« 扉座「ご長寿ねばねばランド」 | トップページ | 花組芝居OFFシアター『相対的浮世絵』 »

2006/11/08

花組芝居OFFシアター『相対的浮世絵』通し稽古

花組芝居OFFシアター『相対的浮世絵』の稽古場最後の通し稽古にお邪魔してきました(11月7日)。

(花組芝居OFFシアターとは、花組芝居が普段本公演で取り上げないような題材・作者の作品を、より身近で見られるような小さい劇場で行う公演のこと。『その鉄塔に男たちはいるという』『ハイライフ』に続いて今回が3作目)

まず、ドアを開けると入口付近で煙草を吸ってるお3人、高荷邦彦さん、北沢洋さん、桂憲一さんが。ゆったりとした雰囲気が、芝居の出来を物語っているのか(^^)? 花組芝居では久々の高荷さんのお姿が見られるのが嬉しい。ハナオフなので出演者は、あとは客演の山藤貴子さんと井上啓子さんのお二人のみ。

15時ちょっと前に稽古場へ。
稽古場中央には本番に近い形で組まれたセットが。『コーラスライン』の白い線ならぬ赤い線が手前側に引いてあって、それがTHEATER BRATSの舞台の幅を示しているもののよう。
「高校時代、事故で死んだ友達と妹が、20年ぶりにこの世に現れた。
『ただ、お兄ちゃんたちに会いたくて、出てきたの』と妹。
『なぜ、今になって…』とまどいを覚える生き残った者たち……。」
というのがチラシに書いてある粗筋だけど、舞台と客席を分ける線が彼岸と此岸を分けている線(?)と似てるのかも、なんていうことも思いつつ、稽古開始を待ちました。

稽古場もいつもの花組の通し稽古とは違って、少ない人数のみ。音響オペレーションをなさってる磯村智彦さんのお姿も。演出の水下きよしさんと通し稽古を見にいらしていた植本潤さんの間という位置に、びみょ~に緊張しながらも座っておりました(笑)。(「大原さん、コーヒー飲む?」とか、お気遣いを絶やさない潤ちゃんです……)

興味としては、土田英生さんの作品の持つ、本当に会話しているようなリアルさと、そのリアルな中なのに非リアルなものが立ち上がってくる不思議さをどういうふうに描いているのか、ということと。
花組のメンバー・プラス・客演の女優さんとでどういう異化効果が生まれるのかなあということで。

そのどちらもが、なかなか良い結果になっていたように思います。

同じ劇団でやっている人からしか生まれないようなやりとりのスムーズなところが、会話のリアルさを生んでいるし、リアルだからこそ、「死んだ友人と妹が帰ってきた」なんていう、非リアルなこともすんなり受け取れる。
(MONO版は見てないのですが)土田さんの戯曲のニュアンスをうまく伝えているなあ、という印象です。

日常から大きく飛躍した「異界」とか「妖魔」とかを描いてる舞台を作っている花組が、逆に「のほほんとした異界」(?)を組み立てているのが面白くもありますね)。

異化効果……という点ではどうだろう、意外と違和感がない気が。今まであまり花組に縁がなかった女優さんが出ていたらまた違った感じかもしれないですが。プロデュース公演の急拵え感とは違って、きちんと座組みが組まれてるかな、と感じがしたし、「ハナオフ」なのでそれでいいのかも。(お芝居としては井上さんが演じる野村さんが全体に楔を打ちつけてる感じがして面白かったんですけどね)

引き込まれて見た1時間45分くらい。私見ですが、切なさと、清清しさがある舞台だったように思います。そういう位置に座ってたので、ラスト近くちょっと泣きそうになってもこらえてみました。

具体的な内容はまだ本番も始まっていないので……、初日に拝見するのでその後にまた書きますね。
一言言うなら……、高荷さんが二枚目だわぁ~、ということでしょうか(^^)。今までの花組の公演ではあまり見せたことがない部分の、高荷さんの持ち味が出てた気がします。

ところで『相対的浮世絵』ってどういう意味…?(汗) 初日にもう一度考えてみたいと思います。

ご観劇をお迷いの方、土田作品のファンの方にもぜひお薦めします。
細かい息遣いも聞こえるような劇場だからこそ見られる、花組芝居のTHE OTHER SIDEがお楽しみいただけるんじゃないかと思いますよ。(公演は11月10日~12日)

|

« 扉座「ご長寿ねばねばランド」 | トップページ | 花組芝居OFFシアター『相対的浮世絵』 »

コメント

実は私もあのシーン、しばらくそう思ってしまいました(記憶が飛んでしまってました)(^^;;

