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2010/07/25

スタジオライフ「じゃじゃ馬ならし」見てきました

WishチームとHopeチームのダブルキャストで見てきました。

シェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」の音楽劇化で、実は「じゃじゃ馬ならし」自体見るのは初めて。(「じゃじゃ馬」が劇中劇の「キス・ミー・ケイト」は見てる)あまり大きいプロダクションでやっていた記憶がないのですが、それは、男尊女卑的な印象がある戯曲を上演するのが難しいからなのかな? 今年は蜷川幸雄さん演出のオールメール版もあり、急に「じゃじゃ馬」上演が活発になってますね。
大ざっぱに言うと、じゃじゃ馬のキャタリーナをペトルーチオが飼いならしていくストーリー。女性翻訳家(松岡和子さん)の翻訳で、上演台本・演出も女性の倉田淳さんで、さらに男性が演じるという形で、この戯曲をどう納得がいくものにするのか? というところに興味がありました。

さて、もともとがスライという男の人が見た夢、という形を取っている戯曲で、スタジオライフ版では現代の女性が夢の中で「じゃじゃ馬ならし」をやっているのを見ているという外枠をつけてます。おそらくは、猫おばさん(石飛幸治)が倉田さん自身を投影したものなんでしょうか。売れない女優のリジー(林勇輔)が、「じゃじゃ馬ならし」を見て「何、この女、生意気!」とか突っ込みを入れたりして、お客様の気持ちを代弁している感じ。二人の言葉で、倉田さんがどう「じゃじゃ馬ならし」を解釈していったのか…というのが詳らかになっていきます。

全編通して見た印象としては…、入れ子の箱のように、違うものが何重にも折り重なってできている舞台なんだなあ、と。
倉田さんが解き明かした「じゃじゃ馬」は、一見は男に従っているようでも、それは賢く生きているだけ、キャタリーナは演技をしているのだ…ということで。
「女はこわいのよ」と、冒頭とラストシーンで、大勢の白い衣装の女性たちが声高らかに歌っています。
でも、それを歌っているのが実は女性でなく男性というところに一つのパラドックスがある。
終幕は、女性として高らかに歌った後には、男性に戻った姿で舞台袖に帰っていくところで、ハッとさせられるものがありました。(←後でお伺いしたところ、当たり前ですが、最後に男に戻って帰っていくのも演出であるとのこと)

また、終幕、キャタリーナがペトルーチオに「帽子が似合わない」と言われて、帽子を脱ぎ棄て踏みつけにします。1回目に私が見たときは、猫おばさんがそれを拾ったときの顔の表情に怒りがあふれていて、「演技をしていればいい」といいながら、でも、心のうちでは演技をしなければいけないことに対しての怒りもあるんだな…と気づくのです。

というパラドックスを発見して、「なるほど」と思ったんですが、2回目見たらその場面の演出が変わってました(笑)。
ペトルーチオが帽子を手に取り、もう一度キャタリーナの頭に乗せてやることで、二人の愛情というか共犯的な関係を描いているようです。

ペトルーチオがキャタリーナを一方的に飼いならしているのではなく、ペトルーチオがキャタリーナと深い部分で共通するものがあって、二人で愛情の真剣勝負をしているような関係なのだな、と思えたのも一つの発見でした。

演者によってペトルーチオとキャタリーナの関係性はかなり違って見えて。Wishチームの松本慎也さんは、最後の「愛する人のために従順でいたい」という姿が本質の人のように見えました(本当はじゃじゃ馬じゃないけど、本当の姿を取り戻していく過程を見せているというか)。山本芳樹さんのペトルーチオもどこか深い愛情を感じさせられましたし。一方、Hopeチームの青木隆敏さんは愛を求めても得られないから暴れてしまう女性の心情をとてもリアルに見せていたと思う。ペトルーチオ曽世海司さんはハイテンションのパワーで、シェイクスピアの台詞の迫力を全身で表現していました。

余談かもしれませんが、カーテンコールで青木さんがペトルーチオ曽世さんに対してハイキックの蹴りを入れていて(笑)、「ああ、ただ飼いならされて終わったんじゃないのね、この人…」というのがそこでも実感できたのが、なんだか良かったです。2回目のカーテンコールでは曽世さんが青木さんをお姫様だっこして青木さんがずっと足をバタバタさせながら帰っていったので、二人の愛情ある共犯関係は楽しく?続いてるんだな…と、なんだか納得して帰っていくことができました。

個人的な感想でいえば、「太陽を見て月と言え」と言われてそれに従う演技をするのなんて、自分だったらイヤで耐えられないなあ(笑)、ということになっちゃうのですが、そういう理不尽を受けても、負けずに強く生きていこうよ、という倉田さんの女性に対するメッセージは受け取りました。

音楽劇でオリジナル楽曲。ストーリーを進める歌でなく、マイクを手にして自分の内面を歌うところは、『春のめざめ』のマイク使いを彷彿とさせるものがありますね。
ビアンカの関戸博一さんは女性から見てちょっとムカツク感じ(笑)をうまく出されてたと思います。衣装はお人形さんをイメージしてるんでしょうか? 岩崎大さんの伸びやかさ、山崎康一さん、坂本岳大さんの達者で幅広い演技も印象的です。

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