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2009/06/25

ジーザス・クライスト・スーパースター

NHKBSで放送になったものを録画していたのでチェックを…と思って見始めたが、ついつい見入って全部見てしまいました。

初めてこの作品を見たのは高校生のとき。宝塚以外の一般の舞台で、初めて自分をお金を出して買った舞台だったと思います。キリスト教の学校に行っていたので題材が親しかったというのもありますが、遠い偉人の物語だったものが、初めてリアルな肉体を得てイキイキと躍動し、苦悩している姿に大変衝撃を受けました。

それ以来何度となく見ている作品で、映画版も見ているのですが、改めて見ると…すごい作品ですよね。

ミュージカルのオーバチュアーとロケ隊が現地に着いて撮影を始めるというのがクロスして、自然と物語の世界に入っていくオープングは特にすごい。

今、改めて見直すと、ジーザスの激しく研ぎ澄まされた生き様はもちろん、周りの登場人物一人ひとりの苦しみが棟に迫ります。ジーザスを愛するがゆえに裏切らねばならなかったユダ、ジーザスに「お前は三度私のことを知らないという」と言われた予言のとおりに「ジーザスなんか知らない」と3度言ってしまうペテロ、ジーザスのことを本当は処刑したくないのに周囲に押されて磔刑を命じてしまうピラト……。人間という存在のはかない弱さが実感を持って感じられて、見てるだけで胸が痛くなるのです。

余談ですが、この間善光寺のご開帳に行ってきて、門前町の賑わい、というか商業的な雰囲気に、「ジーザス~」で神殿に祈りに来たジーザスが商売人たちを追い払う「ここは私の祈りの庭だ~、出ていけ~!」という歌が頭に浮かんできて仕方がなかったのですが(苦笑)。人が集まるところには商売が生まれるのは当たり前だし、もちろん善光寺名物おやきは美味しいし(笑)、それを楽しみにすることもいいんだけど……、人間は2000年前からちっとも変わってないということかな。

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2009/06/20

お知らせ、そして心に残る言葉

まとめてのお知らせでスミマセン(汗)。
書店などで見かけましたら、チェックしていただけると嬉しいです。

●演劇プルミエ
蜷川幸雄の稽古場特集~美術・中越司さん 衣裳・小峰リリーさん
「ムサシ」公演レポート
「Triangle」通し稽古から開幕まで 密着レポート(井上芳雄さん、新納慎也さん、彩乃かなみさん、演出・宮田慶子さんインタビューも)


●BEST STAGE
「ダンス・オブ・ヴァンパイア」山口祐一郎さん・石川禅さん対談
Studio Life「LILIES」新納慎也さん・村上幸平さん・松本慎也さん・三上俊さん座談会
「COCO」湖月わたるさんスチール撮影レポート&インタビュー

●レプリークBis
「スペリングビー」藤井隆さん・新妻聖子さん対談
「LILIES」村上幸平さんインタビュー
これから観られるミュージカル 一挙紹介

●ケーブルテレビ情報誌「Club iT」「JCNケーブルテレビマガジン」(書店売りはないのですが…)
「星の大地に降る涙」寺脇康文さんインタビュー

今回もいろんな方とお会いできて、様々な刺激をいただいてきました。

その中の一つ。「LILIES」の座談会で、「では最後に…」という段階になって松本慎也さんがふとおっしゃった言葉。
「いろいろ言いたいことはあるんですけど…」

個人的には結構インパクトのある一言でした。松本さんが「LILIES」という作品に対して、どれほどの思いで取り組もうとしているのか、よく分かったというのもありますが、私の人生(?)でいろいろ言いたいことがあったかな~、と改めて感じてしまいまして(笑)。
(いや、「言いたいことがたくさんある」人が役者さんをやっているものかもしれないですけどね)

スペースの関係でこの一文は残念ながらカットになっちゃったんですが、個人的には印象に残る言葉でした。

そんなお一人お一人のきらめきを、どうしたら文章に載せてお伝えすることができるか…自問自答の日々ですが、でも真摯にお仕事していきたいな~、と思っております。


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長い一日

銀河劇場「炎の人」とシアターコクーン「桜姫」を連続観劇。ともに3時間超の作品で、一日観劇時間6時間以上(!)。ハードながらも充実した一日でした。

ゴッホの生涯を描いた「炎の人」は三好十郎さんの作。劇団民藝の滝沢修さんのゴッホで有名な作品ですが、今回は市村正親さんが演じています。
弓をキリキリと引き絞っていくように、芸術に向かってどんどん研ぎ澄まされていくゴッホの姿を見るのが切なく苦しい。市村さんが天才がゆえの苦悩と狂気を余すところなく描き出していて、圧倒されるばかりです。
周りを彩る登場人物たちも鮮やかな造形で、魅力的。特にタンギー爺さん(大鷹明良)の温かな人柄は、以前実際にゴッホの絵で見ていて感じた優しさがそのまま実物になったようで、感動的でもありました。
耳を切り落としてもなお、絵筆を取り続けるゴッホの静かな余韻が、深く胸に応えました。

