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2007/03/27

花組芝居「かぶき座の怪人」千秋楽

終幕、恋助(小林大介)が「姥ケ池」を演じる劇中劇。この世を去り、「天地座の怪人」となってしまった「母」(と知ってか知らずか)九重八重子と目を合わせた瞬間、すごく嬉しそうな顔をする。恋助のその無垢なほどの嬉しそうな顔に思わずちょっと涙ぐむ私。

初日のときは、正直前回2001年公演のときの印象に引っ張られる部分もあって、小林さんの恋助のことが頭の中にきちんと入ってきてなかった気がする。でも、2回目、そしてこの千秋楽と、どんどん頭の中でピースがきちんとはまっていく感じがしました。若手の方は(別の公演のブログでも書いたけど)見違えるほど、どんどん上手くなっていきますね。そういうのを見られるのは観客冥利につきます。

小林さんて、今までの役(「ザ・隅田川」の軍助、「百鬼夜行抄2」の鬼灯)の印象などから豪胆な人なのかなと思ってたんですが、そういう無垢な魅力も持ってるんだなあ。アンビバレンツな二面を持っていらっしゃることが魅力なのかも、と思いました。

そして、私は高荷邦彦さんが花組芝居で演じた役の中で最大の当たり役は、2001年版の「かぶき座~」の早瀬支配人だと思っている人です。その私が、今回の桂憲一さんの早瀬のこともどんどん好きになっていく自分に気づきました。桂さんなりの早瀬がどんどん見えてきたというか。八重子さんと二人で話してる場面とか、本当に相手との呼吸の合わせ方がうまい方なのだなあ、と思う。キュートな早瀬さんでした。
(次の舞台は安寿ミラさんの恋人!!の二枚目クリスチャン役の「シラノ」なので、そちらも楽しみですね)

千秋楽、加納さんの演じる八重子さんは本当に思いがこもっているものでした。ある種鬼気迫るというか…(表現悪いかなあ、でも「怪人」だしね)。下にも書いた、姥ケ池を指導して演じるところは、八重子自身の思いと姥ケ池の鬼婆とがまさに重なって見えたし、「欲望列車に飛び乗って…」とひとりごつところの哀しさは無類です。
一瞬演じる「籠釣瓶花街酔醒」の八つ橋も本当に見事でした。ちょっと見てみたい妄想が膨らんだ。

今回は今まで見たことがない加納さんを見たような気がします。

私は公演としては再演の「ザ・隅田川」(1989年)から花組芝居を見てきて、もう18年くらいになるのですが、「ああ、私は加納幸和という人の魅力を、まだまだ見尽くしてはいないのだなあ…」なんてことを思いました。もちろん見尽くすなんてことはありえないのですが、いろんな作品、いろんな共演者との絡みでもって触発されて、新しい加納さんが次々と生まれていってるんでしょうね。

基本的に観客の立場というのは受身のものだけれど、こと花組芝居に関しては、常に挑戦というか、変わっていく花組芝居に対して、どうそれを私たちが受け止めたらいいかということを試されてる劇団な気がします。
ついていけるだけの感性と柔軟性を持っていきたい、と劇団20周年にして改めて思いを強く持ちました。

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2007/03/25

劇団四季『コンタクト』

拝見してまいりました。私は初見です。
ミュージカルというよりも「ダンス・ドラマ」と言いたいような作品ですね。
人と人との「触れ合い」をテーマにした3幕の作品。フラゴナールの「ぶらんこ」の絵をモデルにした(そういえば、前ロンドンのウォレス・コレクションでこの絵見てきた…)、エロスの香りが漂う1幕、時代が下って20世紀半ばのアメリカのレストランで繰り広げられる、束縛する夫を前にした女性のエモーションをダンスで描く2幕。そして、休憩の後の3幕が、個人的にはとても印象に残ります。

現代のニューヨーク。人との「コンタクト」が取れないCMディレクターが自殺を試みるが、失敗。町のプールバーで、自分の好みの男性とのみ、1曲だけ踊る黄色いドレスの女に心奪われる……。
意外な結末がついているのですが、それに触れるのは避けておくことにして。

現実と夢が入り混じってるような、まさに白日夢を見てるような気分になる舞台でした。
「踊る」という行為自体は一人で踊っているようでも、それは「コンタクト」生命力が共振する瞬間なのだということを、改めて感じた次第。
(私はまったく踊れない人ですが、魂は踊ってる気分になりました(^^))