今思ったのですが、そういうラストも、もしかしてありかも、とも思いました。生きている二人(特に高荷さんの役)の、自身の過去に向き合う姿、人間は生きている限り誰かを犠牲にせずにはいられない、そんな痛みまでまるごと引き受けるかのような(あとから思いついた理屈ではありますが・・・)(^^;;

投稿: froufrou | 2006/12/03 14:01

>生きてる2人のやりとり、迷惑だった、せいせいしたー、とか言ってるところなのですが、MONOでは言ってることと表情がぜんぜんかみあってなくて、

そうだったんですかー(@_@)。ハナオフ版とは大分違う演出なのですね。
稽古場で見せていただいたときは、てっきりここで芝居が終わってしまうかと思い、「ええーーっっっ?!」と一人動揺していました(笑)。(という話を役者さんにしたら、笑われましたが(^^;ゞ)

投稿: おおはら | 2006/11/22 00:37

タイトルの意味、水下さんがオフィシャルサイトで説明なさってますね。見落としてました・・m(_ _)m

死んだ人たちの姿、あれは生き残った人たちのいろいろな想念が形を取って現れたものなのか(「父と暮せば」みたいな)、やり残したいろいろなことに決着をつけるために出現したのか(百鬼夜行抄の「僕はこれを言ってなかったんだ」みたいな)MONO版は前者の方が強かったような気がします。
ハナオフ版は、女性が入られたこと、幽霊(や怨霊)が出てくるに慣れてらっしゃる(と思います)役者さんたちだったためか、生きている人間の想像の及ばない面が少し出ていたように思いました
「最後まで言ってくれよ」、この言葉が言えるようになるまで20年、ということでもあるのでしょうね・・・

ゴースト、そうでしたね。あれはどっちなんでしょうね・・

あと、MONOの時は、入退場口が確かフラットで長くて(トラムだったので間口が長かったのです)、死んだ二人が去って行くシーン、なんかふつうのテンションで、じゃーねー、とか手を振りながら去って行ったような記憶があります。こういう設定でも日常劇のテイストに、とか思ってしまいました。なのでハナオフ版の展開はすごくびっくりしました

あと、中盤のシーンの、生きてる2人のやりとり、迷惑だった、せいせいしたー、とか言ってるところなのですが、MONOでは言ってることと表情がぜんぜんかみあってなくて、言葉をひっくりかえす遊びを続けてるんだなって感じたのですが、今回はちょっと違う印象を受けました。座る、立つ・・のところで、何かをかみしめているような

投稿: froufrou | 2006/11/19 18:43

>froufrouさん
貴重な体験はさせていただいていると思うのですが、その貴重さをちゃんと伝えられているかどうか……というのがいつも気にかかってますm(_)m。
仏教のことはそんなに詳しくありませんが、西洋でも映画の『ゴースト ニューヨークの幻(だっけ?)』みたいに死んだ恋人が心配で霊になって帰ってきて、ろくろ一緒に回しちゃう(^^;ゞ……というのもあるから、意外と洋の東西を問わずある考え方なのかも?? (このゴーストの人も現世で何だかをして、来世に戻っていくんですよね? ←あまり分かっていない)

本番の感想のところでも書きましたが、この作品の中では彼岸の人と向き合うことで、此岸の生きてる人たちも新たに生き直すことができたわけで。生きている人が死んだ人にこうあってほしい、こうしてあげたいと思う形の一つを描いているものかな、という気が個人的にはしています。
ファンタジーだし、その分切なくほろ苦い…。

投稿: おおはら | 2006/11/14 00:48

貴重なお話を、いつもありがとうございます(^^)

タイトルの意味なのですが・・当時、土田さんのロンドン留学の時、帰国後の第一弾公演としてタイトルだけ先に決まっていたらしいです。海外の視点から日本を相対化するということでは、という見方が当時あったようなのですが、ご本人が否定なさっていたような記憶もあり、・・謎です。しかも、帰国後に実際に書き始めてみると当初の構想とはだいぶ違ったものになってしまったとも聞きました。謎は深まるばかりなのです

オリジナル版をみていた時は気づかなかったのですが、この作品の死者たちの行動って、仏教でいうところの往生に至るまでの長ーい道程のひとつであるような、死んでからもいろいろなことをひとつひとつ解決していかないといけない、恨みを消し去るのに20年、とか、こういうのってヨーロッパのような一神教の国ではあまりない感覚だと思うのですが、土田さんは意識されているのかどうか・・京都にお住まいですから、仏教の知識も自然と流れ込んできてしまうところもありそうな気もしてしまうのです・・・

投稿: froufrou | 2006/11/12 18:50

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/34077/12602967

この記事へのトラックバック一覧です: 花組芝居OFFシアター『相対的浮世絵』通し稽古:

« 扉座「ご長寿ねばねばランド」 | トップページ | 花組芝居OFFシアター『相対的浮世絵』 »