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2009/08/12

二宮和也さん主演「見知らぬ乗客」

とっても貴重なチケットの公演『見知らぬ乗客』(東京グローブ座)を、先週観劇。

原作は『リプリー(太陽がいっぱい)』のパトリシア・ハイスミス。ヒッチコックが映画化もしている原作を1995年にクレイグ・ワーナーが戯曲化したものを上演。演出はロバート・アラン・アッカーマン。

列車の中で偶然出会ったブルーノ(二宮和也)とガイ(内田滋)。ガイが悪妻に愛想をつかしていることを知ったブルーノは自分が憎んでいる実の父との交換殺人を申し出る。ある種ストーカーのようにガイを追い続けるブルーノ。そこには「交換殺人を果たしたい」という気持ち以上のものもあって…。

場面展開の多い芝居だが、盆回しで舞台装置を回しながらスピーディに展開する。しかし、それは舞台転換だけではなく、ブルーノ自身の内面が陥っている迷宮も表現しているのだと思う。
(途中メリーゴーラウンドに乗るシーンも出てきて、その音楽がラスト近くにも使われているのも象徴的だ)

二宮和也さんのブルーノ。アル中でいっちゃってる感じももちろん、それ以上に母親に「飲まなければ生きていけないほど繊細」と言われるように、ナイーブでデリケートな感覚がダイレクトに伝わってくる。痛いくらい。盆が回っていき見切れようとする瞬間に見せる表情の変化にハッとしたところも。

この人の心の闇は死をもってしか決着がつかないほど深いのか、と思わせる結末。なぜそこまで実の父親を憎むのか、そしてガイに対する思いは何だったのか…? と観終わった後にもいつまでも後を引いて考えさせられる芝居だった。

ブルーノを恋人のように扱う母親役の秋吉久美子さんは鮮やかな存在感を見せ、内田滋さんはブルーノが執着するだけの魅力を感じさせた。ブルーノとガイの関係は、同じ作者の『リプリー』の男性二人の関係とちょっと似てる気がする。この二人の精神がギリギリまで追い詰められている様を克明に見せる演出は、アッカーマンならでは。

セットや衣裳はモノトーン。本来は色がついているであろう花のレイも黒。ヒッチコックの白黒映画のイメージでもあるが、主人公の目から見た世界はこんなふうにモノトーンに映っていたのだろうか、とも思う。

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