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2007/07/27

子供のためのシェイクスピア・カンパニー『夏の夜の夢』

今回はグローブ座での公演。「子供のためのシェイクスピアカンパニーが帰ってきたなぁ~」という感じがしますね。

これだけの人数が出てくる芝居を9人という人数でやるということが、夏の夜の魔法のような芝居です。

「子供のための」とはいえ、浮かれた雰囲気にならなかったのは、4人の恋人達、特にヘレナの造形のせいでしょうか。伊沢磨紀さんのヘレナはちょっと『レ・ミゼラブル』のエポニーヌを連想させるような(←ヘレナもエポニーヌも、自分の恋心を持ちながら、恋敵にあたる人と好きな人が会う手助けをするという共通点がありますよね……と今回気づいた)、恋する心の切なさがストレートに伝わってきました。

佐藤誓さんは相変わらず、芝居が的確だなあ。役名がない、黒コートの状態でいるときに、出演主が使う様々な小道具をふっと出してくるのですが、それがまるでドラえもんの4次元ポケットのようで(^^;ゞ。なんかマジックを体現しているというか、芝居に不思議な幻想的な雰囲気を醸し出してました。

アマゾンの女王ヒポリタとティターニアは山崎清介さんが二役で演じました。ティターニアはとってもキャンプで、その迫力は男性が演じるものならではかな(^_^)。山崎清介さんはペーター・ストルマーレ演出の『夏の夜の夢』ではオーベロン・シーシュース役で出演してました。二役の兼ね方とか、4人の恋人達のあり方とか、ストルマーレ演出の影響も感じさせるのがなかなか興味深いです。(加納幸和さんが尾上松緑さん主演で演出したときも同じようなことを感じたのですが)そうやって、芝居が互いに影響しあい、変化を遂げている様子が見られるのは、観客としては楽しいことです。

黒いフロックコートにクラップという手法は常の通り。夏休みに入ったせいか、夜の部でも子供が多く、休憩時間にそここにクラップを真似してる子がいるのがほほえましい。

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いろいろと…

前回アップから大分たってしまいましたm(_)m。
結構仕事がたてこんでいて、バタバタしてました。

久々に宣伝してみますと。本日発売のTop Stageにて、岡幸二郎さんのロングインタビュー、『ロマンス』井上芳雄さん、Studio Life『決闘』関戸博一さん×三上俊さん×青木隆敏さん、『森は生きている』及川健さん、『クラブセブン』玉野和紀さん×桜木涼介さんの原稿を書いています。書店等で見かけましたら、ぜひ手に取って読んでみて下さいね。

今日は真矢みきさんが出ている「Life 天国で君と会えたら」の完成披露試写会に行き、そこでお会いした人に「この間、『レミゼ』にいらしてましたよね? アンジョルラスの衣装の展示の写メを撮ってるところを見かけました」と言われたり(←声、掛けられなかったらしい…(^^;ゞ)。

終幕の夫婦のシーンに涙し、音楽の持つ力を感じた『ザ・ヒットパレード』。20周年スペシャルキャスト公演の『レ・ミゼラブル』では、恋する切なさがあふれた少女、島田歌穂さんのエポニーヌに涙し(←なんか、泣いてばっかりいますね、私…)今拓哉さんのジャベールが1幕最後に神に祈る姿を見て、彼も自分の信じる道を生きていただけなのだと…人間の生の難しさ、哀しさを感じ、『東京タワー』では、加賀まりこさんの「オカン」の愛情に心打たれ…。ダンダンブエノ『砂利』ではまさに砂利のような、ざらざらとした味わいが印象に残ります。心の片隅に確実にあるけれど、決して表にすることがなかった感情を初めて露にされたような気がします。片桐はいりさんがとにかくよかった! 坂東三津五郎さんの虚無な人という稀有なものが見られました。

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2007/07/13

デヴィッド・シルヴィアン 来日コンサート 詳報

David Sylvian 「The World Is Everything」ツアー、10月29日大阪、30日東京の詳報が出ましたね。

詳しくはプロモーターさん「SMASH」のページ

http://www.smash-jpn.com/band/2007/10_david_sylvian/index.php

でどうぞ! デヴィッドのツアーに向けての抱負も載っています。
プロモーターさんの優先予約が7月20日から始まるようです。(ぴあのプレリザーブ扱いもあるそうです)

時々、新しい情報を得るためにグーグルで「デヴィッド・シルヴィアン オーチャードホール」で検索してたら、私のブログが一番上に載ってたりしまして、焦ってました(^^;。とにかく、チケット情報も出たので、一安心ですね。楽しみです。

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2007/07/08

花組芝居のヌーベルヴァーグ(新しい波)~花組ヌーベル『恐怖時代』

久々のスズナリに足を運んで、階段を上がると入口には加納幸和さんが。今回は加納さんがやりたいことやっちゃう!という実験企画、花組ヌーベルの第一弾。役者が素顔、浴衣姿で演じる「浴衣芝居」ということで、拵えやらメイクがないぶん、入口でお出迎えができるらしいです。物販には今回登場してない八代進一さんがいて、前説も担当されてました。(今日は初日だから、千秋楽に比べてよくないかもしれない。でも、初日にしかない感動もあるかもしれない。そのあたりもお楽しみいただければ……という挨拶が、心に残った。前説・物販にいらっしゃる役者さんも日替わりのようです)

