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2010/07/22

宝塚星組「ロミオとジュリエット」

宝塚星組「ロミオとジュリエット」見てきました。

昨年2月、ジェラール・プレスグルヴィックによるフランス版の公演を韓国まで見に行って本当に感動した作品でした。あまりに素晴らしくて、幕間に急いで翌日のチケットを買いに走ったくらい(そのときのレビューはコチラ

宝塚を見に関西まで行くのはなんと約10年ぶり(!)。
東京公演がないとのことで、関西まで頑張って足を伸ばしました。

宝塚版で小池修一郎先生による潤色・演出ということで、新演出に対する期待と、フランス版が好きなだけに若干の心配な気持ちを持ちつつ行ったのですが…、いやー、素晴らしかったです。本当に。

フランス版は特殊なタイプのミュージカル(歌う人と踊る人が別、というフランス形式のミュージカル)だったのですが、小池先生の手によって、普遍的なミュージカルとしての魅力を備えた作品に生まれ変わりました。

特に、原作のドラマ部分を効果的に挿入して際立たせたことによって、非常に感動的な作品に仕上がってます。

私がフランス版を見たときは、当時のブログにも書いたとおり「対立と融和を描いた作品かな」かなと思ったのですが、小池先生は「死と愛」をテーマに編み直していらっしゃるのかな、と思います。

端的に言うと、フランス版で出てくる「死」(ロミオとジュリエットを甘美な死の世界に導く存在=フランス版では白塗りっぽい女性が象徴的に演じていた)にプラスして、「愛」という存在を出したということ。宝塚版では、死は男性形、愛は女性形で演じられています。


フランス版との変更点などで印象に残るところをあげると。
(見てから1年以上たってるので、記憶違いがあったらご容赦下さい。あと、上演時によって結構演出が変わっている作品らしいので、私が見てるのと違うバージョンのものもあるはずです)

※ 以下、終幕などに触れているので、これからご覧になる方はご注意下さい※

・上に書いた、「愛」と「死」の存在。

・冒頭の大公の歌に、マーキューシオ、ベンヴォーリオ、ティボルトの歌を加えて、モンタギュー家対キャピュレット家の対立を明確に打ち出した。

・舞踏会の場面。フランス版は、ジュリエットのお母さんがエジプトっぽい衣装でリフトされてノリノリで出てくるのが妙に面白かったんですが、そこは宝塚版はなし。上記の大公の歌もそうですが、ある意味本筋から離れた「遊び」っぽい部分はカットして、ロミオとジュリエットの本筋に集約する演出にしてあるようです。

・フランス版はダンサーと歌う人は別のチームなのですが、宝塚版はメインキャストがかなり踊る演出に変わってます。

・歌詞に、シェイクスピアの原戯曲の台詞を入れて、ストーリー性ドラマ性を持たせるように補っているようです。

・一番大きい変更点は、終幕の演出。
ロミオが死に、ジュリエットが死んで、両家の和解でフランス版は終わりだったのですが、その後に、亡くなったロミオとジュリエットのダンスシーン(おそらくは、死によって愛で結ばれた二人が天国で踊っている意)を加えていること。

これが非常に感動的でした。
実は去年フランス版を見たときに、ロミオとジュリエットが死んだ後が長いな(汗)と感じた記憶があるので。ここで、非常に小池先生が伝えようするとテーマが表現されていたと思います。というか、まさか、ここで泣かされるとは思いませんでした…。


そして、宝塚ならではの利点というか。
もともと、従来の「ロミオとジュリエット」に比べると、フランス版は女性の視点を強く打ち出している作品なのですが、(通常はあまり出てこないロミオの母がクローズアップされていて、ジュリエットの母とロミオの母が二人で歌う場面がある)、
女性劇団の宝塚だからこそ、「女性の視点」が際立って見えたと思うのです。
男性論理の「戦い」「憎しみ」に対して女性論理の「愛」があり、二人の死を契機として、「愛」が勝ち、両家が融和する、というストーリー性は、従来のジュリエットの父、ロミオの父が先に立っている家族関係だと見えてこない、理解しきれない部分がありました。しかし、この宝塚版では、ジュリエットの母、ロミオの母がしっかり出てきているからこそ、最後の両家が和解したのが本当に納得できるのですね。

