« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »

2011/11/18

2日で4公演+1個展

一昨日はラッパ屋「ハズバンズ&ワイブズ」「江戸の青空 弐」
昨日は「天守物語」「ニューヨークに行きたい!!」
と、日程の空きが出たところで固めて観劇(笑)。
ちょっとあわただしいけれど、それぞれに感動するところあり、考えるところあり、笑うところあり……。見られてよかった。改めてちゃんと書きたいと思います。

で。
一昨日の劇場移動の合間に訪れたのが舟見和利さんの個展「おもちゃの箱、展」。原宿のcafe' Na.(カフェな)にて。
ふらっとお邪魔したのですが、ドア開けようとしたらガラス越しに舟見さんの顔が見えて、驚いた~。
俳優の舟見さんの絵と写真、ブナオ君という以前から舟見さんが書いてらっしゃる舟見さんの分身?キャラクターもあり。
絵も写真も独学なのですって。すごいですね。
舟見さんらしい個性的な、独特の空気感につつまれる感じの作品たちです。
カフェな も、いい意味で原宿っぽくない居心地のよいお店でした。ほっこりと作品を眺めながら、素敵な時間が過ごせました。

さて、これから大好きな作品の取材~!(嬉し♪)行ってきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/11/15

松本潤さん主演「あゝ、荒野」

虚無をまとった青年の、存在感の大きさに圧倒されそうになる。
混沌とした「架空の昭和」の新宿の町にトラックに乗って(荷台に立って)現れたのが、新宿新次役の松本潤さん。
言葉を発さなくてもひりひりと感じる、痛みと虚しさ。
冒頭の登場から、人の目を惹きつける力の強さにすごい……と正直、思わされる。

寺山修司さん原作の小説を初めて戯曲化したという「あゝ、荒野」。蜷川幸雄さん演出で、嵐の松本潤さん、小出恵介さんが出演し、ボクサーを目指す青年二人の相克を描く。

ボクサー役ということもあって、松本さんは研ぎ澄まされた肉体を見せる。思わず「特権的肉体」という言葉が浮かんでしまったほど。(特権的肉体論は寺山さんじゃなくて、唐十郎さんだけれど)

吃音でモノローグでしか自分の思いをすらすらと語ることができない、バリカン建二役の小出恵介さん。コンプレックスの中で、輝かしく美しい新宿新次にあこがれの気持ちを抱くが、「愛するために愛されたい」建二は新次との対戦を求めるように……。

新次と建二、二人の思いが交わるジャングルジムのシーンが切なく美しい。場面が終わった後暗転になるのだが、その暗闇の中で、新次がポンポンと建二の肩を叩いていたのが目に付いた(新次が、じゃなくて、松本さんが、というべきか?)。与えられた場面だけを演じるのではない。新次の建二に寄せる温かい思いがそんな些細な仕草からも伝わってくる。

圧巻なのは、終幕近く。多くの登場人物に激しく詰め寄られながらも、自分の思いを吐露する新次。
アイドルとして今頂点にいる中で、そこに埋没せずある種の「乾き」を持って前に進もうとする松本さん自身と、日常に堕せず戦って栄光を得ようとする新次が見事に交錯する。その思いの強さに打たれるのだ。

対するバリカン建二の小出さんはナイーブな思いを見せる。私が前回に小出さんを拝見したのは「シダの群れ」で、そのときの強気なヤクザの姿とはまったく別人のよう。役者魂を感じさせる変容ぶりだ。

最後のボクシング対決のシーンの迫力はすごい。特に後半のスローモーションでは二人の体から汗が滴り落ちる。客席で息を呑んで見つめるのみ。


石井愃一さんが演じるスーパーの社長が語る、新次の輝く美しさと自分自身を対比して描く長いモノローグに非常に共感できるものがあった。ネオン輝く新宿の夜景、大胆に現れては消えていく装置もスペクタクルだ。

公演は12月2日まで、青山劇場にて。(前売りは完売。当日券は前日電話予約で受け付け。詳細は文化村ホームページでご確認を)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ひげ太夫を初観劇「天竺ダイヤモンド」

