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2009/10/03

NYLON100℃『世田谷カフカ』

(ラストシーンなどに触れてますので、未見の方はご注意下さい)

カフカは高校生のころ『変身』を読んだことがあるきりで、(以下結末に触れてます)

虫に変身した主人公がいつ人間に戻るのだろう?と思いながら読んでいて、最後まで人間に戻らなくて「戻らないのかよ! これで終わりかよ!」と思ったという記憶があります。
さて、『世田谷カフカ』、カフカの未完の小説をモチーフとした、ある種不条理な芝居です。

3時間5分くらいの長尺の芝居で、冒頭、村岡希美さん、廣川三憲さん、水野顕子さんが「自分が不条理、理不尽だなあと思った話」というのを語ります。15分くらい。正直、はじめ(その話が面白くないとうことでなく)「これで15分?」と思うのですが、それがカフカの3本の小説の登場人物たち話と、村岡さんたちが語っている話とが後半になると見事に絡んでくるのですね。
村岡さんが語っていたぼけたお母さんを村岡さん自身が演じたり。

そのメビウスの輪的というか、エッシャーのだまし絵的にいろんな話がつながってくる「不条理」な構図に、はっとさせられました。

物語性を追うという舞台ではないですが、いろいろなイメージの羅列が面白いです。世田谷区長たちのバンド(笑)とかやけにおかしいところもあり、ラッパを吹く天使たちの立体的な絵面は美しい。

途中でカフカと妹たち3人が出てくるシーンで「妹は3人とも、後にアウシュヴィッツに送られた」という台詞が出てきます。ラストシーンは、カフカの作品の主人公3人が職を求めていて、他の求職者たちと一緒に世田谷第二線に乗せられるところで終わるのですが、おそらくそのイメージはアウッシュヴィッツに送られるユダヤ人のイメージと重ね合わせられているようで、心に強い苦味を残すラストです。

役者さんでは三宅弘城さんのカール・ロスマンが不条理に翻弄されているだけではない、屹立した存在感を見せて印象的。もちろん、やけにおかしい世田谷区長も。村岡希美さんも独特の雰囲気があって、魅力的です。

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