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2009/03/09

フルーツバスケット

フジテレビジョン・Studio Life・銀河劇場主催の『フルーツバスケット』。ダブルキャスト公演の両チームを拝見してきました。
世界で一番売れている漫画としてギネスにも載っているという少女漫画の初舞台化。スタジオライフのオールメールキャスト方式を、外部出演者半分とライフ役者半分で演じるというプロデュース公演は昨年の『カリフォルニア物語』に続くもの。漫画らしい誇張とコミカルな表現と共に、スタジオライフの倉田淳さんらしいナイーブな切なさがあって、スタジオライフの(プロデュース公演ですが)の新機軸というところか。

十二支の物の怪が憑いてしまった一族の人たちと、母を失った女子高校生透との交流を通して、癒され、心許されていく人々の姿を描く。
十二支の物の怪に変身するシーンはどうするのだろう…?と思いましたが、こう来たか(笑)という感じで、結構楽しく拝見しました。装置の移動と組み合わせてうまく工夫してありましたね。シリアスな話の展開なのに、場面のラストに一人(一匹)だけポツンと佇んでいる、オレンジの猫のぬいぐるみ(って言っちゃいけないんだろうけど(汗))の姿がやけにおかしかったり(笑)。

エピソード的には、1幕終わりに出てくる草摩はとり(曽世海司)と佳菜(吉田隆太)との悲恋と、十二支憑きに生まれてしまったがために母親に疎まれる草摩紅葉(荒木健太朗)の場面が印象的。
曽世さんのはとりはスピード感ある展開の中に、切ない恋の思いを滲ませていて、吉田さんの佳菜が見せる女心とともに記憶に深く残ります。
余談ですが、曽世さんは先日発売されたレプリークBis「漫画と舞台」特集で取材させていただきまして。漫画原作の舞台に日本で一番数多く出演されてるのが曽世さんだということに、雑誌が出てから気がつきました。雑誌が出る前に気がついて、このこと書けばよかったー! 以前の「アドルフに告ぐ」のときも思いましたが、漫画的に誇張するべきところをうまく誇張して見せるのが抜群にお上手なんですよね、曽世さんって。

そして、映画「ローズマリーの赤ちゃん」の逆バージョンのようなエピソードの紅葉。ローズマリーの赤ちゃんは悪魔を産んでしまった母親が、たとえ悪魔であっても自分の子供を受け入れる…という話なんですが、今の時代は「自分の子供が悪魔に見えるから拒絶する」というほうがリアリティがあるんでしょうね。と思うと、悲しいですが。初めのほうは無邪気な少年のように見えていたのに、母親を思い続ける紅葉の姿が胸に突き刺さって。荒木さんはこういう感情の波が押し寄せる様子をつぶさに見せられる役者さんなのだなあ、と思います。

そして、物語の中心は本田透(三上俊)と一緒に住むことになる、草摩夾(上山竜司・岩崎大のダブルキャスト)と草摩由希(松本慎也と真山明大のダブルキャスト)の共生。
心に苦しみを抱えている少年たちが、透の存在に癒され、励まされて変わっていく過程を丁寧に描いているのが、作・演出の倉田さんの真骨頂。3人の不思議な共生から、いつか心を許し合う関係に変わっていく様子が、夾が何気なく言う「<家>に帰ろう」という<家>の一言に隠されていて、ちょっと「ああ…」と思います。
上山さんの不器用な男の子らしさがある夾、一方岩崎さんは周りのものを傷つけずにいられない弱さとコンプレックスと裏腹のパワーを見せて、それぞれに対照的。松本さんの由希は透に対する思いが丁寧に描かれていますね。真山さんは(舞台2度目ということだが)はっとさせられる瞬間が何度かあって、役者としてのきらめきを感じさせられました。

透は皆のことを温かく癒す女の子であるけれど、その前に母親を亡くしたという深い悲しみと葛藤があるからこそそうなったはずで、透の人となりが伝わるエピソードをもう少し盛り込めれば(タイトルになっている、「フルーツバスケット」で仲間はずれにされた話など)、透に対する共感もさらに増したのではないか…とも思います。でも、そのあたりは、「フルバ」劇化パート2、パート3につながっていく布石なのかもしれません。

猪憑きの猪突猛進な女の子、草摩楽羅を演じた米原幸佑さん。女の子の恋するパワーを肉体を駆使して演じていたのは楽しかったのですが、終幕近く、台詞がない場面でしたが、恋する夾に対する切ない思いが無言の表情の中に溢れていました。夾を恋する思いと、自分がどれだけ思っても透には叶わないという悲しみの両方が伝わってきて…。男性の肉体を持った人だからこそ、純化した思いが伝わるんでしょうか。こういう芝居が見られたときは、素直に心打たれます。

ちょっと余談。今回舞台監督助手をやってらっしゃる、Studio Lifeの新人さん、神野明人さんと初めて今回ご挨拶できました。花組芝居の美斉津恵友さんと養成所時代に同期だったそうで「会ったらよろしく」というようなことを美斉津さんに言われてから1年くらい(汗)、やっと機会が巡ってきました。『マージナル』でもしっかりした演技が印象的だった神野さん。今回は実は変身後の猪もやってらっしゃるとか(あの雑巾がけスタイルのスピードもインパクト大!)。今度はライフの舞台でお顔が拝見したいものです。

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