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2011/02/06

スタジオライフ『11人いる!』

昨日開幕したスタジオライフ『11人いる!』を観てきました。(ダブルキャストのうちAlcorチーム)

本日は本公演終了後に「劇場へ行こう!プロジェクト」という催しがあるとのことで、劇団製作様よりご案内いただいて今日見ることに。その催しの話は別アーティクルで書くとして、まず公演の話を…。

萩尾望都先生の傑作SF漫画『11人いる!』。宇宙大学受験のため、宇宙船白号に集まってきた10人の受験生たち。しかし、白号にはなぜか1人多い11人いる! 前代未聞の事態の中で繰り広げられる疑念、衝突、そして友情をダイナミックに描く作品。

スタジオライフにとっては『トーマの心臓』『訪問者』『メッシュ』『マージナル』と続く5作目の萩尾作品。萩尾先生の作品の世界観を、2時間の上演時間でぎっしりと伝えたなぁ…というのに、まず感心する。
11人の「男性」の集団劇を男優集団が熱く演じ、なおかつ、萩尾作品が持つロマンチシズムを脚本・演出の倉田淳さんが描き出しているのだ。

そして、CGなども使いつつ、演劇らしい想像力をかきたてる演出で(円形を生かした装置が効果的)、私たちも宇宙空間に飛んでいけたような感覚が持てる。

誰が11人目か? というサスペンス部分を引っ張る一方、11人のまったく違うキャラクターをリアルな形で登場させることで、物語の根底にある「国が違い見た目が異なる人たち同士でも、分かり合える、手を取り合える」というテーマをが浮き彫りになる。
観終わった後に、最後に全員が言う台詞のとおりにとても前向きな気持ちになれるのが、今回の『11人いる!』で心惹かれるところ。

劇団員だけで演じているからこそ緊密な一体感がとても魅力的な舞台だ。


作品のテーマを伝えるには、11人のキャラクターがどれだけ個性的であり異なっているかというのが重要と思う。

印象に残るところをあげると、まず及川健さんのフロル。両性具有体で性が未分化というキャラクター、しかも一見女性だが、男になりたいと願っている…というところ。「男性が女性役を演じる」というのでなく、男性女性のどちらでもありうる要素を持つ役。見た目ももちろん、演技力で説得力を持って演じていらしたのに感心させられた(ダブルキャストの三上俊さんがどういうふうに演じているのか、気になるところ)。作品の核となるであろう台詞も、フロルの生命力でもって力強く伝わってきた。

林勇輔さんのヌーも両性具有体だが、うろこに覆われているという人物。こちらは男性形に近い見た目だが、男性ではない柔らかな存在感と、長く生きなければいけない宿命からくる達観があってキャラクター性が際立つ。ヌーの故郷で、短命の人々が住む星の回想シーンの男女の表現がとても美しく切なくて、このあたりが倉田演出の冴えているところ。

また、船戸慎士さんのガンガは、受験生たちの中では大人な立ち位置。タダとの会話の中で宇宙大学入学がきっかけで自分の国を変えていきたいという希望を語るシーンに情感があった。

これら個性的な登場人物の中で、求心力をもってタダを演じた山本芳樹さん。彼の心の軌跡と成長がつぶさにわかる演技だった。フロルとタダの心を通い合わせる場面で、独特の柔らかで温かい空気感が、さすがに長くコンビを組んでらっしゃるだけのことはあるな…と思う。二人が宇宙空間に出て行くシーンは、原作を読んでいて「どう描くんだろう?(舞台で描くのは難しいからもしかしてカット?)」などと見る前は考えていたのだけれど、これは予想外の形での表現になっていて意表を突かれた。でも、とても二人の関係が生きるシーンになっていたように思う。


と、全体的にはとても面白く拝見したが、強いて気になったところをあげるとすると。11人全員の心理の動きがとても大切な作品で、皆がプラスの方向に気持ちが動く(一致団結するとか)のはとてもうまく力強く表現できていると思う(おそらくこれは、同じ劇団の人が演じている強みでもある)。それと比べると、マイナスの方向に気持ちが動く(タダを排斥するとか)表現がバランス的にやや弱いところもあるかも。このあたりの人間心理のうねりがさらにリアルに表現されるようになれば、より素晴らしい舞台になるのではないかと思う。とはいえ、昨日初日で十分な出来とも思うし、回を重ねるごとに心理がどんどん書き込まれてより深くダイナミックな舞台になるであろうという予感は十分にあった。

とてもパワーのある作品と役者で、ダブルキャストもう1チームを拝見するのも楽しみだ。

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