今回演じられるのは谷崎潤一郎の『恐怖時代』。谷崎の戯曲は上演を想定しないで書いているものだそうで、これもあまり上演回数が多くないという難易度が高い作品。今回1回しか観劇できないこともあって(だって、4日間だし…)、先に原作を読んだのですが、これがまたまさに血みどろ。特に殺し場のト書きがすごくて、「谷崎は殺し場の凄惨なト書きが書きたくてこの戯曲を書いたんじゃ?」と思わせるようなものでした。演劇では再現不可能(再現したらただのスプラッタ(^^;)だと思われるところをどう舞台化するのだろう……というところに興味を抱きました。ちなみに私の予想は、以前のリーディング公演でやったのと同じ方式で「ト書きを声に出して読む」というのだったんですが……全然違いましたね(^^;ゞ。

スズナリの真っ暗な舞台に浮かび上がる蚊帳。そして、その中でうごめく人たち。空に浮かぶ丸い明かりは夏の花火もイメージさせる。その不思議な雰囲気に、まず心を持っていかれます。

(以下、配役・内容・ラストなどに触れています)

江戸時代らしき話。お銀の方(加納幸和)は春藤家の太守(北沢洋)の愛妾。しかし、家老の靭負(水下きよし)と通じて、太守の妻を暗殺しようと企む……。

というお家騒動の定型を借りながら、描こうとしているのはそのお家騒動の模様ではない。また、私が予想したような、血みどろな耽美に描く、とかでもなくて。
この花組ヌーベルの舞台で展開されていたのは、皆、突っ走ってあっけなく死んでいく人たちの刹那の輝き。それが一瞬の花火のように大空に打ちあがっていくような、舞台でした。なんかもう、2時間15分口をぽかんと開けさせながら(いや、実際には開いてないですけど)、見つめているのみ、という感じです。

血みどろの場面の表現も、とても工夫がありましたね(でも、舞台とか体に絡み付いて、結構大変そう?)。
一番ぞくっと来たのは女中お由良が死ぬ場面の血の滴り方。そして、武士の氏家(嶋倉雷象)と菅沼(松原綾央)がむごたらしく殺されるのを皆がワイワイ言いながら見てるところが、なんだか肝が冷えました。

原作で読んでたときには、なんでこのラストなの??と訳分からなかったんですが、舞台で見たらなんか力技で納得させられちゃうみたいな(笑)パワーがありました。

お銀の方は加納さん以外には考えられなかったけれど、こんなに可愛らしい部分も持ちつつ見せてくれたのには、ヤラレタ!って感じです。予想を超えた演じ方でした。

で、ヌーベルヴァーグ(新しい波)と書いたのは。
前回の『かぶき座の怪人』で入座した谷山知宏さん、丸川敬之さん、そして、その前に入座した小林大介さん、美斉津恵友さん、堀越涼さんがそれぞれ大役を与えられて、好演されていたことです。
一気に5人というと、まさに新しい風が吹き抜けていっている感じがします。

私の予想配役ではお由良の堀越さんしか当たらなかった(笑)。

お銀の方の腹心の女中、梅野に小林大介さん。加納さんともしっかり渡り合えるような大きさがありました。女形らしからぬところが逆に、悪事を堂々と働ける梅野の強さにピッタリ。それと裏腹に、最後に愛する人に裏切られ殺される場面の切なさはぐっときました。

芝居のとっぱしから大活躍の丸川敬之さん。輪郭がハッキリした芝居をするところが良いなあと思います。

平成のメガネ女形(なんて称号があるのか??)堀越さん。前回の柿喰う客の『誰も笑わない「検察官」』のときも思いましたが、長い場面でも緩急のつけ方がとてもお上手な方だなあと思います。

臆病で自分が生きることだけに必死な珍斎の谷山さん。これってすごく難しいお役だと思うのですが、谷山さんはうまく自分の持ち味のほうに役を引っ張ってこられるのですね。(しかし、お近くで見るととてもきれいな顔立ちしてらっしゃるのに、舞台で見ると百面相ですね…(笑))今回感心した方の一人です。

そして、お銀の方と実は密通している伊織之介の美斉津さん。若い人って長足で進歩するなあ~と…。前の『百鬼夜行抄2』の主役経験も生きてるんでしょうね。役柄の、幼い色気がうまく出ていて、その中に酷薄な部分があって、加納さんの相手役としても遜色ない感じに仕上がってました。

ただまあ、新しい方が出てくるということは、それ以外の方の踏ん張りどころでもあるわけで。新しい波の中で、またさらに発展していくものを見せていってほしいなあ……と思います。

ラストシーンのあと、再び、かやの中でうごめく人たちが出てきてカーテンコールふうに挨拶します。しかし、それが一巡では終わらずに何度も繰り返されるところで暗転。同じ愚かさを繰り返すであろう、人の世がそのまま表れているようで、印象的な幕切れでした。

