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2011/08/25

「リアル・シンデレラ・ストーリー」見てきました

スタジオライフの若手公演「リアル・シンデレラ・ストーリー」を拝見しました。
毎年若手・新人公演を行っているのがスタジオライフの美点。若手公演は作・演出の倉田淳さんの初期のオリジナル作品を取り上げるのが通例となっており、今回は若手公演初登場となる「リアル~」に。初演は1988年とのこと。

小劇場ムーブメントのはしりだった時代の匂いがする作品で、時空を飛び物語の世界に入っていったり、テンポの良い渡り台詞があったり。ウェストエンドスタジオの全体まで飾る舞台装置はワクワク感を増す。ぎっしりのお客様で藤原啓児さんによる席詰め「どっこいしょ」も。
(昔の小劇場は「ヨイショ」って言って席詰めしてギュウギュウになってみたよなあ、とノスタルジー(笑)。「ヨイショ」すること自体何年ぶりだろう?)

「DO YOU LIKE SEX?」「YES!」と叫ぶ男たち、という度肝を抜くオープニング。熱さとテンション(これも当時の小劇場色)で、モテない男3人がモテ男の秘術を恋愛のエキスパートから学ぶ苦闘、というのが前半。
が、話が進んでいくうちに「モテたい」というのはただの浅薄な思いでなくて、「深く人と関わりたい、結びつきたい」(が「DO YOU LIKE SEX?」「YES!」の意味するところ)ということであり、自分が物語の主人公になりたくてエキスパートに連絡した、というのがわかってくる。

モテ術の卒業試験として、突然シンデレラの世界に小鳥となってワープする3人。物語の主人公の可哀想なシンデレラが王子様と結ばれてめでたしめでたしと思いきや……。

(以下、ラストシーンに触れる内容ですのでこれから舞台を見る方はご注意下さい)

シンデレラの物語には、表に出てこない「リアル」があったのだという。

「あなたたちは本当の姿を見ていたの?」と問われ、呆然とする3人は、元の世界に戻り、恋愛術の卒業を言い渡される……。

非常に苦みのあるラストで、正直、自分の中で解釈が定まらずにいます。
「物語の主人公になって愛し愛されたい」というのは、それもまた「夢物語」であるというのか。
「可哀想なシンデレラ」という定型の中に押し込められているのだけでなく、それを逆手に取れる女性はもっとしたたかということなのか。
ただ、「ガラスの靴を履かされている」という台詞があったと思うので、ステロタイプに生きなければいけない女性の悲しみや怒りというのもそこには存在すると思うのですが…。(昨年上演された「じゃじゃ馬ならし」に通じるものがある?)
ラスト、シンデレラ役の青木隆敏さんがマリリンモンロー(それこそ、「男性」が思い描くセックスシンボル)になるのも、押し込められる女性という象徴なのか?

帰り道につらつら考えていたのですが、うまい結論は出ませんでした(苦笑)。ただ、それだけ後を引くいろいろ考えさせる作品、ということなのでしょうか。

ダブルキャスト公演で私が見たのは「ガラスの靴」チーム。
(何度もこの言葉書いて恐縮ですが)「DO YOU LIKE SEX?」「YES!」という文言だけ見るとすごく即物的な印象を与える言葉を(倉田作品の根本ともいうべき)「人は一人では生きていけない」という思いまでに高めるところまで持っていったのは、非モテ男3人組、関戸博一さん、緒方和也さん、松村泰一郎さんが誠実に役に取り組んでらしたからと思います。文字通り汗がしたたりおちる熱演でした。

冒頭のシーンから若手の皆さんもすごいテンションで取り組んでらしたけれど、さらにそれを上回るパワーで出てらしたのが恋愛エキスパート役の倉本徹さんと石飛幸治さん。先輩方との共演が若手の皆さんの大いなる刺激になればいいなと思います。