坂田加奈子さんのミステリアスな雰囲気と、鍛え抜かれた筋肉から生み出される、しなやかなダンスはとても魅力的です。ある意味、「こういう女性とコンタクトしたい」と男性が想像するような存在(現実の人間でない)、夢のような存在である「黄色いドレスの女」を坂田さんはとてもしなやかに表現していたと思います。

CMディレクターの役は加藤敬二さん。踊れない人の役を敬二さんが演じるとはなかなか面白い趣向です。その右往左往している様が、今に生きてる人の現状なのだなあと思うとちょっと切なくおかしい。

公演期間前半は黄色いドレスの女をバレエの酒井はなさんが演じていたそうで、そちらも見てみたかったなあ。
(東京公演が3月末日までで、その後京都公演が4月から始まりますが、その中のどこかでまた見られるんでしょうか?)
福岡の「アイーダ」にマルシアさんが出演したり、最近の四季は幅広く魅力的なキャストを客演に迎えてるようですね。

劇場には6月からの「WICKED」の看板が早くもあって(写真撮ってくればよかった)、こちらも楽しみです。

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2007/03/22

高橋大輔選手の「オペラ座の怪人」

4分半の時間の中に、「オペラ座の怪人」の名曲がぎっしりと詰め込まれて、すごい編曲だなあ~と感心してしまいました(この編曲したもの、ほしい!とファントムファンは思います)。高橋選手も劇団四季の「オペラ座の怪人」もご覧になったのだとか。
感動的な滑りでしたね。

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2007/03/17

20周年の花組芝居~『かぶき座の怪人』初日

15日、『かぶき座の怪人』初日にお邪魔してきました。
20周年記念公演に相応しい、壮大な規模の「顔見世」公演でもありました。
旗揚げの『ザ・隅田川』も顔見世的な要素があったので、その対照も感慨深いですね。

(以下、配役内容等に触れてますので、これから見る人はご注意下さい)
「天地座」という歌舞伎と新劇もやってる伝統ある劇場。「とっても手前勝手に生きてるけど、その分魅力的な、役者っていう生き物」を描いた舞台。あ、生きてない人もいます(笑)。「天地座の怪人」と呼ばれる宇治野川霧の霊(八代進一)。恋多き大女優の九重八重子(加納幸和)と、自分の才能や出自に悩む歌舞伎役者の恋松(小林大介)との関係を中心に話が進んでいきます。

いろんなドラマが起き、歌ったりとか踊ったりとか劇中劇とか早替わりとか隈取りとか盛りだくさんにある中で、「業が深い」役者という存在を愛している作り手側の目線も伝わってきて、優しい気分になれる舞台です。

「これって、今破局で話題の○○さんがモデル…?」「『愛の鬼界ケ島』ってやっぱり『愛の流刑地』…??」と思わせたりする、ゴシップネタ的なものもありますが、もともとの歌舞伎の成り立ちから考えるとそういう手も面白くてよいかと。

ふと思い返せば。初演のときにはもちろんご存命でいらっしゃった大成駒も、(2001年の公演より前に)「『かぶき座の怪人』ぜひ見たいからやって下さいね」とにこやかにおっしゃっていた岸田今日子さんも、既に鬼籍の人となっていて、20年の歳月というものも感じてしまいます。それぞれ「怪人」となって今の日本の演劇界を見つめてらっしゃるんでしょうか。最後のほうに恋松に『姥ケ池』の稽古をつける八重子の、次代の人に思いを伝えようとする姿がとても印象的です。そして、最後客席に向かってお辞儀する姿も……。

初日には『シャンソマニア』に出てたシャンソン歌手の江川康人さんがお見えになっていて、「知らない人がいっぱいいてビックリしちゃったよ~」とおっしゃってましたが、確かに『シャンソマニア』以降、というかここ2年くらいで大分若手の方が増えましたよね。今回は谷山知宏さんと丸川敬之さんが入座披露で、ダンスに交えた新形式なのが面白いです。丸川さんは山風アラシ役でなかなかカッコいい。谷山さんは大倉孝二さんを彷彿とさせる?ミョーな動きとミョーな声の人です。
親子関係もたくさん出てくる作品ですが、リアルな年代差が出てきて、それだけ劇団として厚みを持ってきたということかなと思います。
(でも、溝口さんって旗揚げのときから、ああいうおじいさんとかおばあさんとかやってましたよねえ(笑)。そういうのもなんかおかしいですが)

