラミンの「彼を帰して」の包み込むような深い愛情をもった歌声、「シエラの「夢やぶれて」も非常に感動的でした。

2幕後半の「ミス・サイゴン」。私は23年前にロンドンでレアが演じるキムを見ています。取材でお会いしたときにも「20何年前にロンドンで見たんです」という話をさせていただいて(そのときレアは、「あれは、22年? 23年前?」と20何年前の話の方に反応して、「そうよ、私は古代から生きてるのよ~」とラミンと城田さんにおっしゃってたんですが(笑))、そのときも「ぜひ、『I'D GIVE MY LIFE FOR YOU(命をあげよう』が聞きたい」とお伝えしましたが、念願叶いました。

あれから23年……、人生経験を積んだ後のキムです。でも、目の前に現れたレアのキムはそのときのまま、まっすぐで純粋で、守ってあげたくなるような儚さと強さが同居しているキムでした。びっくりしました。と、同時に23年前の舞台の記憶がどんどん蘇ってきた。「こうやってたな」とか。なんだろうな、あのときのキムが本当に正解のキムだったんだな、というか、だから今も変に付け加えるのでなく、そのままストレートにそのときのままになれるのかしら。

BEST STAGEのインタビューでも書いたとおり、レアは「母になってから歌った『命をあげよう』は、当時とは違う(実感のある)ものになった」とおっしゃっていたんですが、23年前ののままでありながら、さらに深みを加えた歌声が23年の年月なんですよね。いや、本当にすごかった。

とまさに「世界クオリティ」の中で、ただ一人日本から参加した城田優さん。大変な挑戦だったと思いましたが、本当に「城田さんでよかった!」と思いました。彼らに臆することなく食らいついていこうとするチャレンジ精神、そして、大変な練習を積んだであろうことは歌声からもはかり知れました。また、同じ土俵に立って仲間としてしっかりコミュニケーションしながら作品を作っていったこともうかがわせたのもよかった。個人的には、コピット版の「ファントム」の歌が素敵で、実際にファントムを演じているところが見てみたいと思いましたし、「スウィーニー・トッド」の「ジョアンナ」の表現力が格段に増していたことにも目を見張りました。

このステージが日本で見られたことが奇跡、と思える。素晴らしい経験でした。
実はこれからもう1回見てきます! 堪能してきますね。

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