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2011/08/16

Keep on

週末は、水夏希さんのユニットGuys From The Earthのライブ、 『Summer Festival 2011 Keep on』に伺いました。

私は水さんのファンクラブAQUAの会報ライターを担当させていただいておりまして、取材でお話しているときには頭の回転の早さとトークの面白さにいつもビックリ&感動しております。何より一番感じるのは、言葉に嘘がない方だなと。会報だからファンの方に向けて話してるわけで、きっとファンの方とこうやってずっと誠実に向かい合ってこられたんだろうな、ということを(もちろん宝塚時代からずっと舞台を拝見してますが)改めて感じました。

週末のライブも、水さんらしいエンターテイメント精神が随所にあふれていて、とても楽しませてもらいました。
端的な例をあげると、いったん退場して短い時間の後再登場したときには、衣装を変えるだけでなく靴も髪型も変えてらっしゃるんですよね。それはアンコールのタンゴの後、すぐトークに出てきたときもそうでした。これ、なかなかできることじゃないと思います。それはもちろんプロ意識もあるでしょうが、お客様を楽しませたい、という気持ちがあってのことだと思うんですよ。

ライブの構成としては、会場で先行発売になったGuys From The Earthの1st Album「Keep on」からの曲と、女性演奏ユニットMODEAとのコラボ、ゲストのBugs under grooveのTETSUさんとIYO-Pさんとのダンス、夏メドレーなど、バラエティに富んだ構成(演出・構成は平澤智さん)。途中、お客様との掛け合いも楽しいトークを交えつつ、アンコール込で2時間くらい。

印象に残ったのは、TETSUさんとIYO-Pさんとのダンスバトル(?)。黒スーツ姿でのジャズィーなダンスは、水さんの本領発揮というべきかっこよさでした。アルバムに入っているという、ギタリストKBさんとのUNGPLUGGED風の(本当はPLUGされてたけど)曲は大きな世界の広がりを感じさせましたね。

Guysは、ヒップホップ系の歌って踊れる若きメンズと水さんとのユニットです。演劇ファンとしてなじみがある方は、昨年の東宝「RENT」に出ていたSpiさんかな。宝塚男役出身の水さんとは異文化の方たちと思います。

一般論として、宝塚男役トップスターの方の初コンサート・ライブが開かれるとき「ドレス姿を披露」「初めての女性姿に」とかいう見出しがスポーツ紙を飾ることが多いですよね。おそらく女性姿を見せることが、変身・再スタートを印象付ける一番手っ取り早い方法かもしれません。
でも、水さんはそれを選ばなかった。宝塚の男役として一つの完成形まで到達した方が、再スタートの姿を見せるにあたって選ばれた(誰も考えなかった)まったく新しい方法が、この異文化の人たちとのコラボなんだなと理解できました。

今の時点では水さんとメンズたちとはキャリアに差があるけれど、水さんのエンターテイメント・スピリットを身近で見て、いろいろ学んでいって、水さんに肉薄できるようになったら、きっととても面白いユニットになるのでは。そんな期待も抱かせてもらいました(なんだか、偉そうな表現で申し訳ありません)。メンズたちも大舞台で楽しそうにやっていらっしゃいましたね。

東京3ステージソールドアウトで、いらっしゃったお客様のアツイ思いもひしひしと感じたライブ。アンコールで水さんが「皆の期待をいい意味で裏切り続けていきたい。裏切りをKeep onするから、応援もKeep onして」といっていましたが、これからどんな道を切り開きながら、水さんの新たな魅力を開花させていくのか、見守っていきたいと思います。

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2011/08/08

岸家の夏/東京モダンガールズ

女性がテーマの2作品を続けて見る。

劇団鹿殺し『岸家の夏』
九州の柔道場に育ったアラフォー・アラサー三姉妹の話。父親が作った借金のカタに、亡母との思い出の実家兼柔道場を取られそうになり、なんとか借金を返すべく奔走するが…。

とにかくパワーのある舞台だった。
それは何よりゲストの姉妹役、千葉雅子さん、峯村リエさんによるものが大きくて。
それぞれ自分たちの劇団(猫のホテル・ナイロン100℃)でしっかりやってらっしゃるお二人が、若手の勢いある劇団ですべてをさらけ出して演じきっている様が、本当にすがすがしい。
千葉さんと峯村さんの力強い芝居が、そのまま、作品のテーマである「もがいて、もがいて、一生懸命に生きてる女性」(←陳腐な表現で申し訳ない)にそのままリンクしていて、非常に感動的だった。

