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2011/10/21

また別の意味で真摯…D-BOYS STAGE9th 検察側の証人

※ ミステリーのトリックや結末には触れてませんが、ストーリー構成や役柄などには触れています。これからご覧になる方はご注意下さい ※

イケメンブームの中、若手男優が集まる舞台というのは、今の日本では結構ある。
大体、そこで繰り広げられるのは、熱、本気、感動。皆さん、もちろん真摯に芝居に取り組み、その熱と真剣さに心動かされる舞台が多い。
ワタナベエンターテインメントの若手男優集団のD-BOYSが今までやってきた舞台も、幕末期に見果てぬ夢を追い、古里を守ろうと戦い続けた若者たちを描いた「鴉」や戦前最後の大学野球早慶戦を描く「ラストゲーム」など、若者の真摯さで見せる舞台が多かった(余談だが「ラストゲーム」は私の母校の話だったこともあって、とても感銘を受けた)。

しかし、今回のD-BOYS STAGEはそれとは一味違う。
題材はアガサ・クリスティの『検察側の証人』。副題に「~麻布広尾町殺人事件~」とあり、昭和初期の日本に舞台を移したもので(脚本は鈴木哲也さん、飯島早苗さん)、演出は鈴木裕美さん。

クリスティのミステリー劇を若手男優メインで見せる、しかも名作で知られる『検察側の証人』……ということで、題材に共感して熱を帯びていく…という演じ方では済まない舞台だ。
見ていて非常に好感が持てたのは、この舞台を成立させようという、彼らの強い意志。非常に真摯に取り組んだことがストレートに伝わって、2時間25分ミステリーの波に翻弄されつつ、集中力を持って観劇することができた。


原作では年配の弁護士が主人公ということで、もちろんそのままでは演じられない。弁護士役を若手の、しかも対照的な二人の人物に分けるというアレンジを加えた。これによって、若手が演じるに足る、成長物語的な要素も加わってくる。

1925年(大正14年)クリスティをほぼ同時期の昭和初期に置き換えたのはいい翻案だけれど、もう少しレトロな雰囲気とか時代感が出せれば…という気もする。

弁護士二人を演じる、瀬戸康史さんと五十嵐隼士さん。瀬戸さんは舞台映えのするスタイルのよさが引き立ち、「堅物だが上がり症」という人物の成長の過程を細やかに演じた。五十嵐さんは法律用語の多い、長台詞も能弁にこなし、ちょっと色気のある風情もいい。二人の好対照さが舞台を盛り上げる。二人を支える事務員を演じた橋本汰斗さんは誠実さがいい。注目したのは、裕福な未亡人を殺した容疑で逮捕される役の柳下大さん。「誰もが微笑まないでいられない」といわれている愛嬌あるところと、その陰に持っているものと、複雑な人物像を引きつけられる演技でつぶさに見せてくれた。

ヒロイン志摩子は馬渕英俚可さんが美しく演じる。
色濃い存在感を放ったのは未亡人宅の女中役の平田敦子さん。こういう人が出るとぐっと芝居が立体化するのだ。

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