花組HON-YOMI芝居 天守物語 拝見しました
18日の初日に拝見しました。花組芝居25周年の記念公演で花組芝居の本拠地セーヌフルリで行われているものです。普段は稽古が行われているアトリエで見るのは独特の雰囲気がありますね。
稽古用の壁面いっぱいの鏡の前に高く段が設えられて椅子が並んでいます。こちらが舞台で、頭上にはミニサイズの獅子頭が。客席側の後ろには以前「泉鏡花の天守物語」の衣装として使われた着物が飾られて、それが鏡に映し出されて見える…というのが、なんともセンス良い感じ。
HON-YOMI芝居=リーディングということでしたが、「泉鏡花の天守物語」のBGMも使われて本公演さながらのドラマティックに酔える1時間20分あまり。もちろんただ椅子に座って読むリーディングでなく、アトリエという限られた状況を逆に生かして、ときには椅子を移動し、全員でのムーブメントなど目にも快い公演でした。
もちろん皆さんとても素敵にやってらっしゃるんだけれど、とにかく天守夫人富姫の加納幸和さんが素晴らしい。富姫登場の前も泉鏡花の台詞の妙を十分楽しんでいたはずなのに、富姫が出てきたとたんにまるでモノクロがカラーになったような感覚さえ与えられたのだから。HON-YOMIということで以前にやっていた遊びの部分がなくなった分、キャラクターがさらに際立って、立派さと可愛らしさが同居する富姫がとても魅力的でした。
そして図書之助の桂憲一さん。こちらも鮮やかな二枚目ぶりで登場のシーンから惹きつけられました。前回公演から12年ぶりの図書。ちょっとアダルトになった? でもけれんがないところがより図書之助らしいというか。彼のストレートな思いがビシビシ伝わってきました。
表現豊かな薄と、それと対照的に小田原修理を演じた北沢洋さん、初役で朱の盤坊と桃六を演じた原川浩明さんのベテラン組。そして天守物語初参加の二瓶拓也さんは亀姫で大井靖彦さんとは違う新たな造形で、なかなか面白く拝見しました。
空間的に様々な制約がある中、工夫を凝らして、さらにブラッシュアップされた「天守」を見せていただきました。これはまた本公演で見たいですね。
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