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2006/07/29

こどもの城+ネルケプランニング「南国プールの熱い砂」

昨年劇団KAKUTAで上演されたものをプロデュース公演にしたものだそうで、作・演出はKAKUTAの桑原裕子さん。私は今回が初見でした。
小学校時代の恩師の死をきっかけに、小学校の移動教室で行った南の島のリゾートホテルに旅行に行く同級生たち。のはずがその中には同級生でないのに同級生の振りをしてる人も混じっていて……。
そんな中で今と小学校時代の過去とが徐々に明らかになっていく。

同級生の振りをしてる人のくだりはシチュエーションコメディ的なおかしさで、楽しく笑えるのだけれど、奥に持って伝えているテーマは重いもの。忘れていたくないのに忘れてしまった過去、いろんな行き違いで起こる不幸な誤解、そして明かされたかつての出来事……。

忘れてしまった悲しさというのは誰しも持っていると思うけれど、それを許して生きようとする作者の桑原さんの視線が温かいなと思いました。
「明かされてしまったかつての出来事」はちょっとヘビーすぎ? な感じもしましたが。
同級生同士の息の合った雰囲気がプロデュース公演でも出ていて好もしかった。静謐な美しさを秘めた小橋めぐみさん、キッパリとした強さがある宮下今日子さんが印象に残りました。

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2006/07/23

鏡花の一日~七月大歌舞伎

泉鏡花作品を昼夜2演目ずつ上演という意欲的な企画の歌舞伎座・七月大歌舞伎。どうせなら…(?)と一日で見て参りました。
一日で見た鏡花作品数の自己記録です(笑)。
ちなみに以前の記録は昨年の花組芝居「鏡花まつり」で、『泉鏡花の日本橋』『泉鏡花の草迷宮』の2本。
このときは鏡花の小説作品を加納さんが脚本にしたものでしたが、今回の歌舞伎座の企画は鏡花自身が戯曲にしているものばかりを舞台化しています。

さて、自分としてはもっとも印象に残ったのが夜の部の1本目『山吹』。
以前、この戯曲を読んだときは「…これは今の日本では舞台にできないだろう」という感想だったもので。
だって、以前女の人で罪を犯したと思っている人形遣いの老人が、美しい夫人に「私のことをぶって下さい」って言うんですよ(^^;ゞ。その美しい夫人(縫子)も、娘の時分、言葉も交わしたことのない画家に恋焦がれ、その人の言葉を聞くために近くの部屋で必死で聞き耳立てる、しかもお風呂の隣の部屋のときは裸で壁に耳をつけて必死で聞く……って変な人でしょう、これは。(会った回数が殆どない人に恋焦がれて、その人のために命も落とすという『義血侠血』のように、鏡花作品には極端な思い込みタイプの女性が出てきますよね)

しかし、本で読むと「うーん、変…」と思っていたのに、実際の舞台になったらなんだか受け入れられた。
それは市川笑三郎さん演じる縫子が登場した瞬間、「ああ、この人は異形のものだ…」と感じられたからで。
「異形のもの」というのは、先月の新橋演舞場『和宮様御留』で英太郎さんが出てきた瞬間にもそう感じたんですが。
普通の理性や理屈を超えた存在というのでしょうか。
多分、生半可な女優では演じ切ることができない、深い情念を持った人間がそこには存在していました。

「もう一度だけ手を……」といって再会した画家の男性と縫子が手を握るところがとても印象的で、実際には手を握っているだけなのに、具体的に動きや言葉で見せることの数倍ものエロスを感じさせてくれました。

終幕の花道から老人と縫子が退場するところは、能の橋掛かりを連想させます。これは戯曲でも「花道から退場」と指定がありますが、このホンが「序破急」という能の形式で書かれてることを考えるとピッタリかなと思いました。

さて、他の3作品はそれぞれ以前玉三郎さん版でも、他の方が演じているのでも拝見したことがあります。

『海神別荘』では市川海老蔵さんが妖怪で玉三郎さんが人間。
『天守物語』では玉三郎さんが妖怪で海老蔵さんが人間。
と逆転した配役になっているのが面白いですね。個人的には『天守物語』の戯曲の持つ面白さを改めて感じさせてもらいましたし、玉三郎さんの冨姫、海老蔵さんの図書之助さんはピッタリだなあと思いました。