「出演者は女性だけ。男性役はひげを顔に描いて登場」という噂だけ聞いていた「ひげ太夫」を初観劇(11月13日)。私は初めてでしたが、劇団としては第32回公演で、長い劇団歴を重ねてらっしゃいます。
「面白そうだけど、もしかしたらちょっと奇をてらった感じ…?」なんていう予想とは違って、非常に演劇的に面白い、豊かに広がる舞台が待ってました。

ドア、とか、山、とか花、そよぐ風などの情景描写を組体操で行うのですね。最高は人間が4段に重なる組体操まで見せてくれて、これは迫力。擬音が「どっかーん」やら「そよそよ……」やら、口三味線で言うのもあり。
目の前で展開していることと自分の想像力とのコラボレーションが意外と楽しかったのです。

ストーリーは伝説の宝石「天竺ダイヤモンド」を巡る冒険物語。イヤな人が一人も出てこないお話。出演者は概ね複数役(と組体操)を兼ねて演じています。
まっすぐなパワーが心地よくて、なんかよくわからないけど、終幕は涙ぐみそうになった自分にビックリでした。
作・演出も担当する吉村やよひさんは網三郎役で堂々の主演ぶり。林直子さんはとても素敵な声で悪役(でも本当はいい人(笑)の)ブラックシャークやなんとも可愛らしい王様や伯爵を演じて、その三変化が見事。藤谷みきさんもひげ(!)姿で少年すずかけ役を清々しく、透明感のある女性ナツメ(もちろんこちらはひげナシ)を演じてました。レイヤード・シャギ男の鈴木子さんは往年の成瀬こうきさんのような二枚目姿が印象的。

東京公演は終了。大阪公演は12月3日~5日一心寺シアター倶楽にて。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/11/05

楽しく、じんわり~TRIANGLE VOL.2

パルコ劇場で『TRIANGLE VOL.2~探し屋ジョニーヤマダ~』を観劇。
井上芳雄さん、新納慎也さん、彩乃かなみさんの3人で繰り広げるSHOW STAGE。2年前の『Triangle~ルームシェアのすすめ~』とは、作(蓬莱竜太さん)・演出(宮田慶子さん)を含めて同じメンバーだが、ストーリーは続編でなくまったく別物。
楽しくはじけた印象の1作目とはまた違う作品だけど、ほろ苦さやじんわりと心を温めてくれるところは共通する。
ミュージカルって、前向きでキラキラしていて、ときとしてその前向き感についていけなくなる弱い自分もいたりする。でも、この作品は、決して「頑張ろう!」とこぶしを振り上げるんじゃなくて、「そう…だよね……」とやんわり共感できる。それが、今、(2011年の震災を経た)この時期に上演するものとしては非常にふさわしい気がする。

設定はSFチックで、ジョニーヤマダ(井上さん)は人の心の奥に入り込める「探し屋」。婚約者のビッキー(彩乃さん)と共に、昏睡状態に陥ってしまった親友のトーマ(新納さん)の過去の記憶に入り込んで、なぜ昏睡してしまったかを探り出す…というストーリー。
過去と現在が入り組んでいくうちに、「あのとき実は……」というものに突き当っていって…。

「あのとき、こうでなければ」という思いはだれしも持つもので。観客とも共通する懐かしさ、切なさが舞台を覆う。痛みに触れる部分もあるけれど、それは、歌や踊りのパワーで重苦しくならずに見られるのが、この作品の「程の良さ」だと思う。演出の宮田慶子さんがそのあたりのバランスを非常に的確に心配りされたのではないだろうか。
じわっと心に響く、温かい舞台でした。

