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2011/02/26

「11人いる!」舞台化記念 萩尾望都先生インタビュー(前編) 公開されました!

スタジオライフにより舞台化され現在公演中の萩尾望都先生の名作SF「11人いる!」。
これを記念し、萩尾望都先生のインタビューを担当させていただきました。

このたび、インタビューが公開されましたので、ぜひご覧下さい!


omoshiiプレオープン企画「萩尾望都インタビュー」前編

個人的には、私が中学生の頃より大ファンだった萩尾先生に話を伺え、とても光栄でした。
『11人いる!』を描いた当時の思い出や、スタジオライフ作・演出の倉田淳さんと萩尾先生が引きあう部分など、とても興味深いお話をお聞きできました。
直接お目にかかった萩尾先生は「なんて心が広い方なんでしょう」と思い、たくまざるユーモアもある本当に素敵な方でした。こういう方だからこそあんなに人間の心の真髄に近づける作品が描けるのだなと改めて思います。

漫画作りにかける思いに触れていく後篇も近日公開されますので、お楽しみに。

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2011/02/21

劇団上田『アマゾネス』

劇団上田は初観劇。劇団としては3年ぶりの公演とのこと。(シアター711で上演。公演は終了)

言葉では説明できないような舞台、という書き方をするのもいかがなものかと思いますが(笑)。でも一言で言えるようなことだったら言葉で言えばいいわけで、一言で言えないからこそ舞台なんだなと思う。いろいろな要素が組み合わさり、絡み合って、最後に受ける印象はとても不思議。

ストーリーは、自分が見たいDVDを探す人と、そのDVDの中で繰り広げられている、スパイ養成学校卒業生たちとタイムトラベルの物語がないまぜになったもの。
荒唐無稽な設定かと思うと、決して不条理(シュール)な内容でなく、ちゃんと首尾は整ってて。
段ボールチックな舞台装置だけれど、それが絶妙に効果をあげていて。
最後には、ちょっと感動してしまったりする。

面白い舞台でした。

役者さんは、皆両方の世界で、複数の役を演じる。
主宰の江戸川卍丸さんは、すぐれた身体表現能力(正面向きで、皆で並んで走っているシーンの迫力がすごかった)と図抜けた存在感。
女性陣は、スパイ養成学校の卒業生たちの同窓会の4人が女子会っぽい感じがあって可愛らしかった。藤谷みきさんがなんともキュート。

冒頭(DVDを探す人の場面に続き)、白いシャツに黒いスパッツをはいた女性たちがショートコント?みたいなことをする場面がある。後から気がついたけれど、それがチラシの扮装だったんですね。と思って、劇団上田のホームページを見たら、過去公演のチラシも皆白シャツに黒スパッツを着ている…?  うーん、これはどういうことなのか、劇団上田。また謎が増えました。

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2011/02/16

下北沢で2本…『く・ち・づ・け』『六人のへそ曲がり』

先週末、下北沢で見た2作品について遅ればせながら。共に上演時間1時間半。劇場の大きさや雰囲気に合った作劇がお見事でした。

むーとぴあ『く・ち・づ・け』

武藤晃子さんプロデュースの公演の第3回で、私はむーとぴあさん初見。作・演出はわかぎゑふさん。
昭和5年、「男女席を同じうせず」の時代。男手一つで育てられた女の子(武藤晃子)が、幼いころからのいいなづけの軍人(近江谷太朗)との正式の婚約を前に乳母から「結婚したらやること」というのを教えられる。それは「口吸い」(くちづけ)。唇を合わせるなんて!? と動揺する彼女が、初めてのくちづけを前にして…。
というお話。昭和初期、結婚前の女性はこんなに純情だったんだなあ、と思いながら、繰り広げられる大騒動(?)に笑う。
「ファーストキス」の顛末までの1時間20分の後の10分。出征が決まったために、軍人は女の子との話を破談にしてしまった。しかし女の子と軍人も共に思いを残したまま、終戦を迎えて……。