これは、花組芝居でしかできないような舞台ですね。20周年記念に相応しい、アグレッシブなあり方を見せてくれたのが嬉しかったです。

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2007/07/05

東京スウィカ『東風コチ夕立土用波』

東京スウィカ『東風コチ夕立土用波』

演劇produce東京スウィカの『東風コチ夕立土用波』を拝見しました。
以前、Studio Lifeの荒木健太朗さんにお話を伺ったときに、(確か『Daisy pulls it off』の公演中)、「(その前の公演『銀のキス』の大役を終えて)荒木さんも変わりましたよね~」と私が言ったら、「(それの更に前に)東京スウィカで初めて客演をして、そこから自分は変わったんだと思う。外から見て、倉田(淳)さんがすごい演出家だということも改めて分かったし」という話をされていたのです。その話が印象に残ってまして。その後、荒木さんはロミオ役をされたりして劇団でご活躍なさっていて、再び東京スウィカに客演するというので、見てみたいなあと思ったのです。

赤坂レッドシアターは補助席が出るくらい客席満員。

海辺に近いところに住む家族の話。女性の作・演出らしく(比佐廉さん←終演後の挨拶に出てきたお姿は、とてもおきれいな方でした)細やかで丁寧に、人の心をすくっていきます。

芝居をダイナミックにイキイキとさせていたのは、二人の子役の存在です。少女役の子のてらいのない演技と、中学生役の、その年齢らしい感情の揺れ動きがよく見えて、芝居を盛り上げてました。

主演の吉田羊さんは凛とした佇まいがとても素敵。家族の話と書きましたが、血がつながったきょうだいたちのほかに、その人たちの配偶者がそこに新しい波を送っている様子も描いてるんですね(これは、タイトルの「土用波」にも掛けてるのか?)。弟の奥さん役のもりちえさんは、家族に新しい波を送りつつ溶け込んでいる、というスタンスが明確でした。

で、荒木さんはというと、一人だけ家族の一員ではなく、一家がやってるカフェのバイトの男の子の役。日頃、非日常と虚構の世界を演じてることが多いのですが、こういういわゆる「普通の男の子」像を見せてもらえたのは新鮮でした。カメラが好きで一家の写真を撮ってる…という設定なのですが、カメラ=彼らの世界を見通す視線なわけで、そのあたりを芝居の中にもっと打ち出してもよかったかもしれません。ロミオ役の後にこういう役をやるという振り幅はよいなと思いますし、今回客演されたことが、また次の糧になっていることを期待します。

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2007/07/04

NODA MAP番外公演「THE BEE」

観劇して数日たっているのだけれど、今も頭の中に、劇中に流れていた美しい「ハミングコーラス」(オペラ「蝶々夫人」より)がこだまする……。

初演はイギリスで英語上演。今回は日本語バージョン。

筒井康隆の「毟り合い」が原作。犯罪事件の被害者の夫であったイド(野田秀樹)が、やがて、犯罪者・オゴロ(近藤良平)の妻(秋山奈津子)と息子(こちらも近藤良平)を人質にたてこもり、加害者へと変わっていく……。

紙と映像を使った装置は、シンプルなのに幾重にもイメージを膨らませる。前半は「赤鬼」でもあったように、一人で何役も演じ次ぐ形。

ヒリヒリするような痛みが残る。被害者と加害者が紙一重であること。普通のサラリーマンだったイドが、犯罪することによって妙に高揚してぞっとするくらいイキイキしてくる様子。そして、指を切ったり、レイプしたりという罪が、やがて、ルーティーンな日常になっていく恐ろしさ…。

(あきらめ、黙々と従っていく、生気を失った妻・秋山奈津子さんの表情が印象的)


一つ、個人的に気になったのは、そのルーティーンの場面で度々流れてた「ハミング・コーラス」。これ、「蝶々夫人」からの曲であることに意味があるのかなあ…と。蝶々夫人はご存知のとおり、西洋人ピンカートンに捨てられた日本人の話なので。それとも、曲の美しさだけで選曲してるんでしょうか。ちょっと気になってます…。


今は日本語バージョンが上演されてますが、7月12日からは別バージョン演出の英語版が上演されます。
見に行ったときも野田さんが最後の挨拶で「ロビーで英語版のチケット売ってます」とおっしゃってた。
でも、そのときは、自分自身、あまりにヘビーに内容を受け止めてしまったため、「もう1回は見られないよ……」と思ってそのまま帰ったのですが。日がたつにつれ、もう一度、というか、英語バージョンを見たい気持ちが沸きあがってます。(英語版は、イド役を女性、妻の役を野田さんが演じます。この作品って、性別が反転してるキャストのほうが、受け止めやすく、本質がつかみやすい気がする…)


私は夢の遊眠社から野田さんの作品を見始めています。野田さんの、あのころのリリックで美しい世界が大好きだったのです。最近の野田さんは描いている対象とか表現方法は当時とは大分違っていて、それをすべて受け止めかねている自分もいて……。でも、今回、初めて、もう一度野田さんの世界ときちんと向き合ってみたい、と感じたような気がします…。

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