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2010/01/22

死なないダザイ~「走れダザイ」

下北沢楽園にて、おおのの「走れダザイ」を観劇。「おおのの」は花組芝居で加納幸和さんの演出助手をしている大野裕明さんが作・演出を担当する個人ユニット。初の公演「ザ・漱石」(←これは「おおのの」というユニット名がつく前の公演だけど)などにつぐ文豪シリーズで、太宰治を描く。

「走れダザイ」というタイトルがピッタリの舞台だった。太宰治といえば、やはり「玉川入水」で暗い、重い…というイメージが先立つ人。もちろん死への甘い誘いも描かれているのだけれど、でも、その中に書かなければいけないという気持ちのほとばしりが、「走れ」という部分にこめられていて。特に終幕は圧巻。

出演者は男性4人、女性2人(+録音による語りの岩崎加根子さん)。谷山知宏さんが若いころの太宰(本名の津島修治)、文壇デビュー後の太宰を三村聡さんが演じる。
二人の登場場面をないまぜにしつつ、いろんなエピソードを交えて見せる。

テンポ良く見せているのは小道具の二つ折のボード。この1面が中央枠になっていて、見せ方によっては出入りできるドアにもなり、囲いにもなり…とさまざまに使え、スピーディな展開に。手紙などの持ち道具を扇子で表現するのは花組ふうなところ?

映画の「ヴィヨンの妻」「斜陽」版の浅野忠信さんとか温水洋一さんとかも出てきたり、激しく歌うシーンや「愛は地球を救う」まで。6人の登場人物がめまぐるしく多くの役を演じるにぎやかさと、太宰の持つ研ぎ澄まされた部分との対照が際立つ。「ザ・漱石」から続く「おおのの」流の作劇法だけれど、太宰の深さが要となって、世界がさらに広がったようだ。

役者さんでは、やはり太宰のお二人。谷山さんは花組芝居では見せない部分が見られて、破滅的な雰囲気がめちゃセクシーなのだった(^^)。三村さんも、目線でいろいろと訴えかけるものがある、色気のある太宰を演じる。
ファム・ファタル的な女性を大枝佳織さん、母性的な女性を吉田麻起子さんが演じ、丸川さんは太宰と友情を結ぶ役に実感がこもっていたように思う。岡本篤さんは不器用そうな雰囲気がなかなか面白い。

次回公演は「巨匠溝口健二」。花組芝居の溝口健二さんが、映画監督溝口健二さんを一人芝居するという破天荒な?試み。チラシが入ってて、裏面の「すべて溝口健二」がやけに面白くて、公演に期待大。

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コメント

>桂さん、こんにちは!
桂さんは22日にいらしてたんですね。
私はなかなか面白く見てたんですけど、でも、後輩の舞台を見てこういうふうに思う先輩って、なんだか素敵です。

ところで、「巨匠溝口健二」の宣伝写真、桂さんだったのですね!(ブログアップしてから気づいた)任侠物(^^;?と思うほど、迫力あってかっこいいです。

投稿: おおはら | 2010/01/24 11:10

22日の夜観にいきました。
みんな頑張ってた。
でも、ホント言うと、それ以上を目指そうぜ!と思いました。
自分にとっても刺激になりました。

投稿: 桂憲一 | 2010/01/24 01:56

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