たまたま前方席で観劇していたのだけれど、終戦後帰ってきた軍人が(物理的時間は3分しか過ぎてないのに)まさに15年間、戦地でいろいろな苦労を重ねながら女の子を思い続けてきた、というのがその表情から伝わってきて、圧倒された。近江谷さん、すごいです。
くちづけでこんなに可愛らしく盛り上がるのも、そして、戦争で人々が引き裂かれるのも、ほんの60年あまり前には普通にあったことなのだ……という事実が胸に突き付けられて、ぐっと来る。

武藤さんがホントに18歳のような初々しさ。乳母トメ役の種子さんの達者な味わいに爆笑。荒木健太朗さんはとぼけた味わいの二枚目が意外だけど、似合ってました。

花組芝居OFFシアター『六人のへそ曲がり~明治文豪青春賦』

花組芝居で加納幸和さんのもと演出助手を務める大野裕明さんの作・演出。『ザ・漱石』(花組芝居OFFシアター名義)『世界の中心で、朔太郎を叫ぶ』『走れダザイ』(以上おおのの名義)など、明治~昭和の文豪を取り上げた文豪シリーズ。
森鴎外(各務立基)、夏目漱石(大井靖彦)正岡子規(蔵本康文)高浜虚子(松崎賢吾)尾崎紅葉(水下きよし)泉鏡花(美斉津恵友)の六人が互いに影響を与えあいながら、どう自分たちの文学・創作に向かい合っていったかを描く。
爽やかな青春群像を、テンポよく描く。立体貼り絵のような装置も楽しい。冒頭は夏目漱石が「青空文庫ランキングで僕の『こころ』が第1位だけど、森鴎外は『高瀬舟』の21位が最高位」と言って、鴎外がショックを受けながら「青空文庫って何だー!」と叫ぶところもあったり(笑)。それぞれの本役以外にも複数の役を演じ分ける。中では『舞姫』のモデル(大井)鴎外の父(松崎)母(美斉津)などがよきポイントに。

尾崎紅葉が弟子・泉鏡花に「女と別れろ」という場面は、鏡花の『婦系図』そのままで、以前花組版の『泉鏡花の婦系図』で紅葉にあたる役を演じていた水下さんが再びその台詞を言っているのが配役の妙。

今まで作品を読むときは意識しなかったけれど、作家がそれぞれに影響を及ぼし合っていたのだな、というのを感じられたのが興味深かった。文豪と言われている人たちの、生きる息吹を感じられたというか。ただ、全体の印象がサラリとしたものになってしまった気がして、もう一つどこかに絞って強く訴えかけられるものがあれば、より感動できたように思う。

とりあえず、(泉鏡花は結構読んでるからいいとして)夏目漱石や森鴎外を読みたいな、と思いました。帰ってから「青空文庫アクセスランキング」チェックしてしまった(笑)。

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2011/02/06

『11人いる!』劇場へ行こう! プロジェクト

スタジオライフ『11人いる!』2月6日の終演後、「劇場へ行こう! プロジェクト」という催しが開催された。

これは「より多くのお客様に演劇文化を知っていただくため、魅力的な作品創りと発信を行う」「より多くの方に劇的空間を共有する」といもので、第一回目の今回は、「いつもスタジオライフを支えて頂いているお客様のお力をお借りし、当日の内容をブログ・Twitter・mixiなどに掲載して頂き、情報を発信するという試みに挑戦」するものだそうだ。

具体的には「宇宙船白号 11人の出発式」と題して受験生役11人のトークとフォトセッションを行い、文章だけでなく写真も合わせてブログやツイッターで全世界(!)に向けて発信して下さい、というなんとも太っ腹な企画。
ということで、記者会見で写真を撮る(こともたまにあります)ときに持っていく重たいカメラを持って(笑)、撮影してきたのでいくつかご紹介を。
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山本芳樹さん

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及川健さん

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青木隆敏さん

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冨士亮太さん、松村泰一郎さん

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鈴木智久さん、仲原裕之さん、青木さん

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船戸慎士さん、篠田仁志さん、冨士さん

この写真を見ると、萩尾望都先生の原作漫画の絵をそのまま忠実に衣装化していることがわかる。
なお、今回特殊メイクを施している林勇輔さんと山さき康一さんのお姿はぜひ劇場でご確認を。