配役は、九重八重子の加納さん、玄上乱十郎の水下きよしさん、宇治乃川霧の八代さん以外は全部配役が総入れ替え。大女優というものの存在を表現できるのは加納さんしかいないかなと。イッちゃってる若手女優、色出しのぶ役の植本潤さんは…本当にイッちゃってました(笑)。役を演じるパワーがすごいなと思う。あと、キレイですよね、やっぱり。ラメ睫毛でも(笑)。前、植本さんがやってた八十嶋告世役は堀越涼さんで、現時点ではちょっと荷が重そうでしょうか。一朝一夕では女形はできないよね、ということでもあるかも(これは女形役者の役だけど)。いつか堀越さんならではの女形像を見せてほしいという思いを込めて、頑張れと言いたいです(ここで書いても届かないですが(^^;ゞ)。

東京公演は3月25日まで。その後神戸公演が3月31日、4月1日。
あと2回拝見する予定なので、また書きますね(^_^)。

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2007/03/10

美輪明宏ワールドに圧倒される「双頭の鷲」

下に書いた会見のあと、銀座で取材に伺い、プランタン銀座の「イヌコレ」でウチの犬の首輪を買って、渋谷に移動。パルコ劇場で3時間20分の観劇~と大変充実した一日でした。(首輪のサイズを間違えていて、明日交換に行かなければいけない、というオチもつきましたが…)

「双頭の鷲」
皇后エリザベートをモデルとした王妃と暗殺者ルキーニをモデルとした反体制詩人との出会いと死までを描いた、濃密なドラマ作品。
まず、幕が開くとノイシュバンシュタイン城の中のような絢爛なセットに驚かされます。
雷鳴と共に登場する、王妃(美輪)の姿はとても印象的です(音響、照明とのタイミングの合い方も見事です)。
美輪さんは放浪の旅を続ける王妃の誇り高さ、死への憧れ、恋心……など、様々な感情の揺れ動きを、膨大な台詞で表現して見せ、その迫力は圧倒的です。
特に、初めとても権高に振舞っていた王妃が、恋する少女のような可愛らしい表情を見せるところに驚かせました。その姿が本当に可愛く見えたので……。役者として、すごく幅広く見せることができる人なのだな、と改めて思わされました。

ワダエミさんの衣装も素晴らしい!の一言。エリザベートの有名な振り返り肖像画のドレス(ミュージカル『エリザベート』1幕最後で使われているもの)、喪服、乗馬服をモチーフに作った衣装は、見るからに良い生地を使ってて、長い裾の広がり方が本当にきれい。特に3幕のラスト近く。乗馬服の裾に、劇中の重要なモチーフになっている「双頭の鷲」の紋章が入っていて、階段を上がったところで振り向いたポーズのときに裾が階段に長く引かれ、裾の紋章に照明が入るという……、完璧な絵のような見事さでしたね。

今までパルコ劇場でも他の劇場でも、こんなにたくさんの花が入っているのを見たことがない、というくらいロビーは花の香りでむせ返っていました。見終わったあとの観客の盛り上がりもすごく、「ブラボー」と叫ぶイタリア人とか(←私の席の近くで、イタリア語でしゃべってた人)、終演後に「まるで魔法に掛かったみたいに引き込まれていったわ~」と言ってる人だとか、放心状態で客席に座ったまま立てない人とかがいて、美輪さんのことを熱狂的に支持してらっしゃる方が今とても多いのだなあ~ということも改めて感じました。

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「Romeo & Juliet」の制作発表記者会見

…にお邪魔してきました。Studio Lifeの次回公演の制作発表ですが、前半は舞台美術家の朝倉摂さん、翻訳家の松岡和子さん、スタジオライフの脚本・演出の倉田淳さんのトークショー。後半出演者の方のご挨拶とフォトセッション。
……が、あいにく先約で入っていた取材のほうに行かねばならず、トークショー部分で泣く泣く退席。メインキャストの方は衣装をつけての会見だったようなので(←追記、ドレスとかの衣装じゃなかったみたいですね(^^;ゞ。私服じゃないということで)拝見できず残念でしたが、いろいろ取材の方が入っていたのでどちらかで見られるのを期待したいと思います。

