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2008/01/29

劇団四季「ハムレット」

八百屋舞台(舞台後方が高くなる傾斜のついた舞台)に白いラインが引かれて、遠近法を強調したセットがまず目に入る。
「遠近法」というのは昔美術の時間に習ったと思うが、ある一点から放射状に線を引くことで奥行きを感じさせるもの。今回は舞台奥のセンターに集中点がある。

冒頭、集中点、というか舞台奥から甲冑を着た人がスローモーションで(まるでゆらめいているように見える)登場してくる様子がとてもアヴァンギャルドでもあり印象的だ。
さて、今回の「ハムレット」という舞台そのものの集中点は何なんだろう……? ということを見ながらずっと考えていたのだが、最後にきて「あっ」と思うことがあった。

終幕、死んだハムレットの遺体はホレイショーによって舞台中央に、白いラインに乗るように集中点のほうに足を向けて横たえられる。そして、従者たちによってそのまま担ぎ上げられ、集中点にむかって運ばれていく(ま、実際は舞台突き破るわけにいかないので、下手に向かって曲がりますが、途中まではそういう感じ)。

周りを見れば、やはり死したポローニアス、レイアーティーズ、ガートルードの遺体も横たわっている。
そうか、「ハムレット」という作品にとっての集中点は「死」かと。多くの登場人物があるいは惑い、あるいは謀略を巡らして、決して一直線に進んでいないように見えるけれど、実はすべての人は実は一直線に「死」という集中点に向かっているのだということを、この舞台は壮大に表現しているのだと思い至った。

「正統派のハムレット」というのが今回の舞台のキャッチコピーだけれども、(オーソドックスということではなく)作品の根源まで見つめ直し、本質を掘り下げることこそ「正統」なのだな、と思う。

ハムレットは田邊真也さん。ダンスが上手な方という印象があるけれど、明晰な台詞の中にハムレットが持つ心の揺れや行きつ戻りつしている様子を明確に表現。魅力的なハムレットだった。レイアティーズの坂本岳大さん。坂本さんのリアルな息遣いのある芝居を見て、父も殺され妹も死に、結局は自分まで刺されて死んでしまうレイアティーズの運命の悲しさ(それこそ、知らず知らずのうちに「死」という集中点に向かわされてしまっている人←本当は生きる者すべてがそうなのだけれど)を感じた。

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