« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »

2013/03/12

『屋根の上のヴァイオリン弾き』(3月9日マチネ)

まさにミュージカルのお手本のような『屋根の上のヴァイオリン弾き』。見ながらふと思ったのだが、欧米では古い作品を上演する場合は「いかに新演出にするか」ということに主眼が置かれている作品が多いけれど、日本の場合は断続的に再演を続ける中でも初演のときの形をとても大事にして上演するのだなと。どんなときも失われないものがある……それはこの作品のテーマに通じるもので。もちろん時代に合わせてスピーディになったりはしていても、初演の時から大切にしている家族の愛、民族の誇りなど素朴なテーマは変わらない。そこにあたたかさがある作品だなあと思いました。

テヴィエ役の市村正親さんはまさに役を自家薬籠中のものにされているなあ、と。融通無碍に演じているようでいながら、深いテーマの部分がきちんと響いてくる。鳳蘭さんのお母さんもしっかりと大地に立つたくましさがありますね。
今回初参加の水夏希さんはツァイテル役。前回公演から続投の植本潤さんのモーテルとはとてもよいコンビネーションで、しっかりした中にも愛らしさがのぞくツァイテルを見せてくれました。植本さんはミュージカルであっても役に生きた芝居ができるところが魅力。ちょっと気弱ながらもツァイテルへの愛情は誰よりも強く見せてくれる姿が素敵です。

『客家』のときに取材させていただいた上口耕平さんは自分の恋心にまっすぐ生きる青年を演じて、一回り大きくなった姿を見せてくれたのが嬉しかったです。

********
そして観劇後。植本さんがアキレス腱断裂により降板されることが11日に発表になりました。スポニチの記事によると、「最終稽古で痛めた。医師と相談の上、歩行も可能だったため、患部を固定して出演していたが、手術をした方がいいとの判断が下りた」とのことです。いつも真摯に取り組んでらっしゃる植本さんの姿を拝見しているだけに、降板は非常に残念ですし、その心中をお察しすると胸が痛いです…。患部を固定した状態であってもそれをまったく気づかせないで出演してらした、そのプロ根性に感服します。

これは私が書いていいことかどうかわかりませんが……、モーテルが結婚を許可されて喜んで歌うソロ曲は前回公演(貴城けいさんがツァイテルのとき)では、モーテルが舞台中を踊りながら歌ってツァイテルはほぼ中央に位置しているという場面でした。
体調を慮って、逆に水さんが踊るように変更されたものかしらと思います。水さんにとっても急な変更だっただろうに、そんなことはまったく感じさせず、キラキラと輝くようにモーテルと結婚できる喜びを踊りで表現なさっていた水さん。そして、前回にもまして歌唱で愛情を表現していた植本さん。水さんの懐の広い優しさも感じますし、その美しい景色はきっといつまでも私の心に残ることと思います。

植本さんも今回は残念ですが(でも、「自分に悔しがる資格はない」なんて思わなくていいと思うんです…)しっかり治療して、また元気なお姿を舞台で拝見できる日を心待ちにしています。そして、12日から代役に入る照井裕隆さんも急なことですが、よい舞台を務められますように。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013/03/01

鹿殺し「BONE SONGS」観劇しました

昨日は鹿殺し「BONE SONGS」を観劇。
亡くなった人の思いを自分の身内に持って、それでも一生懸命もがきながら生きていかないといけない。
多分誰しもが抱えてる思いをそのままに、「痛み」が伝わる舞台でした。
でも、最後、歩き出したタエの姿が暗転の暗闇に消えていったとき、何か希望が残ってる気もして……。

と書くととても暗い感じの舞台に思えるかもしれませんが、実際は音楽劇で華やかな音楽とダンス、それにプロレス(!)に彩られています。管楽器のナマの響きは非常に魅力的。

役者さんも多士済々。痛みにまっすぐ向き合っている姿が清々しい、タエ役の菜月チョビさん。松村武さんのタエの父の(プロレスラー姿は反則?(笑))にじむ愛情。普段は雄弁な肉体を見せる(今作でも)オレノグラフィティさんが、終幕に見せた「動かない肉体」の切なさに思わず涙がこぼれました。谷山知宏さんは多くの役を演じて(プロレスも)優れた身体性を披露。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »