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2007/03/02

「Daisy pulls it off」を見る

Studio Lifeの『Daisy pulls it off』を見てきました。再演公演ですが、私は初見。(前回はTHE OTHER LIFEという番外公演扱いでしたが、今回は本公演)4通りのキャスト(@_@)のうち、CranberryチームとRapsberryチームを観劇。
「女学院の生徒たちの愛と勇気の物語」というキャッチコピーなのですが……、基本は「階級」のお話なのですね。公立学校から奨学金で転校してきたデイジー(舟見和利・松本慎也)が、自分たちの「階級」の規範が乱れることを恐れるお金持ちのお嬢さんシビル(林勇輔・岩﨑大)やモニカ(石飛幸治・山本芳樹)によっていじめられる、という。
ちなみに、そのいじめてるという話は、グレンジウッド女学院の高等4年生の学園祭の出し物の内容。メタシアターになってます。私たち観客は女学院の学園祭を見に来た父兄とか関係者という設定。

冒頭に「グレンジウッドにようこそ!」と元気いっぱいの女学生たちが劇場中に挨拶して回る、そのパワーにはまず圧倒されますね(目が泳いでいたかもしれん(笑))。

イギリスでは今も厳然と「階級」というものがあり、それを学生たちの世界に移し変え、学園祭の出し物ということでうまくオブラートに包むという、よく出来た仕掛けの芝居だなあと思います。

(階級ということでいえば、級長のベリンダという比較的フラットなものの考え方ができる子でも、冒頭でデイジーについての話をしているときに、どこか上から見てるというか根底に差別意識があるのが見てとれて、興味深いです。こういう子が最後に「あなたは私たちの誇りよ!」と言うようになる、感情の変化がうまく描けてるなと)

日本人である私たちには「階級」のイメージをつかむことはやはり難しい部分があるのですが、更に男優たちが演じることでもう一段階のオブラートで包むことで、さらに受け入れやすくなってるというか、本質に近づけるようになってるんじゃないかと。

生徒たちの湯たんぽ投げ合戦(ファイト)とか、ホッケー(すみません、クリケットと書き間違えてました。訂正)の試合は客席をうまく巻き込んで迫力があるものにしています。特にホッケー決勝戦の臨場感はすごい。スポーツを舞台で表現するとちょっとサムい感じになっちゃうこともあるのですが、台詞のテンポと躍動する肉体とで表現する力があって、試合を見てるような気分になりました。

戦争でお父さんが亡くなった、という台詞が出てくるのですが、終演後、倉田淳さんとお話させていただいて「この戦争っていつの戦争ですか?」と伺うと第一次世界大戦とのこと(ホントは舞台冒頭に説明がありました)。
というと、この舞台の設定は1920年代のお話になります。この後、時代は世界恐慌を経て第二次大戦に向かっていくわけですが「この後この少女たちはどういう人生を送ったか、と想像してしまいますね。戦争のころは母親になっていたりするんでしょうし」と倉田さんがおっしゃっていて、「あっ」と思いました。私はそこまで考えていなかったんですが、ラストの輝かしい笑顔を見せている生徒たちが、その後の激動の時代でも誇り高く生きているだろうことを想像させますよね。そういう大人の目から見た(女性に向けての)強いメッセージ性がある作品なのだと思います。

学園祭の出し物という設定なので、パネルを使った装置転換も制服姿の生徒たちが行っています。特にパネルを8枚(あれ、6枚…?)使った転換のスピード感はとても気持ちよく、どんどん本のページをめくっていってるような気分になりました。

デイジー役のお二人、舟見さんと松本さんを拝見していて思ったのですが、お二人とも、「陰と陽」でいえば「陰」の要素が演技の中にあるんですよね(陰のベクトルがお二人とも違うけど)。ただひたすらに前向きな女の子というのではなく、ナイーブな感性や心の陰りの部分が見えているので、非常に陰影深いデイジー像が創り上げられているのだなと思います。

舞台姿の印象が格段に明確になった、ウィニー役の荒木健太朗さん。前作で大役を演じた影響なのでしょうね。こうやって役者さんの成長していく姿を見ていけるのも、観劇する者としては嬉しいことです。

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コメント

>らんまるさん
この間はご一緒でき嬉しかったです(*^^*)。
4チームご覧になるのですよね(@_@)、すごい。「Daisy~」楽しさと主張が程よく入り混じった、良い舞台でしたね。書き忘れてましたが、ベリンダさんのダブルキャストで、ダブルキャストやってないほうが放送委員ということで、アナウンスを担当されてるんですね。開幕前はわりときちんとしたアナウンスなんですが、休憩前のアナウンスはホントに学園祭の女子のノリになってて(笑)、こういうところまで凝ってて楽しいなあと思いました。また、ご一緒しましょうね(^_^)。

投稿: おおはら | 2007/03/04 17:43

こんばんは!先日はお世話になりました

私は3年前に初演も拝見していますので、様々な仕掛けには慣れていますが(初演の初見では本当に度肝を抜かれました(^^;)前にも出ていらした方々には余裕を、今回初めて演じられる方々には初々しさを感じつつ、CranberryとRaspberryの両チームを観ておりました。

初見の時からホッケーの試合の場面が大大大好きです(*^^*) 皆さん仕草は女の子(それもイマドキの女の子以上に女の子っぽい)のに、流石に男の子だけあって物凄くエネルギッシュ!舟見さん・松本さんが見せて下さる、それぞれに工夫を凝らした「ホッケー」は素晴らしく個性的で、目を奪われます(@_@)

しかし客席内にはシビルを始め生徒の皆さん、そして先生方もご観戦であり、しかも同時進行で賑々しくアレコレやって下さるので、そちらも気になってしまって、前を見たり後ろを向いたりするのが大変でした(笑)

扉になったり肖像画がかかっている壁になったりする変幻自在のパネルも、このお芝居に不可欠な存在ですよね。特に「深夜の廊下」の表現力が見事です。また客席前方の端っこで観た時、パネルを担当なさっていた林さんが裏でパネルを支えつつシッカリと女の子の表情になっていたのには感動しました!

荒木健太朗さんは新人公演「WHITE」の頃から気になる存在でした。ウィニーは難しい役だと思いますが、「ああいう子、いるいる!」と思いました。嫌~な感じの下級生って感じが実に良く出ていたと思います。説得力のある役者さんに育っていらっしゃいますね。

謎の男トンプソンさんを演じられた篠田仁志さんも、お若いのにとても素敵な「お父様」でした。私の周囲でも人気が更に上昇中です。

明日と次の土曜日に、残り2つのチーム(Wildstrawberry Blackberry)を観て参ります。シビル&モニカが入れ替わるとどんな風になるのか楽しみです♪

投稿: らんまる | 2007/03/03 23:44

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