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2009/07/07

おおのの『太宰治のオンナの小説』

いろんなエモーションをかきたてる「朗読劇」でした。

花組芝居で加納幸和さんの元で演出助手をされている大野裕明さんのユニット「おおのの」。第一回公演は『ザ・漱石』でそこから続く「文豪シリーズ」で今回は太宰治を取り上げる。俳優座の芸歴61年のベテラン岩崎加根子さんを迎えての朗読劇。太宰治の親友が彼のことを振り返るという外枠をつけて、太宰治が女性一人語り形式で書いた小説『女生徒』、『おさん』、『葉桜と魔笛』を女優三人が順に語るという方式。

『女生徒』の瑞々しい感覚と後の太宰治の心中事件を本人が事前にそのまま書いてしまったような『おさん』の女心の切なさ(小林美江さん秀逸)。やはり圧巻なのは岩崎加根子さんの『葉桜と魔笛』。言葉の一つ一つに説得力があって、ぐいぐいと引き込まれていく。ラストの軍艦マーチのくだりでは、泣きそうになりました…。

語り手的な立場の「太宰治の親友」(すみません、劇中では名前言ってたけど忘れました…)役は丸川敬之さん。後に「この人ともっと仲良くしていれば、太宰も死ななくてもよかったかも」と遺された太宰の奥さんが言ったほどの人だそうで、そんな温かみが丸川さんの芝居からも伝わってきた。

「友達になりたくない」「暗い」というイメージ(これも劇中の台詞から)の太宰を、どこか優しい視点で見て編んでいっているのは大野さんならでは、か。

ジャズ・ピアニストの保坂修平の生演奏だけでなく、役者さんたちも皆さん劇中の音楽を担当。言葉のイメージをさらに深く押し広げていったと思う。口笛から鳥の声、波の音、列車の音まで一人でSEを口でこなしちゃう藤崎卓也さんにビックリ。(「ちふれ」のCMの口笛も藤崎さんがやってらっしゃるんだそう)

15分の休憩の後は、2部「おおのの♪大いに唄う」。…初め、このタイトルを見て「大野さんが大いに唄っちゃうのか??」と思ったら違った(笑)。出演者の皆さんによる歌。最後は24時間テレビのエンディングふうに(笑)客席も全員で歌って幕。

おおのの次回公演は五人芝居『走れダザイ』。この3作品を書いた太宰治を今度はどう描くのか? 太宰作品そのものを取り上げた今回と、太宰治という人間を取り上げる次回公演とのカップリングはなかなか良い趣向で、2010年1月の次回公演も楽しみです。

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