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2009/03/29

加藤健一事務所『川を越えて、森を抜けて』

加藤健一事務所公演『川を越えて、森を抜けて』、見てまいりました。

ニューヨークからそんなに遠くない、今から何十年か前のアメリカの一都市。孫の青年(山本芳樹)と、母方&父方のおじいちゃんとおばあちゃん(加藤健一、竹下景子、一柳みる、有福正志)、そして、彼らの家に遊びに来るお嬢さん(小山萌子)の6人のみが出てくる芝居。
昇進が決まってこの都市を離れようとする孫と、それを阻止しようとするおじいちゃん、おばあちゃんのやりとりがほほえましい。日常の一断面を切り取ったようでありながら、それは既に今の日本やアメリカではなかなか見られないような自然な温かさにあふれていることに気づく。
特に、終幕、時間が過ぎて、皆が去ってしまった後、一人家に残ったおばあちゃん(竹下)と孫の会話が胸に残る。
幸せな時間は限りがあり、結局、人は一人で生まれて死んでいくものだけれど、でも幸せだったという確かなものがあれば、人の心はずっと豊かでいられるのだろう。そして、家族の血を受け継いで、孫がまた新たな家族を作って、幸せな形を築いているということも、人間の命の永遠の証なのかもしれない。

こういう戯曲を発掘し、奇をてらわずに上質な舞台に創り上げる、カトケン事務所さんの舞台はすばらしい。
竹下景子さんのおばあちゃんのなんとチャーミングなこと! そして、ちょっとガンコもののおじいちゃんのカトケンさんの演技がとても豊かだ。
山本芳樹さんは、加藤健一事務所の前2作もそうだったけれど、親の世代ときちんと向かい合うことができる、心の優しい青年という役どころを違和感なく、とても自然に演じている。普段スタジオライフで演じている顔とは違い、穏やかで温かい空気を舞台に漂わせているのが魅力的だ。モノローグがとてもお上手と思う。

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