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2009/08/19

ワンダーな四人芝居~花組四獣『ワンダーガーデン』

花組芝居の同期4人、植本潤さん、大井靖彦さん、桂憲一さん、八代進一さんが花組入座して20年を記念しての公演。
でも、記念公演であってもいわゆる「ぬるい」ところはまったくなく、演劇的にもとても刺激的な芝居だった。作・演出はわかぎゑふさん。

4人が演じるのは、大正末から昭和初期にかけての20年を生きる四姉妹の物語。(正確に言うと、3姉妹+兄が結婚することによって義妹になった人の話)
なのだけれど、その4姉妹の恋人や夫を一人二役で演じるという趣向。
芝居は彼らの家の庭が舞台で描かれている。この庭の装置がちょっとパウル・クレーの絵みたいな感じで、抽象画の世界にいるようで面白い。衣裳も、時代がかった衣裳ではなく、白のシャツとスカートの組み合わせで、男女の早替わりも見せる。

昭和デモクラシーが盛んになっていく時代、女性の生き方を描くが、それがウェットなものにならないのは、男性の肉体で演じられているから。役に対して客観性が生まれるから、逆に女性の私としては共感を持って見られるのだ。
20年かけていろんな経験を経て、いろんな傷を負って、でも伸びやかに生きていく様子がとても好ましく素敵だなと思う。

また、時代がかった衣裳や装置に頼らなくても、ある種クラシックな、「その時代に生きた人」感が出せるのは彼らが花組芝居で長年培ってきた経験によるものだろう。

とても普遍的な魅力のある戯曲だけれど、では、他に誰が演じられるか……と思うと、男女を難なく演じられて、しかもリアルに落とし込めるこの4名以外はなかなか思い当たらない。そう思うと、大変贅沢な作りの公演だし、そこは「記念公演」ならではのことと思う。

四人姉妹のキャラも際立っている。植本さんの義妹・桜がぼーっとした少女から鮮やかに変わっていく変遷、大井さんの三女・葉月の職業夫人としてつややかに生きる力強さ、八代さんの次女・薫子の庭を守り、秘めた思いを貫く切なさ、桂さんの長女・千草の、軍人の夫にただ従うだけではない、一生懸命夫を愛するいじらしさと可愛さ……。全部の役についていろいろ書きたくなるくらい、素敵な芝居を見せてもらった。

冒頭に「演劇として刺激的な」と書いたけれど、役者の技量を問われる芝居でもあるのに、いわゆる「ガチンコ勝負」的な感じ(私がうまいのよ、的な?)にならないのも、とても良いなと思う。それぞれが役として緊密に、密接に作り上げられているのも、4人の絆を感じられて面白い。

最後の趣向は、花組を長年見ているお客さんにとっては「あっ」と驚くものだが、これもやはり20周年ならでは。最後の挨拶で「公演が終わるまで、ラストはブログとかに書かないで下さい!」と八代さんがおっしゃってたので(笑)、どんな内容かは千秋楽26日以降に書き足します。ここで一気に4人の役者としての20年間も振り返れて、感動的な終幕でした。

8月17日の初日を観劇。公演は26日まで。下北沢・シアター711。売り切れで当日券が出ない日もあるようですが、興味を持たれた方はぜひ。

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