過去にさかのぼる、ということで3人の小学生姿も見られる。
3人に当て書きしたという前作とはがらっと変わった役柄設定。能動的にアクションを起こしていくジョニーヤマダの井上さんは、アドリブをまじえながら、イキイキと舞台に存在する。「カンチョー」(笑)とか「こんな小学生、いたよな~」なんて既視感もあったり(笑)。繊細な心を持つトーマの新納さんは、心の揺れを丁寧に描き出す。ビッキーの彩乃さんははじけ方にふと滲ませる弱さの対比がうまく、大胆なようでいて決して品を落とさないところがとてもいいなと思う。

今回が第2弾の舞台。また新たな設定で第3弾、第4弾…と続くことを期待。

公演は11月20日まで パルコ劇場
11月25日~27日 シアター・ドラマシティ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/11/04

恋する女性たちへの讃歌~『夏の夜の夢』&『十二夜』 スタジオライフ

スタジオライフのシェイクスピアを音楽劇で上演するシリーズLif"e with Shakespeareで『夏の夜の夢』をダブルキャストで、そして『十二夜』の3パターンの公演を連続上演する舞台。
ライフにとっては『夏夜』は3度目(ただし、Lif"e with~のサブタイトルがついての上演は初めてと記憶する)で『十二夜』は2度目の上演。

初演時に私が書いたレビューは、ご参考までにコチラ→新解釈の「夏の夜の夢」(2006/9/9)
陰影深い「十二夜」(2009/11/20)

宇野亜喜良さんを美術・衣裳に迎えての公演で、ビジュアルイメージは一新。特に『夏夜』は色合いの美しさが際立つ衣装である。「芝居の衣裳とは、ただの洋服のデザインではなく、キャラクターを創ること」(別の衣裳家さんに取材したときに伺った言葉)だそうで、宇野さんの新ビジュアルにより新たなキャラクターが生まれたようだ。
セットは同じ原形を使いながらもまったく違うイメージのものとなっていて、これは同時上演の2作品としてはとても珍しいこと。同日に『夏夜』『十二夜』上演するときもあり、劇団ならではのスタッフワークの確かさも感じさせられる。


私は『十二夜』と5日ほど後に『夏夜』Bonbonチームを観劇したのだが、連続上演することによって新たに浮かび上がってくるものがあった。
それは両作品に共通する、恋する女性たちへの倉田淳さん(上演台本・演出)の温かな視線であり、応援のメッセージだ。
たとえば、『夏夜』で信じられないほどの運動量で恋のバトルを繰り広げるハーミアとヘレナに大笑いしながらも、その奥にある倉田さんの「もっと能動的に恋せよ乙女」という思いがひしひしと伝わってくるのである。
そして、ヒポリタがシーシアスへの恋心を解放していく心の変遷にも、倉田さんの熱い思いが伺えるのだ(これについては、2006年レビューをご参照のこと)。


また、2作品の中にある不思議な共通性も見えてくる。
妖精たちの不思議なキャラクターが出てくる『夏夜』と、現実的な登場人物のみの『十二夜』。設定は違うけれども、共に混乱の後に「あるべきものがあるべき姿になっていく」物語であるということだ。
『夏夜』と同時上演されることで、『十二夜』のラストシーンの祝祭性はさらに高まったように思える。

(混乱、といえば、『夏夜』で浮気草の魔法にかかったくだりの場面で、ライサンダー、ハーミア、ディミートリアス、ヘレナの白い衣裳が泥だらけのものに変わっている。これは初演からそうなのだが、私が今まで何作品も見てきた他のプロダクションの『夏夜』で、4人の恋人たちの衣裳が途中で変わっているのを見たことはない。スタジオライフ版で泥だらけに変更しているのは、彼らの心の内にある混乱をそのままビジュアルイメージに落とし込もうというものだと推察する。倉田淳さんがいかに深く、いかに繊細に『夏夜』の登場人物たちの内面をとらえているかということの表れでもあると思う)

男装しているためにオーシーノ公爵への恋を進められない『十二夜』のヴァイオラは、自分の恋敵であるオリヴィアの恋を取り持とうとするが、それは、恋するディミートリアスのためにライサンダーとハーミアの駆け落ちを教えてしまう健気なヘレナの恋が重なって見えてくるのだ(※文末に注記)。