お一人ずつのごあいさつのあとは、会場からの質疑応答に。

「王様(青木)とフォース(仲原)は偉そうな態度の役ですが、何が専門の人ですか?」
という質問には
青木「命令、統率を…(笑)」とのこと。

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タダ(山本)とフロル(及川)が宇宙空間に出る場面についての質問に対しては、暗転のときに手を握り合っているとのこと。「それで絆が深まった気がする」(及川さん)。

そして、フォトセッションタイム。
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最後に、山本芳樹さんの挨拶。
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客席に向かって手の平をこちらに向けるポーズは宣伝ビジュアルと同じ。(このポーズが劇中に出てくる「手の平を合わせてテレパシーを感応させる」シーンを意味してたことに今日気付いた(笑))

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今、検索すると多くの方がブログなどで今日の「劇場へ行こう! プロジェクト」の模様を報告されていて、プロジェクトの効果はかなりのもの。お客様とコラボレーションする新しい形のプロジェクトは、お客様にも喜んでいただけたようだ。

劇団スタジオライフ公演
舞台『11人いる!』公演情報

原作 萩尾望都 脚本・演出 倉田淳
◆東京公演 2月6日(日)~2月28日(月) 池袋 あうるすぽっと
◆名古屋公演 3月19日(土)~3月20日(日) 名鉄ホール
◆大阪公演 3月26日(土)~3月27日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

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スタジオライフ『11人いる!』

昨日開幕したスタジオライフ『11人いる!』を観てきました。(ダブルキャストのうちAlcorチーム)

本日は本公演終了後に「劇場へ行こう!プロジェクト」という催しがあるとのことで、劇団製作様よりご案内いただいて今日見ることに。その催しの話は別アーティクルで書くとして、まず公演の話を…。

萩尾望都先生の傑作SF漫画『11人いる!』。宇宙大学受験のため、宇宙船白号に集まってきた10人の受験生たち。しかし、白号にはなぜか1人多い11人いる! 前代未聞の事態の中で繰り広げられる疑念、衝突、そして友情をダイナミックに描く作品。

スタジオライフにとっては『トーマの心臓』『訪問者』『メッシュ』『マージナル』と続く5作目の萩尾作品。萩尾先生の作品の世界観を、2時間の上演時間でぎっしりと伝えたなぁ…というのに、まず感心する。
11人の「男性」の集団劇を男優集団が熱く演じ、なおかつ、萩尾作品が持つロマンチシズムを脚本・演出の倉田淳さんが描き出しているのだ。

そして、CGなども使いつつ、演劇らしい想像力をかきたてる演出で(円形を生かした装置が効果的)、私たちも宇宙空間に飛んでいけたような感覚が持てる。

誰が11人目か? というサスペンス部分を引っ張る一方、11人のまったく違うキャラクターをリアルな形で登場させることで、物語の根底にある「国が違い見た目が異なる人たち同士でも、分かり合える、手を取り合える」というテーマをが浮き彫りになる。
観終わった後に、最後に全員が言う台詞のとおりにとても前向きな気持ちになれるのが、今回の『11人いる!』で心惹かれるところ。

劇団員だけで演じているからこそ緊密な一体感がとても魅力的な舞台だ。


作品のテーマを伝えるには、11人のキャラクターがどれだけ個性的であり異なっているかというのが重要と思う。

印象に残るところをあげると、まず及川健さんのフロル。両性具有体で性が未分化というキャラクター、しかも一見女性だが、男になりたいと願っている…というところ。「男性が女性役を演じる」というのでなく、男性女性のどちらでもありうる要素を持つ役。見た目ももちろん、演技力で説得力を持って演じていらしたのに感心させられた(ダブルキャストの三上俊さんがどういうふうに演じているのか、気になるところ)。作品の核となるであろう台詞も、フロルの生命力でもって力強く伝わってきた。

林勇輔さんのヌーも両性具有体だが、うろこに覆われているという人物。こちらは男性形に近い見た目だが、男性ではない柔らかな存在感と、長く生きなければいけない宿命からくる達観があってキャラクター性が際立つ。ヌーの故郷で、短命の人々が住む星の回想シーンの男女の表現がとても美しく切なくて、このあたりが倉田演出の冴えているところ。

また、船戸慎士さんのガンガは、受験生たちの中では大人な立ち位置。タダとの会話の中で宇宙大学入学がきっかけで自分の国を変えていきたいという希望を語るシーンに情感があった。

