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2009/08/10

世田谷シルク「グッバイ マイ ダーリン」

花組芝居の堀越涼さんが出演するという世田谷シルク「グッバイ マイ ダーリン ~セクキャバに通うお母さんのお話~」へ。

世田谷シルクは今回初観劇。サイトを見ると、劇団員としては作・演出・出演をされる堀川炎さん一人のようです(以前は劇団員さんが何人かいらしたようですが)。

劇場は下北沢・楽園。階段を下りて地下に行って、密室感のある小屋でセクキャバの話を見る…というのは、なかなか相応しい気がします。

「楽園の形状から(客席が左右に分かれている)能狂言舞台を連想し…」という堀川さんの言葉を今サイトで読みました(汗)が、見てる間はあまり能・狂言舞台からの発想はあまり気がつかなかったです…。しいていえば(今思えば)、橋懸かり的に下手通路から登退場するところとか?

寺山修司の「アダムとイブ、私の犯罪学」を下敷きに、親子4人が住む2階と、その真下にあるセクキャバ(セクシーキャバクラ)とが行き来し、時に絡み合う話。両方を貫くキーになるのは「リンゴ」なのかな。アダムとイブが食べて楽園(!)を追放されるきっかけとなったのがリンゴ。この舞台ではセクキャバに通う男性たちがリンゴをキャバ嬢にプレゼントし、キャバ嬢たちの着るドレスもリンゴの赤色で、ときにはキャバ嬢たちがリンゴそのものにもなる。

寺山原作を解体し、イメージを膨らませて、コラージュしている作品なので、言いたいことがつかめているかどうかは分からない(多分分からなくてもいい…かな…? ある種の混沌を見せるものだと思ったので)けど、演劇的にハッとする瞬間が何度かあって、なかなか面白かったです。

セクキャバに通うお父さんと、その妻でリンゴを盗んでくるお母さんを堀越さんが演じてます。冴えない系のお父さんから、目深にかぶった帽子を脱ぐとお母さんに替わる瞬間、歌舞伎のぶっかえりのような鮮やかさに驚きました。
台詞回しにちょっと誇張があり、ある種の時代感・クラシックさもあり、もちろん男性が演じているということで、寺山特有のいっちゃってる感じのお母さんも、客観的に見られるようになるんだな、というのは改めて感じたことで。「私はこんなところで終わる女じゃない!」(引用不正確)と言うところで、私のそばで見てた、お母さん世代の女性が笑ってらしたんですが、多分リアルだと受け止めがたいところも男性の肉体が演じることで、笑えるくらい客観的になれるんだなあ、なんてことも思いました。

この役を20代の女優さんが演じられるか…と思うとなかなか成立し得ないと思います。そういう意味では「妖艶な」女性を圧倒的に演じてみせた堀越さんの力量も感じる公演でした。

振り付けは独特のセンスがあって、狭い楽園の舞台をダイナミックに見せる手腕は目を見張るものがあります。小刻みな動きも、なんだかカワイイ。
2階の一家の場面で、リンゴになったキャバ嬢たちが、ト書きや擬音を口で言う手法が面白く(電車の音を「デンシャデンシャ」と言うのとか)、後半になるにつれて、それが効果的に使われていて、ちょっとぞくっとさせられました。

2階の一家のドラマチックさに比べると、階下のセクキャバの世界は対照的にわりとゆるやか。原作の設定ではトルコ風呂だったそうですが、そのへんの生々しさがないのは、女性演出だからかもしれないし、それがいまどきの女性像なのかもしれません。個人的にはもうちょっと色濃く描いてくれたほうが好みですが。

今回は堀川さんの出演時間が短かったのですが、普段は一人芝居などをされているようなので、次回は演じてらっしゃるところもちゃんと見てみたいかなと思いました。

やや余談ですが。エコのため配布チラシをやめる、という決断は良いと思いますが、チケットは作ってほしかったかな(笑)。そこは省かない方が良い部分の気がします。

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