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2008/10/20

まさに女形対決! 『サド侯爵夫人』

絶対に初日に行きたい! 行かねばならぬ! と勝手に心を燃やして伺ってきた『サド侯爵夫人』。

三島由紀夫の名作戯曲を男性だけ6人の出演者で上演するという企画。
中でも、篠井英介さんが花組芝居を退座して以来18年ぶりに、花組芝居座長、加納幸和さんと共演するということで注目を集めています。

花組芝居のファンの中では古株のほうに入るであろう私も、実はナマで二人ががっぷり組んでいる姿を見るのは初めて。(本公演としては『ザ・隅田川』再演から見てるのですが、隅田川はお二人の役はあんまり絡みがなかったんですよね)

『サド侯爵夫人』ではサド侯爵夫人ルネが篠井さん、ルネの母・モントルイユ夫人を加納さんが演じます。

この芝居の始まりから終わりまでが18年という設定。何度も出てくる「18年」というセリフには因縁めいたものを感じずにはいられません。

客席にも恐ろしいくらい(?)緊迫感が漂ってました。
役者さんたちの力のこもった演技に集中するばかり。
特に第2幕のルネとモントルイユ夫人の対決(?)シーンと言ったら!
終わって暗転した後、そこここからお客さんのほっと息をつく音が聞こえました(笑)。(皆、息を詰めて見ていたらしい)

と言いつつ…。
私はいろんな方が演じている『サド侯爵夫人』を拝見し、本も読んでいるのだけれど、いつも見終わった最後には宇宙に放り出された気持ちになってしまうので。今回もそうでした。

私が持ってる文庫版の後書きには
「サド夫人は貞淑を、夫人の母親モントルイユ夫人は法、社会、道徳を、シミアーヌ夫人は神を、サン・フォン夫人は肉欲を、サド夫人の妹アンヌは女の無邪気さと無節操を、召使シャルロットは民衆を代表して、これらが惑星の振興のように、交錯しつつ廻転してゆかねばならぬ」
という三島由紀夫の言葉があるのですが。

さらに三島の言葉を借りるなら、「セリフだけが舞台を支配」していたのが今回の舞台で。
言葉の渦に圧倒され、対立する女たちに翻弄されているうちに、最後には私は遠く弾き飛ばされてしまうのです(汗)。完敗です。圧倒されてます。

共演というよりは競演。今、女形対決を見るのなら、この『サド侯爵夫人』を置いて他はないでしょう。

他の出演者の皆さんもそれぞれに役どころを演じています。天宮良さんのサン・フォン夫人はグラマラスな質感がありました。山本芳樹さんのシャルロットも抑えた中にほとばしるものがあって、その変化が面白いのです。

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コメント

HSさん、お久しぶりです。
世の縮図…というのは、多分三島さんが意図しているところでもあるのでしょうね。
23日にも拝見しましたが、ルネとモントルイユ夫人の対決の場面は、もうすごかったです。
見る日によって心に引っかかってくる言葉が変わってくるのも、三島戯曲の奥深さなんでしょうね。

投稿: おおはら | 2008/10/25 03:32

お久しぶりです。私も2日目に拝見してきました。まさに圧倒され(三島の言葉の渦と女方競演の双方ですが),まだ心が整理できないままです。きりっと芯のあるルネと,芯はあるけれど世間一般の母親と同じように娘の平和な普通の幸せを願い,でも世間体も非常に気にするモントルイユ夫人、その他の方々も周りにいそうな人々であり、何となく常の世の縮図を徹底的に見せられた気がしています。まだみる予定がありますので,また感想も変わってくるかなと思っています。

投稿: HS | 2008/10/20 23:50

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