また、ディミートリアスは浮気草の魔法によってヘレナに恋するが、その魔法は解けないまま。兄の死に沈んでいたオリヴィアは、ヴァイオラの男装という偽りの姿に恋をしたおかげで、生きる勇気を取り戻す……というふうに、共に誤りをスタートとしながらも、最後は「あるべき姿」に収束していく、という共通点もあるのだ、と思う。


ハーミア、ヘレナ、ヒポリタ、ティターニア、ヴァイオラ、オリヴィア、マライア……。それぞれの女性キャラクターがここまで個性豊かに、力強く、生き生きと描かれているのは、男優たちが役に注ぎ込む情熱であり肉体のパワーによるものだ。ここにスタジオライフがシェイクスピアを上演する意義があると感じる。

(書いてて、今気づいたけれど、女性キャラは全員ハッピーエンドなのに、男性キャラはサー・アンドルーとかマルヴォーリオとかアントーニオとか不遇で終わってる人もいるんですね。「あるべき姿」からはじき出されるのは、男性のみか……(笑)。どういうことだ、シェイクスピア…)


さて、両作品とも音楽劇の形式を取ることで、テンポよく楽しく物語が進んでいく。オリジナル楽曲での『十二夜』ではアホウドリチーム(奥田努さん・冨士亮太さん、原田洋二郎さん、鈴木智久さん)が歌いながら、舞台装置もどんどん転換させていてこれは大健闘。
『夏の夜の夢』では懐かしいテイストの洋楽。オーベロン役の石飛幸治さんが『レ・ミゼラブル』グランテール役を経て、さらに豊かな歌唱力となって聞かせてくれた。前回公演にはあったライサンダーとハーミア、ディミートリアスの歌がなくなったのはちょっと残念。

印象に残った方を触れると『十二夜』で、前回公演よりさらに瑞々しく乙女心を描き出したヴァイオラの松本慎也さん。マルヴォーリオの坂本岳大さんは(髪型がスキンブルシャンクス風……余談)慇懃無礼な滑稽さが際立ち、最後の演歌(?)も聞かせてくれた。セバスチャンの関戸博一さんは恋に盲目となりひた走る様子を爽やかに表現。歌声が伸びやかでした。オーシーノ公爵の曽世海司さんはキャラクターの際立たせ方が群を抜く。オリヴィアの及川健さんは、恋をして変わっていく様子がキラキラと美しい。マライアの林勇輔さんは前回公演に比べると、利発な女性より恋する女性に傾斜している役作りか。

『夏夜』ヘレナの切ない女心を描くのは青木隆敏さんの独壇場。ハーミアの及川さんはまさに体当たりの演技で恋するパワーを表現する。お怪我ありませんように…。ライサンダーの関戸博一さん、ディミートリアスの緒方和也さんも共に初役で、好対照な役作り。坂本さんのクウィンスは、最後の村人芝居に『ロミオとジュリエット』を重ねる導入を非常に丁寧に描き出していたと思う。シーシアスの牧島進一さんは台詞の説得力が素晴らしい。


『十二夜』『夏夜』共に恋する女性たちへの讃歌であると同時に、シーシアスの言葉にある「すべての芝居は影」も体現するものでもある。
『夏夜』の終幕、パックの倉本徹さんが「どなた様もご機嫌よろしゅう」というと、ふっと目の前の世界が揺らいで消えるような不思議な感覚にとらわれる。現は夢、夜の闇こそまこと。そんな表裏一体の切なさが漂うのも、男優だけが演じるスタジオライフならではだろう。


(※注記)「ヴァイオラとヘレナが重なって…」という話を、終演後にご挨拶した松本慎也さんにしたら「ヘレナですか!?」とビックリされたので、この解釈間違ってるのかも……(苦笑)。間近に拝見した、宇野亜喜良メイクの松本さんは大変お美しかったです。


公演は11月8日まで、紀伊国屋ホールにて。その後、大阪、新潟、韓国ソウル、かめあり公演も。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »