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2010/01/15

ANJIN イングリッシュ・サムライ

日英合作の大作舞台。戦国時代から江戸時代へと転換する時期、日本に流れ着いたイギリス人が徳川家康(市村正親)に召抱えられ「三浦按針」という侍となる。イギリスと日本とで引き裂かれた自我を持つ按針(オーウェン・ティール)、そして、もう一人。侍の血を持ちながらカトリック司祭となったドメニコ(藤原竜也)も、侍としての自我とキリシタンとしての自我に引き裂かれている。

引き裂かれた自我、というテーマは現代的、というか、日本人は歴史ものの登場人物を描くとき「引き裂かれた自我に悩む」という描き方はあまり見ない気がする。(信念を貫く、というのが多いでしょう、たぶん)そのあたりの視点の取り方は外国人が作る作品ならではだな、と思う。

(西洋文明が入ってきたこの時代、日本人に、近代的な意識が芽生え始めたということなのでしょうか?)

歴史の物語だけれど、そこに描かれているのは現代と地続きのもの。リアルに生きる人たちを目の当たりにする3時間20分は、決して長くなかった。
どこかエキゾチックな雰囲気がある舞台装置、巨大な襖を開けてどんどん話が展開していく様子は見事。

オーウェンさんはどこかユーモアと洒脱な雰囲気があって、力ある俳優さんだなと思う。台詞の半分くらい?が英語の藤原竜也さんは怒涛のような台詞量の中に、ひたむきなパッションを感じさせて○。市村正親さんが徳川家康?というのは意外な感じだったけれど、大きさのある芝居を見せてもらった。平和の世を築くために幼い国松を殺さなければならない苦悩の場面に深い思いがにじむ。床島佳子さんの淀君は美しく、迫力のある芝居で思わず引き込まれる。老若男女(!)全6役を演じる植本潤さん。それぞれに強いインパクトを出しているけれど、島津義弘の食えない感じや、徳川家光の(引き裂かれた人々に歴史的な幕引きを与える)怜悧さが印象に残る。

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