『夜叉が池』は冒頭の百合、晃、学円の3人の台詞劇をしっかり頭に入るように聞かせるのは難しいな…と常々思っていますが、寝起きの朝11時に聞くと余計キビシイので(^^;、これはもう一工夫あってほしいかも。
市川春猿さんは妖怪の白雪姫。激しい恋に燃える様子がとても情熱的で素敵でした。

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2006/07/20

PARCO劇場「開放弦」

記者会見にもお邪魔していたのだけれど、こういうストーリーの舞台だとは思わなかった……(ビックリ)。
倉持裕さんの作品は以前桂さんが出た「SLEEPLESS」くらいしか拝見したことがないけれど、ある種の居心地悪さが印象に残っている。
その倉持さんが書く「ラブストーリー」というなので一筋縄にはいかない…とは思ったけど、思った以上だったかも。

ということで粗筋を書くのは控えて。
夫婦であっても元恋人同士であっても、見事なくらいに気持ちが掛け違ってしまう。
ナマな表現をすれば、恋愛をするということは居心地が悪い思いをするということと同義語なのだろうか。

冒頭にグルグル巻きになったリボン(結婚式の後に乗る車についていたリボンを引っ剥がしたものという設定)が出てくるけど、それがそのまま舞台全体を象徴しているような気がする。皆がグルグル巻きのリボンに絡め取られてるのかもしれない。

そんな感覚にとらわれながら、2時間40分を引き込まれて舞台を見ていました。

G2さんの大きさがある演出が、倉持さんの感覚に意外なほどマッチしている。
大倉孝二さんは一人恋愛と絡まない役だが、圧倒感があるほどの変てこさなのにリアルなんですよねー、不思議。
河原雅彦さんも、独特の大げささ(…っていうんでしょうか)がG2演出の大きさと倉持さん作品の居心地悪さとの間にピッタリ合ったようで、今まで拝見した舞台の中で私は一番好きでした。

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2006/07/16

ソウル~デザインホテルを巡る旅・その1「Wホテル編」

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なんか女性誌の特集のタイトルみたいになっちゃいましたが(^^;、先週末友人とソウル旅行に行って参りました。今回はホテルでゆっくり滞在を……ということで、最新ホテル二つに2泊ずつという贅沢な旅をしてきました。
まず初めに泊まったのはWホテル。
アメリカの元祖デザインホテルが初めてソウルに出来たのが昨年とのこと。場所はソウル市街からはちょっと離れた高台にありますが、アーバンリゾートそのもののゆったりした滞在をすることができました(^^)。
お部屋は最上階の角部屋。ソウルを代表する漢江(ハンガン)と町並みが眼下に見えて、そのパノラミックビューには思わず息を呑みます。
赤と白で統一された部屋は非日常なのに落ち付ける感じ。

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最新のホテルはお風呂がガラス張りのところが多いです(お風呂入るときはブラインドが下ろせるので大丈夫です(笑))が、ここもそう。これはお風呂側から部屋を撮ったものです。

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お部屋の小物たちもカワイイ。





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1階のロビー付近がバーになってます。カッコいいのに寛げる空間でした。私たちは椅子席に座ってましたが、寝そべってる人多数(笑)。






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パブリックスペースもなかなか面白くて、このオブジェはホテルの廊下の突き当たり(=私たちの部屋の前)にあったもの。

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この変ちくりんな写真は…エレベータの中なのです(笑)。エレベータ上部にネオン管がぶらさがってまう。


今まで泊まった中でも格段にインパクトが強い、しかしとても過ごしやすいホテルでした。
ということでわりと丁寧にご紹介してみました(^^)。

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2006/07/07

「アンデルセン・プロジェクト」

以前このブログ内で、ラスベガスでやってるシルク・ド・ソレイユ「KA」を見てきた感想を書きましたが、「KA」の演出をしているロベール・ルパージュさんが演出している一人芝居「アンデルセン・プロジェクト」を見てきました。ルパージュさん自身が出てる版と白井晃さんが演じる版とあったんですが、私が見たのは白井さん版のほう。