これら個性的な登場人物の中で、求心力をもってタダを演じた山本芳樹さん。彼の心の軌跡と成長がつぶさにわかる演技だった。フロルとタダの心を通い合わせる場面で、独特の柔らかで温かい空気感が、さすがに長くコンビを組んでらっしゃるだけのことはあるな…と思う。二人が宇宙空間に出て行くシーンは、原作を読んでいて「どう描くんだろう?(舞台で描くのは難しいからもしかしてカット?)」などと見る前は考えていたのだけれど、これは予想外の形での表現になっていて意表を突かれた。でも、とても二人の関係が生きるシーンになっていたように思う。


と、全体的にはとても面白く拝見したが、強いて気になったところをあげるとすると。11人全員の心理の動きがとても大切な作品で、皆がプラスの方向に気持ちが動く(一致団結するとか)のはとてもうまく力強く表現できていると思う(おそらくこれは、同じ劇団の人が演じている強みでもある)。それと比べると、マイナスの方向に気持ちが動く(タダを排斥するとか)表現がバランス的にやや弱いところもあるかも。このあたりの人間心理のうねりがさらにリアルに表現されるようになれば、より素晴らしい舞台になるのではないかと思う。とはいえ、昨日初日で十分な出来とも思うし、回を重ねるごとに心理がどんどん書き込まれてより深くダイナミックな舞台になるであろうという予感は十分にあった。

とてもパワーのある作品と役者で、ダブルキャストもう1チームを拝見するのも楽しみだ。

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2011/02/05

DREAM TRAIL ~宝塚伝説~

現在発売中の雑誌「ミュージカル」で(今号より隔月刊にリニューアル)で、麻路さきさん、涼紫央さんの対談の取材を担当させていただいた『DREAM TRAIL』。宝塚歌劇100周年に向けて、宝塚OGの方々によるショーを青山劇場で観劇しました。

登場した瞬間に胸が高まるっていう気持ちは何年ぶりだろう…?
スターだけが持つオーラ、華やかさ、存在感……、客席の心を鷲掴みにして離さない圧倒的な力に心揺さぶられます。

麻路さんにインタビューのとき伺いましたが「宝塚の知られざる名曲にスポットを当てる」ということもテーマの一つに入っているそうで(荻田浩一先生は相当の数の音源をお聞きになったとか)、『ビューティフルピープル』の「ビューティフル・ラブ」(私が初めて本拠地宝塚で見た舞台でした)「ファニー・フィーリング」などを取り上げつつ、OGイベントでは普通歌われる『ベルサイユのばら』からの曲はナシという大胆な構成。新しい視点で編み上げた構成が功を奏して、「歌の力」というものを強く感じました。

白眉は鳳蘭さんの「バイブレーション」。鴨川清作先生の名作『マイ・ハイ・スイング』からの曲でほぼ全編スキャットの歌ですが、気迫がこもり大変な迫力でした。

そして、私が拝見したときのゲストが紫苑ゆうさん。宝塚退団後芸能活動はされていない紫苑さんですが、退団から15年たった今も、というより、さらに男役を極めた姿を見せてくれました。
一番に感じるのは「宝塚への尽きることのない愛」で、てらいもなくその思いを舞台に載せて見せてくれるところが、紫苑さんのすごさなんですよね…。シメさん(紫苑)と一緒に踊っていた涼紫央さんのなんとも幸せそうな表情も印象的です。

鳳さんと安奈淳さんの見交わす視線の温かさや、春野寿美礼さんと大鳥れいさんが並ぶときの空気感など、現役時代の姿がだぶって映る場面がいくつも見られたのも、まさに「軌跡」という感じでとてもよかったですね。

最後に歌われたのが「すみれの花咲く頃」の合唱。宝塚のテーマ曲というべき曲ですが、何十年も宝塚を見ている私も初めて2番の歌詞を聞きました。

「されど恋 そはしぼむ花 春とともに 逝く」

こんな切ない歌詞だとは知らなかったです。
どんなに人気を博したスターもいつかは卒業するのが宝塚で、夢はいつか終わる…。でも、終わるからこそ美しいのか。はかない夢の軌跡をたどる舞台『DREAM TRAIL』でした。

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