千葉さん、峯村さんのパワーに呼応する呼応するように、末娘役菜月チョビさんはじめ鹿殺しの皆さんも大車輪で演じる。早変わりの連続。歌と踊りもたくさん。
途中、千葉さんの役が借金返済のお金を作るためパチンコ屋に行くシーンで、出演者がパチンコ玉になり(!)、コマ付きのイスを舞台上で猛スピードで滑らすダンスが、鹿殺しらしく個性的でとても面白かったのだった。

トルコ人のケバブ屋イルハンの谷山知宏さんもずるい男だけど憎めないキャラがいい感じ。もちろん(パチンコ玉含め)ダンスでも活躍。

劇中、亡くなったお母さんがしばしば三姉妹の前に現れて話をする(あるいは、彼女たちの背中を押す)場面では、一人、涙が出て仕方がなかった。
生きている人は、亡くなった人の思いを背負って、それに力を得て生きていく(生きていかなければならない)…。『赤とうがらし帝国』にもこういう設定があったけれど、丸尾丸一郎さんの脚本の根底にある思いに、心揺さぶられる。

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おおのの『東京モダンガールズ』

実際の観劇の順番はこちらが先(3日の初日公演を観劇)。
夏目漱石、太宰治など文豪シリーズをポップに描いてきた大野裕明さん。今までは大野さんの作・演出だったものが、今回は吉田麻起子さん(双数姉妹)が脚本を担当(出演も)。
平塚らいてう青鞜創刊百周年記念で、平塚らいてう(仲坪由紀子さん)や伊藤野絵(山口奈緒子さん)など大正期の女性思想家の黎明期を描く。

チラシにある「乗り越えられない不幸は乗りかかってはこないのよ! 全ての女性に送るパワフル大正浪漫」
という言葉を想像していくと、違うイメージの舞台になっていた気がする。
やや湿度が高いというか。
「元始女性は太陽であった」という新しい女性の主張を持っていたはずのらいてうや野枝が、男性との関わりの中で、やがては男性との相対性の中に帰っていってしまうというような……。
吉田さんはチラシの文句を、逆説的に描きたかったのかな? ご本人に聞いたわけでないのでわからないけれど。

(実際のらいてうは、この舞台で描かれた時期の後、第2次大戦後も反戦・平和運動を続けている)

演出は大野さんらしいポップなイメージ。

この舞台で描かれている女性思想家たちには残念ながらあまり共感できなかったのだけれど、でも、らいてうや野枝を巡る男性陣が皆さん素敵で、そちらに注目して見てました(笑)。

野枝を巡る二人の男性。野枝の夫、辻潤役の江戸川卍丸さんと、フリーラブを訴え複数女性と不倫関係を持つ大杉栄役の三村聡さん。
女性の立場からしたらめっちゃムカつく(笑)ご都合主義なフリーラブ理論を唱えていても、それを許したくなってしまうような不思議な魅力がある男性像を実感を持って演じてくれた三村さん。
そして、今までどちらかというと「怪演」ポジションを拝見することが多かった卍丸さんが、これほど端正で落ち着いた佇まいで、抑えた色気が出せるとは……と、新たな魅力を発見。
この二人が酒を酌み交わすシーンが見どころ。

らいてうを巡る二人の男性。らいてうと心中未遂事件を起こす、実は妻など三股かけてる森田草平(この心中未遂事件をきっかけに、らいてうは女性問題に目覚めるようになる)。そして、青鞜創刊後に知り合う、らいてうより5歳下で画家で俳優の病弱な奥村博史。この二役は堀越涼さんが演じる。
らいてうを巡る男性を堀越さん一人で演じるのは、森田と奥村との幅があればあるほど、らいてうの男性による変化を浮き彫りにさせる効果もあり。
心中をやめて帰ろうとする森田のずるさ。後に心中未遂事件を小説に書くと告げるとき、そこにずるさだけでなくて「苦み」がほの見えるのが、堀越さんたるところ。奥村は純真な愛を貫く人で、繊細かつ素朴さがちょっと珍しい、かな。

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