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2007/06/16

「モスクワからの退却」…私的な感想

本多劇場で加藤健一事務所「モスクワからの退却」を見てきました。

「モスクワからの退却」をする話、ではありません。ナポレオンがモスクワから退却するときの兵士たちの日記「モスクワからの退却」を愛読している夫(加藤健一)と妻(久野綾希子)。33年連れ添っても自分をしっかり見てくれない夫に苛立つ妻、そして初めから掛け違っていた、と思い離婚を切り出す夫。その間に立つ息子(山本芳樹)…というようなストーリーです。

先日、やはり家族をテーマとした舞台の座談会の取材に伺ったのですが、そのときに「家族というのは一番身近な社会。こういう役を演じるときは自分自身の家族のことも考えるし、自分の痛い部分にも触れていかなければならなくなる。そういう意味で大変な作品だ」という話が出てました。なるほどと思ったんですが、やはり、こういうテーマのことだと自分の家族のことを考えてしまう。私は母親を亡くしてますが、非常に仲が良い両親だったので、こういう作品のときにうまく理解できなかったりするのです。(以前、宇宙堂を見たときも、同じようなことがあった)

もちろん、普遍的な部分で、33年間も二人の仲が掛け違っていた悲しさはどうだろう、とか、相手の気持ちが得られないために自分自身の苛立ちで次第に自分ががんじがらめになっていく切なさ、とか、いろいろ想像はするんですけど。

だから、作品評というよりは、私的な感想しか書けないなあ。

息子役を演じた山本芳樹さんが、終幕に両親への愛情を語るモノローグがとても印象に残ります。作品中では両親のとても人間的に未熟な部分(母親が奇矯な行動を取ったり、父親が優柔不断でイヤな態度取ってたり)を見せているけれども、そんな人たちに対して、変わらぬ愛情を注げる姿は、とても美しいです。劇中に息子は「キリスト教は信じてない」という発言を何度かしてますが、彼が最後に示してるのは、キリスト教的な愛に近い気がする。
キリスト教的…っていうか、『トーマの心臓』的な深い愛…?(←ちょうど劇場で萩尾望都先生をお見かけしたので、そういう連想なのかもしれません(^^;。私、萩尾先生と劇場での偶然遭遇率がとても高いです…。もちろん、一方的にお見かけしてるだけですが)
この愛情は血のつながりに由来するものでしょうか。

32歳の大人の男性の役でありながら、こういう清らかな愛を透明感を持って表現できるというのは、今まで劇団(Studio Life)で培ってきた力なのでしょうか。加藤健一さんも、うまく山本さんの本質を見抜いて配役したものだなと思います。

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