« デヴィッド・シルヴィアン 来日コンサート | トップページ | NODA MAP番外公演「THE BEE」 »

2007/06/26

因縁と死とエロス~三人吉三

シアターコクーンのコクーン歌舞伎『三人吉三』を見てきました。前回の三人吉三も拝見してますが、自分の中の印象は大分違っています。

庚申丸という刀と金100両が人から人へと渡っていき、それぞれの人の因縁の糸が次第に明らかになってくるという構成はとても見事です。

悪をなさざるを得ない人間って、なんて愚かで悲しく、だからこそ愛しいのだろうなあ…と思わされました。
それは、三人吉三のみならず、登場人物たちすべてがどうしようもなく、生きて、死んでいく姿がリアルに描かれているからでしょうか。(土左衛門伝吉の笹野高史さんの独白のシーンの迫力に圧倒されました)
これだけ耳障りが良い、七五調の河竹黙阿弥の台詞と様式美がありながらも、リアルに心情に訴えかけることができるのは、串田和美さんの演出の技なのでしょうか。

そして、死の影と。プロセニアムアーチ(…って歌舞伎の場合でも言うんだろうか?)が蓮の花の絵になっていて、死後の世界を連想させます。1幕の最後に、「死ぬまで悪党だ」みたいな台詞(すみません、うろ覚え)を3人で言うところで、福助さんのお嬢吉三がふと目線を上に上げるのですね。その目線の先には、客席から見るとあの世の絵があるわけで。そこにぬぐいがたい死への衝動というか、あの世が近い人間のエロス、というかを感じて、ぞくっとしました。
女性の振りをしている盗人のお嬢吉三は、福助さんが演じるとただの男性ではない、アンドロギュヌス的な不思議な魅力があって、際立っていました。

他、印象に残るところは、おとせ(七之助)と十三郎(勘太郎)が初めて出会うシーン。いったんすれ違ったあと、ヨタカのおとせに呼び止められて、振り返るところの勘太郎さんの芝居にうならされた。どうしようもなく恋に落ちていってしまう、男性の心がそのまま見て取れるようでした。

2幕で、因縁の恐ろしさを知り、すべての始末をつけようとする和尚吉三(勘三郎さん)は迫真でしたね。

ラストの壮絶な立ち回りと、3人の吉三の刺し違えるところでは涙がにじみました。

普段、あまりスタンディングオベーションには参加しない私ですが(いや、自分があんまり盛り上がってないのに、カーテンコールだけ盛り上がって拍手するのってヘンでしょ(^^;←辛口)、この作品は素直に立って拍手したい気持ちになりました。

|

« デヴィッド・シルヴィアン 来日コンサート | トップページ | NODA MAP番外公演「THE BEE」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/34077/15560946

この記事へのトラックバック一覧です: 因縁と死とエロス~三人吉三:

« デヴィッド・シルヴィアン 来日コンサート | トップページ | NODA MAP番外公演「THE BEE」 »