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2005/12/21

ウーマンズビューシリーズ『10か月』

生きていくこと、そして死んでいくことの意味……。そんなことをじんわりと考えさせてくれるような佳作でした。

余命10か月と知った42歳(だったかな)の男性が大学時代の同級生である女友達を呼ぶ。最後の10か月を一緒に過ごすために……。二人の間に恋愛関係はあるのか、ないのか、というところは曖昧なかんじ。実際にこういう設定のことがありうるのかどうか、という問題は別として(いろいろなことをそぎ落として見せるために、こういう設定にしているのだと思います)どう人間が自分の死を見つめ、そして生きることを見つめていくのか、ということを改めて見つめなおさせてくれました。
「生死」をテーマにするとお涙頂戴にもなりがちですが、空間を感じさせる白のセットや主演の二人、香寿たつきさんと田口浩正さんの真摯な芝居もあって、決して重苦しいものにはならなかった。
結婚もしていない、子供もいない人が増えている今、シングルの状態で死んでいくということは(私も含めて)身近な問題ですよね。田口さんの芝居は、シニカルな雰囲気の人物がふと見せる恐怖感や女性に対する思いなどを余すことなく伝えてくれました。リアルでした。その存在が身にしみて感じるほどに。
香寿さんは宝塚退団後、現代劇のストレートプレイは初めてだったそうですが、田口さんの役と一緒にいることで彼女自身も変わっていく様を、こちらもリアルに見せてくれました。ふとした心の揺らぎを見せるのがうまいなあ……と彼女の芝居のうまさを改めて実感しました。(いたずらに暗い作品にならなかったのは、彼女の重過ぎない演技のおかげかなと思います)

個人的なことを書けば、正直、この作品を見るのは怖かった……、自分がどういうふうに感じるのかということが。でも、見られてよかったと思います。もちろん辛くなって泣いてしまう部分もありましたが、この作品では死んでいく人のあり方とともに、その後も生きていく人のあり方も描いて(劇中では「このあと40年生きていく準備」という台詞を使ってましたが)、自分の中には大きく響くものがありました。得るものが大きい作品だったかもしれません。

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