また、ロミオの柚希礼音さんも素晴らしかったのですが、特に、1幕から2幕への変化、成長の姿をはっきり見せていたのがとてもよかった。
恋する前の少年の姿から、ジュリエットを愛したことによって、2幕冒頭「憎しみを捨てよう、戦いをやめよう」と訴える姿に、非常に説得力がありました。
「愛」という女性論理を得て、「戦いをやめよう」というところまで普遍的に演じられるのは、女性が演じる男役ならではだなと思うし、小池先生の演出の力、そして、柚希さんの演技力の確かさを感じる部分でもありました。


上記のような変更点、プラス、この作品が本来持っている面白さ(魅力的な歌、そして、「世界の王」などのショー的な楽しさ)があいまって、宝塚版は非常に面白い作品に仕上がっていると思います。
普遍的な魅力がある作品に仕上がっているので、宝塚だけでなく他のプロダクションでも上演できそう。

柚希さん以外の出演者も皆さん適材適所。ジュリエットの夢咲ねねさんはとても可愛らしかった。ジュリエットが持ってる愛ゆえの強さの部分もよく出てたと思います。宝塚だと役柄想定年齢よりも若い人が演じることになる場合が多いのですが、なかなか健闘してましたね。ジュリエットの母、音花ゆりさんは色っぽく、ティボルトに対する思いもにじませて、ドラマがありました。、乳母役の白華れみさんはちょっとコミカルで、おおらかな温かみがあって。ティボルトも凰稀かなめさんも初めて見るタイプの役ですが、あらくれて見える中に純情が垣間見えていたのがよかった。
「死」の真風涼帆さんは独特の雰囲気がありますね。「愛」の礼真琴と共に、踊りだけでも表現が豊かで目を引きました。

現在東京公演の予定はないとのことですが、ぜひとも今後再演を繰り返して、宝塚(もしくは日本ミュージカル界の)の財産にしていってほしい作品の一つです。

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コメント

>はるみとまこさん
はじめまして。いろいろと重なる部分があるようで、偶然ですね。「ロミオとジュリエット」韓国キャスト版も見てみたかったです。
ミック・カーンの病気の件、私も昔大好きだっただけに、心配ですね。今はイギリスに移って治療中だそうなので、快方に向かうよう願ってます。花組芝居は11月に関西公演がありますよ~。よろしかったらぜひ。

>スキップさん
お久しぶりです。宝塚「ロミオとジュリエット」良かったですね! フランス版とはまた違う魅力を出されていて、小池先生の才能を改めて感じました。柚希さんも新たな魅力を出されてましたね。このブログを書いた後に雪組本公演での続演が決まり、そちらもとても楽しみです。

投稿: おおはら | 2010/08/01 03:16

おおはらさま
ご無沙汰いたしております。スキップです。
星組の「ロミオとジュリエット」すばらしかったですね。
宝塚らしい、宝塚の良い面は最大限発揮しつつ、一般の
ミュージカルファン、演劇ファンにも十分に通用する
質の高い作品に仕上がっていたと思います。
それに柚希礼音さんの魅力的なこと!(笑)

私は今回、このミュージカルのことを初めて知りました。
フランス版が来演する機会があればぜひ観てみたいと
思います。
早くも雪組による再演?が発表されましたが、ほんとに
宝塚の、日本のミュージカル界の財産となるべく作品
だと思います。そして、この作品に全力で取り組み、
すばらしいパフォーマンスを見せてくれた星組メンバーに
心から拍手を贈りたいと思います。

投稿: スキップ | 2010/07/31 09:59

初めましてです。星組のロミジュリを見て感動して、韓国でも上演したのか検索して、こちらに来ました♪でも見られたのはフランスのキャストの公演だったんですね。宝塚ファンで、K-POPも大好きなので、韓国キャストのロミジュリも気になりました。そして!びっくりしたのが、M・カーンの病気の話です。中学生の頃大好きでした。懐かしいです。とても不思議なめぐり合わせで、こちらに来たので、またお邪魔させて頂きますね。舞台のお話も楽しみです。花組芝居も最近は大阪に来ないので寂しいです。

投稿: はるみとまこ | 2010/07/27 12:46

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