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2006/05/25

SHINKANSEN★RS「メタルマクベス」

思いきり「マクベス」でしたね。翻案じゃなく。
23世紀の未来と、1980年代の日本のヘビメタバンド「メタルマクベス」との二重構造で…と言われていますが、本当は「三重構造」ですよね。シェイクスピアが書いた「マクベス」をモチーフにした曲をアルバムにしている…という、もともとのマクベスの世界から考えると。

この超入れ子の形は、いつの時代であっても3人の魔女のそそのかしに乗って人を殺め、疑心暗鬼になり破滅していってしまうマクベスがいるということ、それが繰り返されるということ、を表しているのだと思います。

そして、その3人の魔女……ここでは毒カレー事件の林容疑者の姿になっていて、MIKIMOUSE(HOUSEじゃないですよ)のトレーナーを着ているのですが(^^;、冒頭、3人のうちの一人を演じる右近健一が一瞬若返りの泉に入って、姿が松たか子(マクベス夫人を演じる)になるのですね。
初めはただのギャグと思って笑ってたんですけど…、途中でマクベス夫人がマクベスに王殺しをそそのかす場面になって「ああっ」と思ったのです。
魔女はマクベス夫人でもあるのだと。(そういうことを暗示させるために、一瞬松たか子の姿にしたのだと思う)

いつの時代にも魔女はいるのだけれど、それはマクベス夫人の中にも、そして、マクベスの中にもいるということなのでしょう。
そして、そのトレーナーはメタルマクベスのファンの女の子たちも着ているのですよね。
最後にマクベスが「鎧を貸せ」と言って、MIKI MOUSEを着るのも、マクベスの中にある「魔女」の部分を駆り立てるためのものなのかな。

私が今まで見た「マクベス」にはなかった解釈で、脚本の宮藤官九郎さんが考えたのだと思いますが、すごい視点ですよね。
(しかし、これだけ見た目インパクトの強い、分かりやすい衣装の「記号」を考えたのってすごいよなあ)

4時間という長尺ですが、そういう骨子の部分がしっかりしてるので、非常に骨太な大作に仕上がっています。

役者さんは皆さん、本当に適材適所。マクベスが魔女の囁きに乗り王座を夢見、そして自滅していく様を内野聖陽さんは大きなスケールで見せてくれました。
松さんは役者としての狂気さえ感じさせる芝居で、なんともすごい役者がいたものだ、と驚嘆させられます。
上條恒彦さんの歌声は迫力があり、また人物の大きさがあって芝居を締めてましたし、北村有起哉さん、森山未来さんもそれぞれ役にピッタリでしたね。

装置はバックが電飾になっていたのですが、実際の人物が透けて見えてそれとシンクロする画面になったりしていて、非常に効果的でした。

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2006/05/23

「白夜の女騎士」シアターコクーン

「夢の遊眠社」時代の、石舞台三変化、三部作のうちの一つ。当時見ているはずですが、殆ど記憶になかった(^^;ゞ。

当時の野田さんの、というか遊眠社の舞台は「少年」というキーワードがあったのですが、今の時代において少年性を、皆が憧れるものとして具現化して見せるのは、ある意味ジャニーズのアイドルの人たちをおいて他にないのかな、と。「二億七千光年の旅」のときの三宅健君もしかりですが、はかりしれないきらめきを見せられるのは、決してジャニーズファンとはいえない私でもさすがだなあと思います。

ストーリーは説明しにくいので割愛(^^;ゞ。人と小人と大人が対立する神話の世界(「ニーベルンゲンの指輪」の設定が使われているようです。劇中「ワルキューレの飛行」の曲も使われてましたし)と、現実の棒高跳びの方法を忘れてしまった少年とその後の信長がいる世界と二つの世界がないまぜになっています。
野田作品を蜷川演出で見せた「パンドラの鐘」と同じく、時代を学生運動においています。どうだろう……これは、必ずしもこの時代に特定して見せなくても良いような気もするのですが。実際、野田さんが演出するときは、そうしないわけですし。「野田戯曲の具体化」が蜷川演出の肝なのでしょうけれども、もっと広がりを持たせてもよかったかもしれません。

そういう闘争の世界の中でも飛翔しようとし続けるのが、空飛ぶサスケ(松本潤)。飛翔する少年の肉体性と精神性を余すところなく見せて、非常に魅力的でした。彼が飛ぶ姿は、本当に空気を切り裂いているようでしたね。少年はプラスチックから生まれるのですが、その指先の一つ一つまでの繊細な美しい動きにびっくりしました。
テレビで見た印象だと、それほど「少年性」というものを感じてなかった(もうちょっと大人っぽい印象があった)ので、こういう瑞々しさ(←うーん、陳腐な表現だ…)を見せてもらえたのは私の中では意外な発見です。

「その後の信長」の勝村政信さんは本当に緩急自在に舞台を引っ張っていってました。サスケと信長の二人ががっぷり組むことによって舞台のテンポもテンションも上がったし、共演している松本潤さんにとってもとてもよい経験になったんじゃないかと思います。

