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2012/09/17

ドラマティック・カンパニー20周年記念公演『阿呆浪士』は、加納幸和さんの『忠臣蔵』三部作の最終章!

『阿呆浪士』を昨日(15日)観劇。
ドラマティック・カンパニーさんは『アンパンマン』のばいきんまんの声でおなじみ中尾隆聖さんと、『忍たま乱太郎』土井先生の声の関俊彦さんが主宰する演劇集団。声優さんが多く所属している劇団で、今年で20周年とのこと。私はアトリエ公演の『A Suite』を以前拝見してます。
上演するのは鈴木聡さん作の『阿呆浪士』。元はラッパ屋の公演として上演されたもの。タイトルからおわかりのように赤穂浪士…忠臣蔵をモチーフとした芝居で、ラッパ屋公演のときは、案内役として講談師の国本武春さんが語ったという趣向があった。

今回は講談部分をミュージカル仕立てに。それも、欧米ミュージカルじゃなくて、エノケン以来の日本の伝統的和物ミュージカルの形式を取っているのが、まさしく加納さんが作る『忠臣蔵』物らしいところ。曲の雰囲気からすると、宝塚の日本物(?)という感じも。この、ミュージカル仕立てにしたところが20周年らしい祝祭の華やぎを感じさせる。(ミュージカル部分の歌の歌詞は加納さんが書いているとのこと)
終幕近くでドラマティック・カンパニーのメンバー全員が揃っての「記念公演口上挨拶」があったのも、より祝祭感を高めます。

さて、演出の加納幸和さんは花組芝居公演で過去にも『忠臣蔵もの』を上演している。『いろは四谷怪談』では『忠臣蔵』外伝である『東海道四谷怪談』と『忠臣蔵』をないまぜにし、夏はお岩さん、冬は討ち入り、と季節毎に移り変わる日本人を風刺して描く面もあった。そして、『KANADEHON忠臣蔵』は歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』全18段を2時間あまりで一気に圧縮上演してしまうというもの。

そして、今回の『阿呆浪士』が加納さん演出『忠臣蔵もの』の三作品目。三部作と考えれば、『阿呆浪士』がまさに最終章。同じ題材をこのように様々な形で取り上げ続けるのも、とても珍しいことなのでは? と思う。

前2作品は歌舞伎の『忠臣蔵』の登場人物をそのまま描いていたのに対して、今回の『阿呆浪士』は、大石内蔵助など史実に残る赤穂浪士の面々と共に、その時代の町人たちや赤穂浪士関連の人々など架空の人を描く。
赤穂浪士の話で持ちきりの江戸、「俺も赤穂浪士だったらモテモテなのに…」と思っていた魚屋の八(関俊彦さん)がひょんなことから赤穂浪士の連名状を手に入れてしまい、赤穂浪士と間違われて…からの討ち入りまでのてんやわんやの物語。

大石内蔵助(中尾隆聖さん)がなぜか風車売りに化けて…とか、シークエンスも相当おかしい。ネタバレですが、大石が風車売りに化けるとき、なぜか「宝塚のトップスターの背負い羽根型」の風車を背負ってるんですよね(見てない方にはまったくわからない説明文章ですが…)。どうして「宝塚のトップスターの背負い羽根型の風車」なの? 中尾さんがDCのトップスターだから??(笑) わからないけど、でも面白いから、よし!

そんなくすくす笑いのところもありつつ、歌舞伎的にきちっと型を決めるところは決めて見せて(嶋倉雷象さん指導による殺陣も本格)。日本の『忠臣蔵』上演の伝統の中にこの作品があるということもきちんと提示している。そして、根本には普通の人たちの生き方をあたたかく見つめる鈴木聡さんの視点に加納さんの演出も寄り添って、八や、八の妻(波岡晶子さん)と片思いの長屋小町の娘(本美奈子さん)たちの馬鹿で、切なく、でも清々しい生き方を明るく、そして力強く描いてエールを送る。

これだけの要素を入れ込みながら、最後のカタルシスまで持っていき、一つの『阿呆浪士』の世界を仕立て上げた加納さんの手腕には感嘆するばかりだし、三部作最終章に相応しい舞台になったと思う。

関俊彦さんの魚屋の八っちゃんは実に生き生きとしていて、もしかして馬鹿な選択かもしれないけれど自分なりの誇りを見つけて立っていく幕切れには正直ぐっと来た。そして、中尾さんの大石内蔵助は上述のコミカルなシーンなどもありつつ、人間としての弱さを見せ、そしてもう一度討ち入りの意義を見出す場面の芝居が非常に印象的。お二人が力強く芝居を引っ張る。『いろは四谷怪談』では大星由良之助(大石内蔵助にあたる役)、『KANADEHON忠臣蔵』では吉良上野介を演じた原川浩明さんは大石家の家臣の大野黒兵衛を演じる御趣向。なんと、大石内蔵助の娘、すず(沢城みゆきさん)への密かな恋心もある役でびっくり。

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