ということで、トークショー部分で印象に残ったことを。
「シェイクスピアは、同じ傾向のものばかりでなく、それぞれまったく違う内容の作品を作っているのが面白い。それが天才たるゆえんかもしれないが。でも、ただ作品として見るのとやる(演出する、翻訳する)のとでは大違いで、作り手側も非常に挑戦しないといけない作品ばかり」という話。

今まで見た中ではベルイマンが演出した『ハムレット』(ペーター・ストルマーレが主演)が本当に素晴らしかった! と熱を込めて語る朝倉さんと松岡さん。ハムレットがサングラスをかけて出てきて、一見奇をてらっているように見えるけれど、それは「相手から見られないで、相手を見る」ということの最良の表現としてサングラスをかけさせているのだ、と。本質をぴたりと表現してるところに感動したという話をとうとうとなさっていました。

逆に失敗した例として、ストラトフォードで見た作品の例を挙げる朝倉さん。演出家さんに「どう思った?」と聞かれて「私は失敗だと思う」と答えたら「僕もそう思うよ」と言っていたとのこと。シェイクスピア作品を作るとき、奇をてらったものを作りたくなってしまうけれど、そうしたら本質から離れたり本質が見えにくくなってしまうこともある。それが難しいところ……と。

前作の『夏の夜の夢』で、松岡さんがシーシアスの発言を直接的に「暴力」と訳していたことから触発されて、ヒポリタとシーシアスの関係を作っていった、という倉田さんの話。

倉田さんが次回の『Romeo~』で考えているのは、「愛に疾走する若者だけでなく、大人たちの関係もちゃんと描きたい。大人たちをちゃんと描くことで、若者たちの姿も浮かび上がってくるから」ということ。
(チラシを拝見すると「~死へと疾走する若く幼い愛」「~大切な者たちを死へと追いやってしまう傲慢で偽善的な愛」と書いてあります。普通の「ロミジュリ」のチラシというと「若く幼い愛」のことしか書いていないのが通例なので、チラシ一つをとっても倉田さんらしい視点が生かされてるなと思いました)

もし朝倉さんが「ロミジュリ」の装置を作るとしたら、今思うのはすごく立体的な装置が張り巡らしてあって、ロミオとジュリエットがずっと宙を歩いているようなのが作りたいと。(それはすごくお金がかかるけど……と笑ってましたが)「それは、ロミオとジュリエットの地に足がついていないイメージ、というのを表しているんですか?」と倉田さんが感心なさっていて。とてもインスパイアされたご様子でした。普段美術家の方の話を聞くことはあまりありませんが、こうやって演出家と美術家、翻訳家さんが話をする中でお互いが作品から発想したものをぶつけ合い刺激し合って、どんどん良いものが生まれていくんだろうな……と、創作の現場の一端を見せてもらった思いで、なかなか意義深いトークショーでした。

余談ですが、朝倉さんは髪の毛の色と眼鏡と洋服の色がコーディネートされてて、とても素敵でした。今はリアとコーディリアという名前の猫を飼っていて、昔はロミオというのも飼ってたそうです。

も一つ余談ですが、一番初めに倉田さんが登場したら、後ろに張ってあった『ロミジュリ』のポスターがヒラリとはがれた。やや困った顔の倉田さん……のところに間髪入れず舞台袖から篠田仁志さんが現れて、ポスターを貼り直して去って行った。男前な対応にちょっと感心しました。

劇団として『Romeo & Juliet』に賭ける意気込みの強さを感じさせる会見で、公演が楽しみです。

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2007/03/02

東京純豆腐

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下に書いた「Daisy pulls it off」を見るために新宿駅からシアターサンモールに向かって歩いてるときに発見!