もう一度見てみたいと思わせる舞台でした(さすがにもうチケットは取れない)。

余談ですが、最近の蜷川演出の舞台で出てくる仮面、というか、本人そっくりにできてるライブマスク。(十二夜で菊之助丈が双子を演じるために、マスクが出てきた)今回は……女子高校生役の人が六平さんの顔ソックリのライブマスクをつけてた(@_@)。

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2006/05/21

大人計画「まとまったお金の唄」(ラストや内容に触れてます)

見終わった直後よりも、2,3日たった今のほうがジワジワ来るような、そんな舞台でした。

大人計画初のホームドラマと銘打った今回は、1970年の大阪万博を舞台にある一家と間借人たちの話。
レイプとか、性器切り落としとか、ものすごく不幸なことがバンバン起きてるわけですけど、でも後に残るものは、何か「そのままでいいから強く立っていよう」というような気持ちで。(←この強さは「キレイ」のラストシーンにもつながってる感じがする)

ラストは時代が飛んで阪神大震災後になるんですが、そういう後でも、性器を切り落としちゃった人、馬場(宮藤官九郎)と切り落とされて女とも男ともつかぬ者になってしまった「長女」ヒカル(阿部サダヲ)はなぜか並んで歌を歌ってるのです。そういう不思議ないい加減さが、常にこの舞台には満ちてます。
「ヘドウィグ&アングリーインチ」を思い出させるヒカルの阿部サダヲさんの、溢れんばかりのパワーが実に良かった。どんどん輪をかけるように悪いことをしていってしまう馬場の、でもどこか憎めない感じがクドカンさんには合ってたなと思います。

舞台の語り役としてずっと出ていた博子(平岩紙)は、一家の次女スミレ(市川実和子)の子供で、現在から1970年を振り返って語っている……と見せていながら、最後に至って博子は実は死産で生まれてさえいなかったことがわかるのです。これは衝撃的でした。その事実を悲しみとか痛みとかで描くのでなく、プラスもマイナスもなく一つの「命」として描いていたような……、その視線がとても気に入りました。平岩紙さんの透明感のある佇まいが印象的です。

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2006/05/19

青山円形劇場プロデュース「MYTH」

鈴木勝秀さん前作の「レインマン」とも共通しているのだけれど、父親が亡くなったあとにどう「関係」を築くのか、ということが語られている舞台。今、スズカツさんはこのことについて考えてることがあるのかなあ?(いや、個人的な事情はまったく存じませんが)

「人間が生きていくということはローンを返してるようなものですよ。だって生まれたときに先にすべてを与えられているんですから」

これは最後のほうに出てくる台詞ですが、「ローンがある」と気づくとき(往々にしてローンを組ませてくれた人を失った後に気づくのですが)、人間はもう一度再生するんでしょうかね。

佐藤アツヒロさんの変わらぬ少年性が、その「再生」に相応しい感じがして素敵。人ならぬ者の雰囲気が漂う篠井英介さんと対照的に、生き生きとした存在感を与える中山祐一朗さん、そして現実に足をつけて立てる強さがある人間を演じた陰山泰さんと適材適所の4人の役者さんでした。

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藤田嗣治展

以前「今宵かぎりは…1928超巴里丼主義宣言の夜」という舞台で、藤田嗣治をモデルとした役(加納幸和さんが演じてた)を見て以来気に掛かっていた、藤田嗣治。(その前の印象というと、剣幸さんが主演した、これはモジリアニが主人公の「夜霧のモンパルナス」という舞台で、フジタも出てきてて、タカラジェンヌもオカッパ&ちょび髭のフジタスタイルで出てきてて受けてたことですね)
今回大規模な回顧展ということで、会期ギリギリに見に行ってきました。
平日の3時過ぎに行ったのにすごい人(>_<)。入場20分待ちで中に入っても人垣で絵になかなか近づけない。
仕方ないので忍び寄り戦法で、どうせゆっくり見られないなら…と逆にスーパースピードで見てきました。

「今宵かぎりは」に描かれたフジタによると、とてもセルフプロデュース力に長けた人だったのかなと(実際の藤田は分かりませんが)、トレードマークのオカッパちょび髭もそのセルフプロデュースの賜物だったようです。
確かに相当数の数の自画像が展示され、後期の宗教画の中にもフジタ自身が登場してるものまでありました。
やはり、乳白色の肌色をした女性を描いた絵がとても美しく魅力的。なんとなくフジタが女性に対して見ている視線も感じさせます。
カトリックに入信した後は、宗教画もたくさん描いているのですが、やはり西洋人が描いているものとは違う、独特の雰囲気がありますね。一歩遠くから見てるような感じというのかな。
戦後、戦争画を描いたということでかなり非難を受けたようですが、今回戦争画の展示もありました。なんだろうな……、この絵を見て決して戦意高揚されるとは決して思えないんだけど。でも、戦争反対っていう意思でもなく、そのとき現実に存在した恐ろしい人間の営みを忠実に描き出した、というもののように思いました。

終わったあとはクイーン・アリスの石鍋シェフプロデュースの美術館のカフェでお茶。お店の雰囲気はいいんですが、スペースの割りに人多すぎであまり寛げなかった。桜の季節に来ると眺めがよくて良いかも。