実はあんまり一人芝居というものが好きでないのでめったに見に行かないんですけど、これは面白かった。というか、興味深かった。
パリ・オペラ座で子供向けのアンデルセン作品のオペラを上演することになり、それをプロデュースするオペラ座の人と、戯曲を書くカナダ人(ルパージュはカナダ人)、そして、戯曲化されるアンデルセンの作品(タイトル失念……、パリにあるマロニエの木が移植される。その中にいる妖精は華やかなパリに憧れていて、自分の命がこの後どうあんってもいいから…と願って、人間の姿になってパリの街に出ていきいろいろなものに出会う…というような話。設定はちょっと人魚姫に似てますね)、アンデルセン本人が多重的に描かれていて、それを一瞬の早替わりなどで白井さんが演じてます。

映像の使い方がとにかく見事。言葉では説明しがたいんですが、後ろに写されるスクリーンはもちろん垂直なんですが、その中に立ってる白井さんの足がめりこんでるように見えるようになってる(@_@)。まるで2次元のスクリーンの中に3次元の肉体があるように見えて、すごい不思議な感じ。映像と実際の動きとがリンクしててとてもスピーディだし、鮮やかに場面を見せてくれました。

知らなかったんだけど、アンデルセンは生涯性的な関係を持たなかったんだそうで…。堅物そうなオペラ座のプロデューサーが、実は奥さんと離婚寸前になっていて、覗き部屋に行ってしまうような性癖を持っているとか、「戯曲にされる妖精もパリに行って誰かと性的な関係を持ちたいという表れだ」とカナダ人が解釈することとか、それぞれの人の生き方にアンデルセンの姿が重なるようでもあり、重ならないようでもあり。

カナダ人は覗き部屋の上にあるロフトを又借しているという設定で、そこを掃除している移民の人というのも出てきます。ずっと無言なんですが、いろいろなところで落書きをしたりしてる。無言の中で書くことで何かを表現しているというところに、よくわからないパワーを感じました。

ラストに触れますが、「何かを多く望みすぎるものはアンデルセンの作品の中では必ず罰せられる」って……。芝居全体は分かりにくいことはまったくないタイプの作品だったんですが、この終り方はどう解釈したらいいんだろう。最後になって、後はお客さんで考えてね、と突き放してみたってことかな(^^;。

すごい台詞の量と半端じゃない着替えの量と、その中でそれぞれの役がきちんと立ち上がっていく様は見事で、白井さんは(演出だけでなく)俳優としてもやっぱりいいなあと改めて感じました。

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2006/07/01

日本橋で待ち合わせとは粋な感じです

昨日は日本橋のまさに橋の上で取材の待ち合わせがありました。お会いしたのは400年の歴史を誇る老舗の扇子屋さんのご主人。昔は浮世絵の版元もされていたそうで、豊国の団扇絵なども見せていただいて充実したお話が伺えました。(こういう仕事もしているのですよ(^^;ゞ)
お話を聞きながらどなたかに似てるなあと思ってたんですが……。

取材の後某お芝居を見に行って、そのあとの宴席で新派の女優さんお二人とお会いしてから気がつきました。ああ、新倉覚左衛門こと安井昌二さんに似てらしたんだと。お家の血筋がお顔に表れてらっしゃるような素敵さでした(*^^*)。

初めてお会いした新派の女優さんお二人(書いていいかしら、宇多絵さんと和宮さん)もとてもキレイで、でもちょっとサバっとした感じの気風の良さもあって素敵な方たちでした。若いうちから新派に飛び込むのって勇気がいることだと思うんだけれど、伝統を受け継いでいこうという気概は扇子屋のご主人と同じくお二人からも感じられました。
新派はごくたまにしか見てないのだけれど、これを機会に見に行こうかなーとも思います(^^)。

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