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2010/11/24

アジアン・スイーツ

ビシビシと胸に迫ってくる4人芝居。
婦人服の仕立て屋を営んでいる姉(鶴田真由)のところにやってくる弟(新納慎也)、母(根岸季衣)、幼なじみ(清水宏)。
初めに交わされる普通の会話から、徐々に皆の「ダメさ」加減が分かってくる。
ダメぶりはおかしくもあり、リアルでもあり。
4人のほころんでいる部分が徐々にあらわになり、ぶつかり合っていく。
鬱屈を最後に爆発させる姉の姿が圧巻だ。

でも、すべてをさらけ出した後で、何かしらの絆が再び見えてくるような。
そんな芝居。
1時間50分、充実した時間を過ごさせてもらった。

母親であることよりも女であることを優先させて家を出ていった母だけれど、それでも子供たちに対する思いはちゃんとあって…という複雑な部分を描き出した根岸さん。自分の妻と別れられず、でも愛人の家に居候してしまう男の、ちゃらんぽらんで得体が知れないようでありながら、ふと見せる重い心情にはっとさせられた清水さん。このお二人による体当たりのシーンの迫力がすごい。

弟役の新納さんは姉と交わす会話のテンポが心地良い。姉の鶴田さんの素朴な装いの中にも、透明感をたたえた存在の美しさはとても魅力的。

初演公演は金久美子さん主演。鄭義信さんが金さんのために書き下ろした作品という。根岸さんのブログから引用すると「6年前、金久美子さんがガンと分かって、そのはなむけにと書かれた戯曲で彼女はその公演から6ヶ月後に逝ってしまわれました」「金さんが「ウエディングドレスが着たい」とリクエストした」とのこと。

今回の公演を見る前の日に、本当に偶然、初演当時の公演のご案内が出てきて…。そこには、出演者からの手書きのメッセージがあって
「ほんわかした、大人の恋と家族の愛の物語…? 見にいらして下さい Kumija」
と書いてありました(右側にはにこちゃんマークふうの太陽が)。
日本の小劇場を代表する女優さんのお一人であった金さん。7回忌を機に上演された「アジアン・スイーツ」。改めて女優・金久美子さんのご冥福をお祈りしたい。


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コメント

>HSさん
「アテルイ」のときの金さんも迫力がありましたね。私は残念ながら初演が見られなかったので、ご覧になったHSさんがうらやましいです。

投稿: おおはら | 2010/12/09 09:52

またまたこんばんは。 アジアン・スイーツ、初演を観ました。金久美子さんを最初に知ったのが劇団新感線の「アテルイ」でした。すごい存在感でした。「アジアン・スイーツ」ま全く逆で、優しさをもらった気がします。「アジアン・スイーツ」は様々な場面を切り取ると、すぐ身近にも起こりえることがちりばめられていたように思います。今回は残念ながら拝見できず、残念です。

投稿: HS | 2010/11/27 20:45

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