「純豆腐」と書いて「スンドゥブ」と読みます。いつだったかテレビか雑誌で見たスンドゥブチゲ専門店です。ふらふら~と吸い寄せられました(笑)。味もマイルド、ホット、ベリーホットと3種類選べ、マイルドは控えめな辛さでとてもおいしかった~。今度はホットに挑戦してみたい。
地下にあるお店なので若干入りにくい感じがする(ランチメニューの値段が表に書いてないので(^^;ゞ)のが難点ですが、ランチがナムル・デザートつきで900円から。店内もオシャレな感じです。機会があればぜひどうぞ。

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「Daisy pulls it off」を見る

Studio Lifeの『Daisy pulls it off』を見てきました。再演公演ですが、私は初見。(前回はTHE OTHER LIFEという番外公演扱いでしたが、今回は本公演)4通りのキャスト(@_@)のうち、CranberryチームとRapsberryチームを観劇。
「女学院の生徒たちの愛と勇気の物語」というキャッチコピーなのですが……、基本は「階級」のお話なのですね。公立学校から奨学金で転校してきたデイジー(舟見和利・松本慎也)が、自分たちの「階級」の規範が乱れることを恐れるお金持ちのお嬢さんシビル(林勇輔・岩﨑大)やモニカ(石飛幸治・山本芳樹)によっていじめられる、という。
ちなみに、そのいじめてるという話は、グレンジウッド女学院の高等4年生の学園祭の出し物の内容。メタシアターになってます。私たち観客は女学院の学園祭を見に来た父兄とか関係者という設定。

冒頭に「グレンジウッドにようこそ!」と元気いっぱいの女学生たちが劇場中に挨拶して回る、そのパワーにはまず圧倒されますね(目が泳いでいたかもしれん(笑))。

イギリスでは今も厳然と「階級」というものがあり、それを学生たちの世界に移し変え、学園祭の出し物ということでうまくオブラートに包むという、よく出来た仕掛けの芝居だなあと思います。

(階級ということでいえば、級長のベリンダという比較的フラットなものの考え方ができる子でも、冒頭でデイジーについての話をしているときに、どこか上から見てるというか根底に差別意識があるのが見てとれて、興味深いです。こういう子が最後に「あなたは私たちの誇りよ!」と言うようになる、感情の変化がうまく描けてるなと)

日本人である私たちには「階級」のイメージをつかむことはやはり難しい部分があるのですが、更に男優たちが演じることでもう一段階のオブラートで包むことで、さらに受け入れやすくなってるというか、本質に近づけるようになってるんじゃないかと。

生徒たちの湯たんぽ投げ合戦(ファイト)とか、ホッケー(すみません、クリケットと書き間違えてました。訂正)の試合は客席をうまく巻き込んで迫力があるものにしています。特にホッケー決勝戦の臨場感はすごい。スポーツを舞台で表現するとちょっとサムい感じになっちゃうこともあるのですが、台詞のテンポと躍動する肉体とで表現する力があって、試合を見てるような気分になりました。

戦争でお父さんが亡くなった、という台詞が出てくるのですが、終演後、倉田淳さんとお話させていただいて「この戦争っていつの戦争ですか?」と伺うと第一次世界大戦とのこと(ホントは舞台冒頭に説明がありました)。
というと、この舞台の設定は1920年代のお話になります。この後、時代は世界恐慌を経て第二次大戦に向かっていくわけですが「この後この少女たちはどういう人生を送ったか、と想像してしまいますね。戦争のころは母親になっていたりするんでしょうし」と倉田さんがおっしゃっていて、「あっ」と思いました。私はそこまで考えていなかったんですが、ラストの輝かしい笑顔を見せている生徒たちが、その後の激動の時代でも誇り高く生きているだろうことを想像させますよね。そういう大人の目から見た(女性に向けての)強いメッセージ性がある作品なのだと思います。

学園祭の出し物という設定なので、パネルを使った装置転換も制服姿の生徒たちが行っています。特にパネルを8枚(あれ、6枚…?)使った転換のスピード感はとても気持ちよく、どんどん本のページをめくっていってるような気分になりました。

デイジー役のお二人、舟見さんと松本さんを拝見していて思ったのですが、お二人とも、「陰と陽」でいえば「陰」の要素が演技の中にあるんですよね(陰のベクトルがお二人とも違うけど)。ただひたすらに前向きな女の子というのではなく、ナイーブな感性や心の陰りの部分が見えているので、非常に陰影深いデイジー像が創り上げられているのだなと思います。

舞台姿の印象が格段に明確になった、ウィニー役の荒木健太朗さん。前作で大役を演じた影響なのでしょうね。こうやって役者さんの成長していく姿を見ていけるのも、観劇する者としては嬉しいことです。

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