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2012/05/12

ロックなマテ・トート~東宝『エリザベート』マテ・カマラスさん初日見て来ました

とうとう始まった東宝『エリザベート』。マテ・カマラスさんの初日である11日マチネ公演に伺いました。
私にしては珍しく?初日に伺ったのはなぜかというと……BEST STAGEでマテさんの取材させていただいたとき、「ぜひ、皆さんには私の初日の舞台を観に来ていただきたいですね。これはとても重要なものになると思いますよ! (笑)私の母も初日に観に来ます」とおっしゃってたのです。
今まで、おそらく何百回も(いや、もっと?)役者さんにインタビューさせていただいてますが、取材で「初日を観ていただきたい」とおっしゃった方には私は初めてお会いしました。
で、「これは行くしかないでしょー」と思い…(笑)。

(ちなみに、取材の後、某ゲネプロでマテさんに偶然会って取材お礼のご挨拶したとき「初日行きますよ~」と言ったら、とても喜んで下さいました。なんていい人なんだ、マテ……)

ということで、独特の緊張感漂う帝劇の客席へ。それはおそらく、マテのトートに対する期待(と不安も?)ゆえ。

果たして……マテのトート、素晴らしかった! まさにロックなトートでした。インタビューではロックスターのようだったハンガリー版、それより少しソフィストケイトされたウィーン版、そして東宝版ではさらに年齢も重ねたので、アダルトなトートになるのでは、というご自身の予想だったのですが…持ち味はロックですよね。だから、「最後のダンス」の迫力はすさまじいほどでした。

日本のミュージカルスターの方って、クラシック文化、ミュージカル文化出身の方が多いかな、と思うのですが(石井一孝さんとか、橋本さとしさんくらいでしょうか。ロック文化出身?の方って)、マテの歌を聴いて、改めて、「最後のダンス」はロックなんだとも思わされた。ロックの根本にある情熱、パワー、そして魅力的な破滅への欲望……そんなものが渦巻く、最後のダンスでした。見事。

それと対照的に、妖しく死に誘い込む歌声も甘く……。

また、ウィーン版にはないところ、「愛と死の輪舞」はもとより、カフェの場面やルドルフの独立運動参加でのトートがあることによって、トートの人物像もだいぶ変わってくるのだなあ、ということも浮き彫りに。独立運動のところのトートは、日本人にはない表現力(方法?)ですね、さすがに。

マテさんが日本語で歌い演技するということで不安がなくもなかったのですが、トートは前回の『MITSUKO』よりは全然台詞少ないし、歌に載せているとそれほど気にならないということと、人間じゃない役なので日本語が得意じゃなくても違和感が少ない(人間じゃないから、人間語はなめらかでなくても仕方ないわね、的な(笑))ので、個人的にはすんなり受け止められました。

ロックでパワフルなトート。実に魅力的でした。
そう……こんな「死」に見入られたら本望、というような。

初役の方々についても触れると。
岡田浩暉さんのフランツはナイーブで繊細そうなところが、この人もルドルフと血がつながっているのだ、と実感させられて、今までにない人物像を見せました。omoshiiで取材させていただいた平方元基さんのルドルフ。『闇が広がる』で気迫のこもった歌声を聞かせてもらいました。長身のスタイルのよさも舞台に映えますね。青年の理想と挫折が明確だったのもよかったですね。

そして、瀬奈じゅんさんのエリザベート。前回よりもさらに役柄を深くとらえていらっしゃるという印象。少女時代の活発さ、自信に満ちた姿、そして、晩年期…とそれぞれの時期の役作りがくっきりと際立っていて、エリザベートという一人の女性が生き抜く姿を的確に映し出していました。

前回、韓国版を見たのもあって、小池修一郎さん演出版を見直す形にもなりました。全体のトーンにある「黄昏のウィーン」という陰鬱さ、また、特にルドルフ関連の場面でのドラマティックな構成など、小池演出版の『エリザベート』の魅力にも再び気づかされるところも多かったです。

マテ・カマラスさんを得て、エリザベートとトートの関係も新たな色合いを帯びてきます。そう、全体の陰鬱なトーンがあるからこそ、ロックなマテ・トートの激しい色彩がさらに目を惹き、ハプスブルク帝国の滅亡を象徴するエリザベートの必死な生き方も際立つようになるのです。

では、石丸幹二さん、山口祐一郎さんのトートではどうなのか? そして、今回初登場の春野寿美礼さんのエリザベートは……? ルドルフ新登場の古川雄大さん、大野拓朗さん(山口さん、大野さんは明日初日ですね)もますます気になる! …っとすっかり術中にハマっている感じですが(笑)、そのあたりはまた、次回の観劇時に。

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