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2007/07/04

NODA MAP番外公演「THE BEE」

観劇して数日たっているのだけれど、今も頭の中に、劇中に流れていた美しい「ハミングコーラス」(オペラ「蝶々夫人」より)がこだまする……。

初演はイギリスで英語上演。今回は日本語バージョン。

筒井康隆の「毟り合い」が原作。犯罪事件の被害者の夫であったイド(野田秀樹)が、やがて、犯罪者・オゴロ(近藤良平)の妻(秋山奈津子)と息子(こちらも近藤良平)を人質にたてこもり、加害者へと変わっていく……。

紙と映像を使った装置は、シンプルなのに幾重にもイメージを膨らませる。前半は「赤鬼」でもあったように、一人で何役も演じ次ぐ形。

ヒリヒリするような痛みが残る。被害者と加害者が紙一重であること。普通のサラリーマンだったイドが、犯罪することによって妙に高揚してぞっとするくらいイキイキしてくる様子。そして、指を切ったり、レイプしたりという罪が、やがて、ルーティーンな日常になっていく恐ろしさ…。

(あきらめ、黙々と従っていく、生気を失った妻・秋山奈津子さんの表情が印象的)


一つ、個人的に気になったのは、そのルーティーンの場面で度々流れてた「ハミング・コーラス」。これ、「蝶々夫人」からの曲であることに意味があるのかなあ…と。蝶々夫人はご存知のとおり、西洋人ピンカートンに捨てられた日本人の話なので。それとも、曲の美しさだけで選曲してるんでしょうか。ちょっと気になってます…。


今は日本語バージョンが上演されてますが、7月12日からは別バージョン演出の英語版が上演されます。
見に行ったときも野田さんが最後の挨拶で「ロビーで英語版のチケット売ってます」とおっしゃってた。
でも、そのときは、自分自身、あまりにヘビーに内容を受け止めてしまったため、「もう1回は見られないよ……」と思ってそのまま帰ったのですが。日がたつにつれ、もう一度、というか、英語バージョンを見たい気持ちが沸きあがってます。(英語版は、イド役を女性、妻の役を野田さんが演じます。この作品って、性別が反転してるキャストのほうが、受け止めやすく、本質がつかみやすい気がする…)


私は夢の遊眠社から野田さんの作品を見始めています。野田さんの、あのころのリリックで美しい世界が大好きだったのです。最近の野田さんは描いている対象とか表現方法は当時とは大分違っていて、それをすべて受け止めかねている自分もいて……。でも、今回、初めて、もう一度野田さんの世界ときちんと向き合ってみたい、と感じたような気がします…。

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