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2008/03/03

『カリフォルニア物語』を見て感じたこと

Studio Life+銀河劇場プロデュース公演『カリフォルニア物語』ダブルキャスト両初日を拝見してきました。

以下レビューというよりは個人的に感じたこと。(そして、結末部分にも触れてるのでこれから見る方はご注意下さい)

光り輝くカリフォルニアから、家族との相克を逃れるようにニューヨークに移り住んできたヒース。彼を慕うイーヴとの同居することになって……というのがおおまかなストーリー。
…2日目の初日、Road39チームの公演を見ていて後半。

主役ヒースの兄テレンスが亡くなったシーンの後あたりを見たころ、ふと、「普通の物語だったら、この死を受けてヒースに何らかの変化があって…っていって、話が終りそうな展開だけど…。なんで、この後にイーヴが死ぬ運命が待ち受けているのだろう?」と思って。

そして、さらに話が進んでラストシーン。舞台中央に立つヒースの後ろの一段高いところにいる、(死んでいる)イーヴとテレンスの視線の先にヒースがいることに気づいたら、急に「ああ、そうか」と思うことがありました。

亡くなった人の命はそこで終わっているけれども、思いは終わらない。生きている人はその思いを受け取めることができるし、それで前に進んでいける力を持てるのか…と。
人間は亡くなった人とも何かの関係を結ぶことができると。

亡くなった人の命を継ぐということ。それは子供を生む、という具体的な形もそうだけれど、思いを継ぐということでもできるのだなと。
そういうことを(そういうこと「も」、かな)この作品で伝えたいのだな、と改めて舞台を見て気づきました。

原作漫画も読んでますが、漫画とか小説とか映画とかって主人公目線で読むので見えてないこともあるんですよね。舞台で見ることで、すべての登場人物が生きているという形で見ることができるから、複眼を開けるんだなあと。

原作の吉田秋生さんが意識して描いてらっしゃるかどうかはわからないけれど、『カリフォルニア物語』のもう一つの視点を気づかせてくれた、倉田淳さんの演出に感謝します。(と同時に、自分の周りの亡くなった人に対しても思いを馳せました…)


作品全体としては、主人公のみを描くというよりは青春グラフィティという色が濃いのかな、という印象を受けました。

スタジオライフの役者さんとライフ外の役者さんの色の違いも興味深く拝見しました。
ライフの役者さんは舞台の余白や空間を感じさせるのがお上手なのですね。具体的には、松本慎也さんのイーヴがカリフォルニアを思って歌う冒頭のところでのイメージの広がり方や、(台詞ないところですが)ベッドの端っこにちょこんと座っているときの孤独感、というか、周りの空白に押しつぶされそうなところとか。(回想シーンでの、イーヴが死ぬ瞬間の衝撃が、客席で見てる私にもストレートにぐさっと伝わってきてちょっと驚いた)及川さんのスウェナがラストシーンを語ってるときも、また周りの空白(=愛する人の不在)が大きく広がって、ちょっと抱きしめてあげたくなるような(って女性の私が書くのはなんか変な表現ですけど)可哀想さがありました。吉田隆太さんのシャーロットは佇まいが美しくて、おさえた表現の中の内面描写がにじみ出ていたところがお上手だなあと。

一方で、ライフ外の役者さんはもうちょっと表現が具体的なところが魅力的な気がします。中川真吾さんのイーヴは歌声での表現力が高いのと、どこか捨てられた子犬みたいな感じが良く出てました。伊礼彼方さんは初の女性役で、前半はパワフルな女の子(笑)ですが、後半の心情の描き方に虚実を超えた真実があって(男性だからこそ演じられる女性の姿というか)、これもはっとさせられました。今回初舞台のHILUMAさん。上に書いた終幕はHILUMAさんのテレンスのものでした。初舞台だからこその、きちんと心情を描いた芝居だから、私もいろいろ気づかせてもらえたのかもしれません。

70年代ポップスに乗せて描くということで、耳慣れた洋楽がたくさん。2日続けてみると、結構いろんな曲が今も頭をぐるぐる回ってます(笑)。(一瞬かかる「マイ・シャローナ」とか、「天国への階段」とかがmyツボ)歌声で印象に残るのはtekkanさん、カサノボー晃さん。「白日夢」の歌の、本当に白日夢を見そうな(笑)妖しさの表現力はお二人ともすごいと思いました。

そして、主役のヒースの二人。「猫科のケモノのような」というのは劇中の台詞にある形容ですが、パワーがある演技でダイナミックに見せてくれたのが岩崎大さん。そして、舞台は初めて拝見する林剛史さん。鋭い演技の中に、内面の切なさもにじませて、魅力的なヒースでした。アクションの動きのキレはさすがだと思いました。

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