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2011/01/27

日本橋で『日本橋』を見る

劇団新派公演『日本橋』を拝見しました(公演は終了)。


『日本橋』は花組芝居では見ていますが、新派では初見。泉鏡花の美しい台詞を(まさに川の流れのように)流れるように、しかし、きちんと「立て」て響かせてくれるのは、新派ならではの「芸」というものなのでしょうね。久々に鏡花の世界を堪能してきました。
(聞くところによると、今回の上演にあたり、補綴・演出の戌井市郎さんが原文の台詞にもう一度当たって見直されているもののようです。戌井さんは初日より前の、昨年12月に他界されています)

お孝の波野久里子さんが、可愛さ、気っ風の良さ、葛木によせる愛情…と様々な面を見せて、とても魅力的。終幕、愛ゆえの狂気に陥るのが、とても切なく胸に響きます。
「春で、朧で、ご縁日」の名台詞もとても素敵。

2幕最後に、お孝が一瞬葛木の心持になって男振りをするところがとても格好良くて印象的。ここでは、お孝の心持になった雛妓お千世がお孝扮する葛木(ややこしい)に寄り添うのですが、その形がとても良かったですね。

パンフによると、お千世は初演の折り、花柳章太郎が演じることを熱望し、起用された後にこれが出世役となって、のちに新派を代表する名優となったとのこと。新派にとってとても大事なお役であるお千世を演じたのは鴫原桂さん。キーワードは「健気」。お孝を思う気持ちのいじらしさが前面に出て、とても可愛らしいお千世でした。

もう一つ印象に残るのは、熊のおじさんこと五十嵐伝吾(田口守さん)。お孝に捨てられてボロボロになってもお孝を追い求める熊。最後にお孝に刺されて死ぬとき、自分からお孝の刃に向かっていって「えぐれ、えぐれ…」という。お孝に刺されて死ぬことが熊にとっては最大の喜びなんだろうな…ということが伝わってきました。嗜虐と愛情の狂おしさも、また、泉鏡花が描く世界の真骨頂でもあると思うのです。


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