「桜姫」は、歌舞伎の「桜姫東文章」を南米に置き換えた…という単純なものではない、まさに一筋縄ではいかない作品。「炎の人」ゴッホは天才という非凡な人の話だとするなら、「桜姫」で描かれているセルゲイ(清玄)は皆に聖者と崇められながら、実は凡夫のままであった人で。劇中に「もやもやっとした男」という表現が出てきましたが、白井晃さんが演じているセルゲイの「もやっと感」は非常にリアル。観終わった後も、「もやっとボール」をたくさん投げたい気分になって、家にまでいろんなもやもや感をたくさん持ち帰ったような気がします。

終演後は佐藤誓さんにちょっとご挨拶。誓さんが演じるイルモの、「追い続けなければいけない」悲しさが心に残ります。誓さんとのご縁も、気づけば随分長くなりました。

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2009/06/08

お知らせ

前にもブログでも触れた「The Musical AIDA」、安蘭けいさん、伊礼彼方さん×ANZAさんのインタビュー&製作発表レポートが掲載になりました。

ローソンチケットのページです→コチラからどうぞ

安蘭さんは、おそらく宝塚退団後初のインタビュー掲載になるのではないかと思います。
よかったらぜひお読み下さいませ。

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2009/06/05

花組ヌーベル『盟三五大切』

(内容に触れてますので、これから観る方はご注意下さい)

衣裳が変われば見えてくる世界も変わるのだ。

花組ヌーベル『盟三五大切』は、花組芝居座長加納幸和さんが本公演ではできないような実験的な試みをしようとする公演の第2弾。四世鶴谷南北の名作『盟三五大切』を題材に取り、加納さんの脚本・演出。

前回公演『恐怖時代』は浴衣での公演だったが、今回は全員黒のスーツ姿。しかもステージには、舞台上にはお葬式の祭壇と(精進落とし用の)座卓がしつらえられている。開演前から流れているのは、お葬式の読経に聞こえるけれどちょっと不思議な感じの「音」は、韓国版読経?とか。

葬式に訪れる人の風景…から、歌舞伎調の芝居に入るときの違和感というか時空の飛び具合にはビックリする。やがてその違和感がなくなり、「黒のスーツでも歌舞伎」という不思議な世界に気持ちが落ち着いていくのが、どこか快感だ。

描かれているのは、巡る因果の中で、自分を裏切った小万への復讐心から大勢の人を殺めてしまう源五兵衛の姿。
血みどろのシーンを美的に描くのは加納さん流だけれど、現代の黒スーツ姿で演じているために、昔の「絵空事」がリアルに今の日本と重なってくる。
特に、源五兵衛が小万の切り落とした首と向かい合ってお茶漬けを食べる有名なシーン。ここでは「2分でごはん」を電子レンジでチンして食べることになって、「物を食べる」という日常性と、殺人の異常性との対比の冷ややかな衝撃がよりリアルなものになった。
(先日たまたま「なぜ、殺人事件の後で、犯人は現場でご飯やアイスを食べるのか?」ということについて、心理学的な考察をしたテレビ番組を見たので、より現代との鏡写しを鮮明に感じたのかも…)

源五兵衛の北沢洋さんのリアルな性根が役柄にはまっていて、出色。

以前、リーディング公演で『盟三五大切』を取り上げたときは小万は加納さんが演じていて、無意識に「今回も加納さんが小万?」と思って劇場に足を踏み入れたのだが、加納さんは小万の恋人、三五郎だった。加納さんが花組芝居の公演で男性を演じるのはとても珍しいのだが、独特の色気と悪の魅力があってとても素敵。
小万は小林大介さん。
全員が黒スーツで演じるということで、小林さんはヒゲを生やして黒スーツで女性役なのだ。こういうことをやると、「ヒゲのOL」とか「ヒゲのおいらん」とかギャグっぽい感じに見られがちなのだけれど、小万の持つ可愛らしさが次第に立ち上がってくるのが面白い。

他の方々は何役かを兼ねて演じていて、その一瞬の切り替わりが演劇的な快感になる。
源五兵衛の家来を演じる松原綾央さんは忠義一途さがよく出ていたし、谷山知宏さんは普段はキャラクター的な役が多い中で、スッとした雰囲気(サラッとした髪(笑)?)と響きの良い声でなかなかの二枚目さんぶりを今回は見せてくれた。山下禎啓さんが確かな味わい。

『盟三五大切』といえば、忠臣蔵+四谷怪談裏話的な部分もあって、今回の舞台は花組芝居の傑作『いろは四谷怪談』をちょっと思い出させる部分がある。『いろは四谷怪談』も鶴屋南北のお葬式シーンから始まっているバージョンもあったので。初日ゲストの八代進一さん(ゲストだけど、ずっと舞台上で死体役で寝てないといけないのは、案外大変そうだ)がアドリブ(?)で「歌舞伎の冒涜だ~!」と言ったのは、実は『いろは四谷怪談』のネタだったり。このあたりはコアなお楽しみということで。

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