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2006/05/09

加納幸和さんに聞く「ザ・隅田川」

をアップさせていただきました。こちらです↓。

http://homepage3.nifty.com/kaoru_web/hana/interview/sumidainterview.html

今回は「ザ・隅田川」について、また新橋演舞場「和宮様御留」、花組芝居次回公演「百鬼夜行抄2」について、色々お話いただきました。よろしかったらぜひお読み下さいませ。

なお、ご記帳所に英語スパムが来るようになってしまったので(--;、新規アドレスに移転しております。新・ご記帳所には「加納さんに聞く」のページのリンク内からお進み下さい。

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2006/05/06

4月に見たもの、いろいろまとめ書き

4月は『ザ・隅田川』はじめ、バラエティに富んだ面白い作品が目白押し! まとめ書きになってしまいましたが、いくつか記録に残しておきますね。

シアター・コクーン『四谷怪談』
南番で拝見。2時間じっくり芝居を見せて、最後は怪談物らしい盛り上がり(?)で、四谷怪談なのにスッキリした気持ちで帰れるような舞台。
もう終わっちゃってるのでいわゆるネタばれをしてもよいかと思いますが、客席の床からお岩さんが飛び出してくるところの横の列だったので、アップでお岩さんを見てしまいました(笑)。私たちよりもっと近い席の人は本気で驚いていた。
お岩さんて、敵討ちのために仕方なく伊右衛門と一緒にいる……と解説書とかに書いてあることが多いのだけれど、勘三郎さんのお岩さんは伊右衛門を愛してるよねえ。

しかし、最初にコクーンで見たときは平場席でも大丈夫だったんだけど、今回は平場席はしんどかった。トシか(^^;ゞ。

SISカンパニー『父帰る』『屋上の狂人』
もちろん全然チケットなどなかったのですが、ありがたいお誘いを受け同行。大変緊密で素晴らしい舞台でした。
30分で濃縮した形でドラマを生み出す力を感じました。私としては、『父帰る』のほうが好きだったかな。草なぎ剛さんは、父親がいなくなって家長として頑張ってきた自負やつらさ、突然帰ってきた父親に対する怒り、と奥底にある愛情をその自在な演技力で余すところなく見せていました。
終演後に同行させていただいた方についてちょっと楽屋にご挨拶にうかがわせていただいたのですが、共演している役者さん(草なぎさんよりずっと年長の方なのですが)も、「彼(草なぎ君)は本当にすばらしい役者ですよ。常にニュートラルでいて、演出家の言うことを聞いて瞬時に変えられるんです」ととても褒めてらっしゃった。
演出の河原雅彦さんが意外なほどまっとうにストレートにこの作品に取り組んでらっしゃるご様子が、とても好もしかったですね。

『愛の讃歌』
エディット・ピアフの生涯を美輪明宏さんが演じる舞台。
もう、なんというか、「美輪明宏という唯一無二の生き物」を目の当たりにした、というそんな感じの舞台です。
(『黒蜥蜴』とか他の作品よりもそういう印象が強いですね。美輪さんの脚本だからかな?)
1幕目はピアフが世に出る前の話で、劇中シャンソンを多く歌うのですが、シャンソンはある意味一人芝居だな、と。その演劇性、芝居っ気が美輪さんが歌うとよく伝わってきました。
特に2幕最後の、恋人マルセル・セルダンが死んだ後に歌う「愛の讃歌」の激しさは、本当にすごかったと思う。

(余談ですが、私の隣に見てた女の子が「へえー、この人って実在の人物なんだ」「あ、そうなんだ~」と言ってるのを聞いてすんごくビックリしました。うーん、エディット・ピアフって知らない人がいるのか……)

映画『RENT』
舞台で見たことがなかったので、今回で初見。配役を知らずに映画館に向かったのですが、私がブロードウェイで見てきた『アイーダ』のアダム・パスカルや『WICKED』のイディーナ・メンゼルが出てきてまずびっくりした。彼らがブロードウェイ『RENT』のオリジナル・キャストだったんですね。
ブロードウェイでのオリジナル・キャストをほぼそろえる、ということで、作品が最初に作られた熱気を伝えようという制作陣の主旨だったようです。

アメリカで公開されたときは「仕事探して、家賃(RENT)払え」という非常にもっともな(そういっちゃ身もふたもない)批評も出たそうですが、良い意味で、この作品が本来持っている「青臭さ」がよく出てる映画だなと思いました。「SEASON OF LOVE」とか今もなんとなく口ずさみたくなるような名曲が多いですね。
今年8月にNYに行こうかと思ってるんですが、そのときは「RENT」見てみようかな、と思います。

イディーナ・メンゼルはもともとすごくパワーがある女優さんだったんだなとそのoriginを見た思いです。

これ、15年前のイーストヴィレッジを舞台にその模様を再現してるんですが、15年前と今のイーストヴィレッジって雰囲気がまったく違うんだなあ、と思いました。今はあんなに小汚くなく、普通に食事とか買い物とかできる町になってるんですけどね。ロンドンって15年前と雰囲気は今と殆ど変わってない気がするけど。

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