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2006/05/21

大人計画「まとまったお金の唄」(ラストや内容に触れてます)

見終わった直後よりも、2,3日たった今のほうがジワジワ来るような、そんな舞台でした。

大人計画初のホームドラマと銘打った今回は、1970年の大阪万博を舞台にある一家と間借人たちの話。
レイプとか、性器切り落としとか、ものすごく不幸なことがバンバン起きてるわけですけど、でも後に残るものは、何か「そのままでいいから強く立っていよう」というような気持ちで。(←この強さは「キレイ」のラストシーンにもつながってる感じがする)

ラストは時代が飛んで阪神大震災後になるんですが、そういう後でも、性器を切り落としちゃった人、馬場(宮藤官九郎)と切り落とされて女とも男ともつかぬ者になってしまった「長女」ヒカル(阿部サダヲ)はなぜか並んで歌を歌ってるのです。そういう不思議ないい加減さが、常にこの舞台には満ちてます。
「ヘドウィグ&アングリーインチ」を思い出させるヒカルの阿部サダヲさんの、溢れんばかりのパワーが実に良かった。どんどん輪をかけるように悪いことをしていってしまう馬場の、でもどこか憎めない感じがクドカンさんには合ってたなと思います。

舞台の語り役としてずっと出ていた博子(平岩紙)は、一家の次女スミレ(市川実和子)の子供で、現在から1970年を振り返って語っている……と見せていながら、最後に至って博子は実は死産で生まれてさえいなかったことがわかるのです。これは衝撃的でした。その事実を悲しみとか痛みとかで描くのでなく、プラスもマイナスもなく一つの「命」として描いていたような……、その視線がとても気に入りました。平岩紙さんの透明感のある佇まいが印象的です。

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コメント

コメントありがとうございます。(実際に地震のシーンがあるわけではないのですが)複雑ですか……そうですよね。あえて実感できるような作りにはしてなかったんじゃないかなと勝手に推測しますが、それでも「立つ、ここに立っている」という一種の清清しさは感じられた気がします。

(ところで、最近クドカンの昼ドラ「吾輩は主婦である」にハマってます(笑))

投稿: おおはら | 2006/06/10 02:32

おおはらさま
阪神大震災の場面・・・実感としては感じられなかったです。あんなものではなかった、という気持ちと、あぁそうだったかなぁ、という気持ち。
松尾さんが大阪の20数年を考えたときにエポックとなるのが「万博」と「大震災」なのだなと複雑な気持ちにはなりましたが。

投稿: スキップ | 2006/06/07 00:58

>スキップさん
はじめまして、コメントありがとうございます。今はもう大阪公演中なんですよね~>「まとまったお金の唄」。
ボディーブロウのように後から効いてくる感じ……同じように感じる方がいて嬉しいです(^^)。
関西の方が阪神大震災の場面をご覧になってどう思われるかな…というのは気になるところではありますが、どうなんでしょうか?

投稿: おおはら | 2006/06/05 11:38

おおはらさま

はじめまして。スキップと申します。
大阪で「まとまったお金の唄」を観ました。
お芝居はいつも自分の目で観るまでは他の方の感想や劇評は読まないようにしていて、観た後で色々読ませていただいて「ナルホド」と思ったり、「それは気づかなかった」と教えられることもしばしば。
おおはらさんのおっしゃる通り、観終わった直後より少し時間が経ってからの方がじわじわ来ています。

投稿: スキップ | 2006/06/04 02:53

ゆういちさん、コメントありがとうございます。私は大人計画を初めて見たのが「フクスケ」(これは日本総合悲劇協会だけど)で、それから8年くらいでしょうか。
そのころから考えても、多分松尾さんが作っているもののコアな部分は変わってないんだと思います。松尾さんの変てこりんな動きは相変わらずです(笑)。

投稿: おおはら | 2006/05/25 01:45

はじめまして。
大人計画は昔はよく見に行ってたんですが、
ここ10年くらい見てないですね。
大きくなっても、世界観は変わっていないようで嬉しくなりました。
クドカンと阿部サダヲの姿が目に浮かびます。
イメージを沸き立たせてくれるいいレビューですね。

投稿: ゆういち | 2006/05/23 21:43

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