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2006/08/14

伝統の現在Next3「眉かくしの霊」

不思議にひんやりした怖さが残る、印象としては昔の怪談を聞いた後のような気持ちになる舞台でした。
舞台設定は夏じゃないんですが、なんとも夏向きの舞台だったかも。

花組芝居の加納幸和さん演出による、「伝統の現在」シリーズ第3弾。泉鏡花の「高野聖」「海神別荘」に続くものです。

旅の若者(茂山逸平)がある古い旅館に泊まると、提灯が動いたりお風呂にいるはずのない女性がいたりする現象が起きる。怪異の中、ついに宿の料理人(谷川昭一朗)がある女性の話を始める……。

黒い障子を黒衣たちが自在に動かすことで、大きくも小さくも舞台転換する面白さ。流れるジャズ。そして空間を切り裂くような笛の音――。
冒頭、黒い障子を動かす黒衣たちが部屋の四隅にうずくまっている(劇中舞台上にずっと存在している)のだけれど、「見えているけど(お芝居のお約束として)いない存在の黒衣」の存在が、自分たちの日常に潜む「魔」のように見えてくる。
黒衣たちは面布をつけたまま、急に人間となってしゃべるのだから、その「魔」感はますます増大。

日常から「魔」の世界とふわっと違和感なく切り替わっていく、鏡花物にとてつもなくピッタリだったなあ……と黒衣の使い方のうまさに脱帽。
黒衣を演じているのは花組芝居の皆さん。久々の高荷邦彦さんには(加納さん演出の舞台は「かぶき座の怪人」以来だから、なんと6年ぶりだそう)「次回はぜひ花組の舞台で」と直訴してみました(^^)。

茂山逸平さんはフランス留学直前の舞台。前回の「海神別荘」の公子よりも私はこちらのほうが好き(^^)。鏡花物によく出てくる「見る者」という視点が明確で、私も一緒に怖がることができました。
谷川昭一朗さんはとても達者な方ですね~。間合いがとても的確でした。

ラストに触れますが、女の人の幽霊が「似合いますか」と現れる最後(←これ、ゾクっとしました)、幕の降りるスピードがとても速くて。歌舞伎でいう振り落とし幕のようで、「ああ、幕の降り方まで気を遣ってて、すごいなあ~」と「美は細部に宿る」ということを改めて実感しました。

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