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2011/02/16

下北沢で2本…『く・ち・づ・け』『六人のへそ曲がり』

先週末、下北沢で見た2作品について遅ればせながら。共に上演時間1時間半。劇場の大きさや雰囲気に合った作劇がお見事でした。

むーとぴあ『く・ち・づ・け』

武藤晃子さんプロデュースの公演の第3回で、私はむーとぴあさん初見。作・演出はわかぎゑふさん。
昭和5年、「男女席を同じうせず」の時代。男手一つで育てられた女の子(武藤晃子)が、幼いころからのいいなづけの軍人(近江谷太朗)との正式の婚約を前に乳母から「結婚したらやること」というのを教えられる。それは「口吸い」(くちづけ)。唇を合わせるなんて!? と動揺する彼女が、初めてのくちづけを前にして…。
というお話。昭和初期、結婚前の女性はこんなに純情だったんだなあ、と思いながら、繰り広げられる大騒動(?)に笑う。
「ファーストキス」の顛末までの1時間20分の後の10分。出征が決まったために、軍人は女の子との話を破談にしてしまった。しかし女の子と軍人も共に思いを残したまま、終戦を迎えて……。

たまたま前方席で観劇していたのだけれど、終戦後帰ってきた軍人が(物理的時間は3分しか過ぎてないのに)まさに15年間、戦地でいろいろな苦労を重ねながら女の子を思い続けてきた、というのがその表情から伝わってきて、圧倒された。近江谷さん、すごいです。
くちづけでこんなに可愛らしく盛り上がるのも、そして、戦争で人々が引き裂かれるのも、ほんの60年あまり前には普通にあったことなのだ……という事実が胸に突き付けられて、ぐっと来る。

武藤さんがホントに18歳のような初々しさ。乳母トメ役の種子さんの達者な味わいに爆笑。荒木健太朗さんはとぼけた味わいの二枚目が意外だけど、似合ってました。

花組芝居OFFシアター『六人のへそ曲がり~明治文豪青春賦』

花組芝居で加納幸和さんのもと演出助手を務める大野裕明さんの作・演出。『ザ・漱石』(花組芝居OFFシアター名義)『世界の中心で、朔太郎を叫ぶ』『走れダザイ』(以上おおのの名義)など、明治~昭和の文豪を取り上げた文豪シリーズ。
森鴎外(各務立基)、夏目漱石(大井靖彦)正岡子規(蔵本康文)高浜虚子(松崎賢吾)尾崎紅葉(水下きよし)泉鏡花(美斉津恵友)の六人が互いに影響を与えあいながら、どう自分たちの文学・創作に向かい合っていったかを描く。
爽やかな青春群像を、テンポよく描く。立体貼り絵のような装置も楽しい。冒頭は夏目漱石が「青空文庫ランキングで僕の『こころ』が第1位だけど、森鴎外は『高瀬舟』の21位が最高位」と言って、鴎外がショックを受けながら「青空文庫って何だー!」と叫ぶところもあったり(笑)。それぞれの本役以外にも複数の役を演じ分ける。中では『舞姫』のモデル(大井)鴎外の父(松崎)母(美斉津)などがよきポイントに。

尾崎紅葉が弟子・泉鏡花に「女と別れろ」という場面は、鏡花の『婦系図』そのままで、以前花組版の『泉鏡花の婦系図』で紅葉にあたる役を演じていた水下さんが再びその台詞を言っているのが配役の妙。

今まで作品を読むときは意識しなかったけれど、作家がそれぞれに影響を及ぼし合っていたのだな、というのを感じられたのが興味深かった。文豪と言われている人たちの、生きる息吹を感じられたというか。ただ、全体の印象がサラリとしたものになってしまった気がして、もう一つどこかに絞って強く訴えかけられるものがあれば、より感動できたように思う。

とりあえず、(泉鏡花は結構読んでるからいいとして)夏目漱石や森鴎外を読みたいな、と思いました。帰ってから「青空文庫アクセスランキング」チェックしてしまった(笑)。

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