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2007/12/17

THE LIGHT IN THE PIAZZA

『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』直訳したら広場に当たる光…という意味でしょうか。登場人物それぞれの人の心に光が差していく様がはっきりわかるような舞台でした。久しぶりに上質な手触りのミュージカルを見たなあ、という気がしています。

旅行でフィレンツェに来ていたアメリカ人母(島田歌穂さん)娘(新妻聖子さん)。娘は飛ばされた帽子(この帽子、本当にきれいに飛んでた!)を拾ってくれたイタリア人青年(小西遼生さん)と一目で恋に落ちる。でも、母は二人の仲をなんとか裂こうとするが、それには理由が……。
というのが大まかなストーリー。

ストーリー自体はシンプルで、この母娘と、イタリア人青年とその家族(鈴木綜馬さん、シルビア・グラブさんなど)が結婚を巡って…ということに絞られた話です。
しかし、歌は相当に難易度が高く、素人耳で聞いても「これは難しそう~」と思う変拍子と変音階(?)の連続。でも、現代音楽調でなくて味わいはクラシックなんですよね。難曲に挑戦!という雰囲気でなく歌いこなしていらした皆さんに拍手です。

とにかく、母親の島田歌穂さんがとても素晴らしいです。いつも、島田さんって歌に感情を載せて表現するのがバツグンにお上手な方だなあと思うのですが、今回ももちろんそうでした。独り言で自分の内面をいうシーンとか、コミカルな味わいがあってとってもキュート。でもその中に母親の愛情が溢れていて。

新妻聖子さんも、今までエポニーヌとかMAの地声の強い歌声のイメージが強かったのですが、今回は透明感のあるソプラノを披露してくれました。実はこの娘の役は、母親の不注意で怪我をしたために知能が12歳で止まっているという役なのですが、その感情の不安定な部分をビブラートを利かせた歌声で表現していたと思います。なんともいえない可愛らしさがあって、新たな姿を見せてくれました。

小西遼生さんは恵まれた容姿を生かして、純情で恋心にまっすぐな青年を魅力的に見せてくれました。多分、相当この難曲には苦労されたんだろうな、というのが伺えますが(皆さん、歌が超がつくほどお上手な方ばかりですしね)、これを機にワンステップ上がれたんじゃないでしょうか。

鈴木綜馬さんもイタリア人男性らしい雰囲気が漂ってとても素敵でしたね。島田さんの母役との微妙な感情のやりとりも、大人な味が出ていました。

以下、結末部分の話。

話としては、娘の障害をイタリア人家族に告げようかどうか迷う…という母親の葛藤の果てに、娘の成長していく姿を実感して、結局障害を告げないままに娘を嫁がせていく…というふうに進んでいきます。
まあ、現実問題で考えたら娘の障害を結婚相手に告げないのはいかがなものか、という感じではあるのですが(笑)。そういうとらえ方をすべき作品ではないのだと思います。子供を愛するがゆえに自分自身を囲い込んでいた母親が、自分自身も子供も解放して、それぞれに一歩進んでいく勇気を持っていったのだな、と思いました。

そんな母親が、一人の女性としてどう変わっていくか…という様子を、歌穂さんはとてもチャーミングに、余すところなく見せてくれたと思います。

タイトルとおり、高いところから当たる照明の光がとてもきれい。衣装も50年代ファッションでセンス良かったですね。

作者、作曲家、演出家、そしてもちろん出演者がこの作品を丁寧に、大事に作っているのがよく分かる舞台です。公演期間はわりと短めで、もう終わってしまったのですが、またの機会があればよいなと思います。

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