« 『アドルフに告ぐ』上演記念トークイベント&製作発表 | トップページ | MUJI CAFEのあんクロワッサン »

2007/12/08

男のドラマと女のドラマ~『KANADEHON忠臣蔵』

12月5日に2回目の花組芝居『KANADEHON忠臣蔵』に行ってきました。いや~、やっぱり面白いですね。今回も堪能してまいりました。
全体的な流れの話は前回書きましたので、それ以外のところで…。

前回見たときにふと思ったのが、(突拍子もないたとえですが)

『忠臣蔵』って宝塚のトップスターの交代劇のようだなあ、と。塩冶判官という偉大?なトップスターの後、後を継いだ次のトップ、大星由良助がいかにして人心を掌握して立派なトップになるまで、という話にもたとえられるかなと。宝塚のトップスターというのは主演者であるのと同時に、組の一員という要素もありますからね。今回見て、この連想もあながち間違いでもないかも、という気もしてきました。
桂憲一さんの大星由良助の芝居を見たからこういう連想になったんでしょうかね。芝居をリードしていく部分と同時に群像劇的な、「藩の一員」という意識もおありになるんでしょうか。芝居の中にあって、重層的な由良助像を作り上げてらしたように思います。場を引っ張る縦の力と、全体的な役割を大事にする横の力と両方ある、無敵な大星様だと思う。
由良助が四段目で登場してから、芝居がぐっと広がっていく快感を頭の中で感じています。今日の朝日新聞の劇評にも載ってましたが、四段目の塩冶判官の仇討ちを誓う場面の最後、気が狂ったように踊る人たちと、判官が切腹した刀の血をなめて仇討ちの心を固める由良助とのコントラストは、桂さん自身の工夫もあってとても印象的。

大星由良助が引っ張っているのが男性のドラマとすれば、女性のドラマを引っ張っているのがおかる。

終演後、植本潤さんにお目に掛かって
私「植本さん、(おかる)可愛いですねぇ~」
植「それ、言われ慣れてるから(笑)」
…(笑)。いやー、今月の名アンサーですな。(あ、冗談ですからね、もちろん)

でも、植本さんのおかるは本当に可愛かったですよね。恋してる女性の弾んでる感じがよく出てて。あんなにイキイキしている女性がいつの間にか悲劇に絡め取られていく様子がとても悲しい。歌舞伎の場合、基本的に立役中心だし、おかるの心情の流れそのものは(普段は見取り狂言で見ることが多いもので)今までそんなに注目して見たことはなかったのですが、今回の『KANADEHON忠臣蔵』では、通し上演ということと植本さんの好演があって、おかるという女性像が初めて明確に分かった気がします。女性のほうのドラマをきっちり際立たせてたのがとても新鮮な視点だし、その部分での立役者は植本さんだという気がする。

小浪の堀越涼さん。2回目に見て初日から比べて長足の進歩を感じて(←なんか上から目線みたいな言い方でスミマセン)、若い人は伸びるのが早くていいな~と思います。(でも、メイクは頑張って(^^;ゞ)
女形というのは心情だけで演じるのでなくて形で見せる部分もたくさんあるし、そのあたりは本当にやるべきことはいっぱいあると思うのですが、その点では加納幸和さんの戸無瀬とずっと一緒に出てるのはとても良いことなんじゃないかと。
「力弥さんと別れるのはい~や~~」(台詞不正確)というあたり、小浪の恋心を感じてふと涙ぐみそうになる気持ちになったのも確かで。『忠臣蔵』という芝居が上演されて以来今まで何人くらいの小浪を演じた役者がいたか想像もつきませんが、大勢の人が作り上げてきた小浪という役のエッセンスというか役の香気が立ち上った一瞬は確かにあったと思う。

その小浪も出てる九段目の山科閑居の場、加古川本蔵の妻、お石(山下禎啓さん)と小浪の義母、戸無瀬(加納さん)の芝居はまさに女形対決のような様相。緊密感が漂う、見ごたえがある場面となりました。
そんな中でも、追い返そうとするお石に塩をまかれて、「しおしお~」と文字通りシオシオになる戸無瀬と小浪がなんともラブリーで(笑)、そのあたりの芝居のふくらみやおかしさもまた、花組芝居らしい『忠臣蔵』だなと思います。

|

« 『アドルフに告ぐ』上演記念トークイベント&製作発表 | トップページ | MUJI CAFEのあんクロワッサン »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/34077/17303410

この記事へのトラックバック一覧です: 男のドラマと女のドラマ~『KANADEHON忠臣蔵』:

« 『アドルフに告ぐ』上演記念トークイベント&製作発表 | トップページ | MUJI CAFEのあんクロワッサン »