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2009/10/18

屋根の上のヴァイオリン弾き

何度か見ている『屋根の上のヴァイオリン弾き』だけれど、私の中では今回が一番心に響いてきた気がする。

演技面では新モーテル(植本潤さん)の起用が大きく作用していたように感じた。貧乏な仕立て屋で気が弱いけれど、でも誰よりツァイテルのことを愛していて、愛する家族を守る男気はある…というモーテルの人柄が一つ一つの芝居に出ていて。普段は気弱だけど、テヴィエに娘の結婚を頼むときのパワーの発揮の仕方が利いている。1幕の最後、結婚式をロシア人に荒らされた後、ツァイテルにそっと花束を渡す仕草に愛情がこもっていて、ちょっと泣けた。

再演を繰り返されてきて、ある意味演出も洗練されたものになっていると思うけれど、演出を超えて生身の気持ちが伝わってくるとき、とても心揺さぶられるものだな、と思った次第。

市村正親さんのテヴィエは素朴で(ちょっと妻の尻にも敷かれつつ(笑))、家族を愛している様がとても魅力的。

装置は後ろが坂になっていて、テヴィエの娘たちは恋人たちと手を取り合って去っていくときに、その坂を上っていく。そして最後にアナテフカ村を追われるテヴィエ一家も、その坂を上っていくのだけれど、(下り坂じゃなく)坂を上る姿に、テヴィエの上向きな気持ちというか、誇りやエネルギーもイメージとして伝わってきた。

こちらも新配役のツァイテル、貴城けいさんは生来の華やかな雰囲気(結婚を許されたモーテルの歌の中で「神様が粘土で人を作った…」というポーズのところで、喜びでキラキラと全身輝かせていたのが印象的)がある中に、モーテルへの愛情をしっかり見せていたのも好印象。後半は人妻らしい落ち着いた風情で演技にメリハリがあった。
笹本玲奈さんは、恋に走っていく情熱がひたむきなホーデル。

ミュージカルとしての楽しさ(冒頭の「しきたり」の歌が力強く、結婚式の場面はエキゾチックな雰囲気もあり見ごたえがある)はもちろんだけれど、家族や恋人同士、人と人とのつながりをシンプルに素朴に見せてくれた分、心の芯で受け止められる舞台だった。

10月29日まで、日生劇場にて。

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